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2012'04.30 (Mon)

南蛮美術の光と影

神戸市立博物館で開催中の「南蛮美術の光と影」展に行ってきた。
この展覧会は展示替えが何回かあって、最低でも2回は行かないと…と思ってたけど、あらためて展示リストを見たら、3回は行かないと全部見れない!なんてこと!
リピーター割引はあるんだけど、それでも3回は大変だなー。
本編の感想はとりあえず置いておいて、最近、ちょっと出不精気味なので、今年度の展覧会予定もまだあんまりチェックし切れてないんだけど、会場に置いてあったチラシを見てびっくり。秋にエル・グレコ展があるんだ!大阪で!私は近現代の美術を主に見に行ってるけど、その昔は古典的な絵が好きだったんだよね。エル・グレコは興味あるなあ。予定に入れておこう。神戸にはフェルメールが来るらしいけど、フェルメールはなあ。だーいぶ前に青いターバンの子は京都で見たけど、あまりに人が多すぎて全然近寄れなくて、あんまり「見た」という気がしない。オランダ、フランドル絵画は好きなんだけど、どうだろうなー。
企画展とは別に、常設展示?的なところに、地元神戸を描いた絵が並んでた。川西英!他にも、神戸ゆかりの美術館で見た名前もあったり。知らなかったのでちょっと得した気分。
さて、本編のお話です。今回の目玉は当然、泰西王侯騎馬図屏風なわけですが。それは最後のお楽しみということで、最初は南蛮屏風から。この辺は、年末にここに来たときにも見たよなーと思いつつ(違う作品も展示されてたけど)見てました。(「日本絵画のひみつ」展
お次は「聖画の到来」というテーマ。こないだあんまり近寄れなかった扇の絵が、前よりは近寄れるようになってたので、じっと見た。けど、細かすぎてやっぱりよく見えない…。こまかーく色々描かれてるらしいんだけど、もっと詳しく何が描いてあるのか教えて欲しい。12ヶ月を描いた銅版画も綺麗だったな。版画はいいよ。救世主像も綺麗だった。微妙にデッサンおかしいけど。素人目には西洋で描かれたものか、日本で描かれたものか、よくわからないんだけど、説明には、日本人が描いたんじゃないかと書いてあったような…(図録を見てもなんとも書いてない)。三聖人像というのは原画と模写が並んでて、これは見比べつつ解説も読むと、なるほどなーと思える。ここのコーナーで面白かったのは、聖牌という呼び名になってたんだけど、ペンダントみたいなもの。メダイとかメダルとかに近いのかな?ちっちゃな絵を、金糸っぽいものとかビーズとかで囲んであるんだけど、あの素材はなんなんだろう?刺繍のもあったな。信仰とは別に、欲しい!と思ってしまった。(実際、純粋に装飾品として欲しがる人がいたと書いてあったような…。図録にも解説は載ってるんだけど、会場の解説が全部そのまま載ってるわけじゃないんだろうか、記憶にあるのに書いてないことがちらほら。私の記憶が怪しいのか?)そのものじゃなくてもいいから、似たようなのは現代にないのだろうか。金属のメダルもかわいかったなー。信心深い人には怒られそうだ。ちっちゃくて繊細な細工大好き。指輪もよかった。これも素材はなんだろうと、割とどうでもいいことが気になる。
お次は輸出漆器。聖がん(漢字変換できない)が立派で。蒔絵螺鈿いいなー。この辺は大阪市立美術館だっけ?どこかの常設展示室で見た記憶があるけど、凄いよねー。日本でいう仏壇にイメージ近いのかな?観音開きの扉の中に聖画などを納める厨子、と図録には書かれている。この細工が細かくて、こんなところにまで装飾が!と驚くくらい作りこまれている。真ん中の絵そっちのけで周囲を眺めてました。他にも色々とその手の工芸品が展示されてた。西洋人的には、どっちが重要だったのかなあ?宗教的な部分と、工芸的な部分と。両方大事?
さて、お次がメインの泰西王侯騎馬図屏風。なわけですが、図録やカタログの順番とは別に、2階のフロアに入ると、最初は初期洋風画でした。会期前半の展示は主に風俗図らしい。最初はかわいらしい「西洋婦人図」でした。図録を見るとペアみたいな感じの弾琴図もあるらしいのに、これは後期の展示なのか…。所蔵は別のとこなのね。でも雰囲気が似てる。そしてお楽しみの、西洋風俗図。何種類かあって、本で見た絵もいくつかあったけど、本物はいろんな意味で面白かった。私の持ってる本というのは、古書店で買った結構古いもので、印刷もそれほどよくなかったりモノクロだったりで、細部はよくわからなかったんだけど、本物を見たらなるほどな部分がいろいろ。笑えるのは羊のサイズ。小さすぎるだろ、それ、みたいな。図録で見ても明らかに小さいけど、本物を目の前にしたら更に可笑しかった。
しかし、図録を見ていて、これ可愛い!と思ったのが、神戸では展示なしとわかったときのがっかり感はいかんともしがたいな…。洋人奏楽図屏風見たいぞー!
地図の絵も面白かったなあ。都市図とか、どういう需要の元に屏風に仕立てられたのかぴんとこないけど、当時としては珍しくて需要があったのかな?
目玉の泰西王侯騎馬図屏風の感想をようやく書ける。これはねー、確かに立派。保存状態が比較的よいせいもあるのかもしれないけど、これだけ見るために行く価値はあるね。しかも8人勢ぞろいで見る機会は次いつあるか…。絵そのものもいいけど、解説にやたら力が入ってたな。まあここは博物館だし、研究の成果をどーんと見せないとね!とはいえ、今回わかったことで、逆に謎が深まったという説もあったり。ちなみにその内容は説明するのが難しいのでパス。ご自身で確かめてください…。
そして、キリシタン弾圧の時代へ。ここに展示されてた絵が、なんともいえない絵でした。殉教図って妙な感じ。これは誰のために描かれたんだろう?日本人を描いたにしては不自然な部分とか、どこの誰が書いたかもはっきりしないんだよね。稚拙さがその昔見た民画(民藝系の絵)を思い出した。あれは朝鮮だっけ?今回のはマカオで描かれたとかあったけど、地理的にはあんまり近くないよね?でもどこか近いものがあるような…(めっちゃ適当で感覚的なもの)。踏み絵は、わざわざ踏ませるために制作されていたというのも変な話。そんな経緯で作られたもの(と理解してたかは謎だけど)踏んづけたって構わないような、なんて言うのは大雑把すぎるかな。
んで、キリシタン時代は終わり、洋風画も変わっていく、と。そこにザビエルさんの絵が!教科書でおなじみのあれですよ。ここに来たときにレプリカが飾ってあるのを何度か見たことあるけど、本物は初めてかな?あとは、信方の絵がいくつか。この辺りは洋風画といえば洋風だけど、東洋の香りもあって、不思議な雰囲気。こんな絵を司馬江漢が持っていた?という話があるらしく、実は江戸後期~幕末の洋画に繋がってるのかも、な説があったりして、興味深かった。
最後はちょっと軽く、南蛮趣味の絵や工芸品が。面白いなあと思ったのは、南蛮船や南蛮人を宝船や福の神みたいに扱ってたというところ。おめでたいモチーフとして工芸品になってたり。そういうところって日本人だよねーと思った。
宗教とロマンみたいなところに焦点を当てる人もいそうだけど、個人的にはそういうとこよりは、日本が西洋画をどう捉えたかとか、日本の工芸品を西洋の人がどう捉えたかとか、キリシタン弾圧で消え去ったかに見えた洋風画の流れが実はひそかに生き続けていたのかも、みたいなところに心惹かれる。
感想を書きながら、こないだ買った「日本絵画のひみつ」と「西洋の青」の図録を見ていたんだけど、結構繋がる部分が多くて面白かった。博物館としても、自分たちが企画してる展示については多少意識してるだろうし、繋がって当然な部分もあるとは思うけど。しかしまだあの辺の時代感覚があやふやで、何度も資料を見直さないといつだっけ?どれだけ時代が経ってるんだっけ?と混乱してしまう。日本史不得意だからなー。
さて、とりあえずひととおり見た感想を書いたけど、ぶっちゃけ1回行っただけでは全貌を掴みきれてないです。特に聖画のところと初期洋風画のところは、まだまだ大物が見れてない!状態。展示期間は細かく切ると4つに分かれてて、その中で第1期だけのもの、第1期~2期のもの、第2期~3期のもの、第3期~4期のもの、第4期のみのもの、全期展示されるもの、など細かく分かれてます。第1期しか見れないものは南蛮屏風とポルトガル国インド副王信書。前者は前にも見てたけど、後者はなかなか貴重なもので、眼福でした。今ならまだ間に合うので気になる人はぜひ!個人的に見逃せないと思ってる「悲しみの聖母図」は第3期~4期だし、「レパント戦闘図~」は第4期のみ、となっている。だからあとは第4期に行けばいいかな、と思いつつも、第2期~3期の展示になっている南蛮屏風もあるし、どうしたものかなあと悩んでいる。第2期と第3期は1週間くらいとかなり短い区切りだし、うっかり行き損ねそうで恐ろしい。

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2012'04.29 (Sun)

旬のネタ

*これは、過去にアップした記事などで、一定期間トップページに出しておきたい旬のネタを載せておくエントリです。日付や内容は随時変更します。

Edit |  19:09 |  ミュシャ一般   このページの上へ

2012'03.31 (Sat)

ビジュアル雑誌の明治・大正・昭和

国立国会図書館(関西)で開催していた「ビジュアル雑誌の明治・大正・昭和」展に行ってきた。
この企画展のことを知ったのは、印刷博物館のブログ経由でした。展示会場に、協力者として大きな字で印刷博物館の名前があって、そういうことだったのか!と納得。あと一人、個人名がトップに記載してあった。この2者が特に深く関わってるってことかな?
国立国会図書館って東京にあるのは知ってたけど、関西にもあったのね。いったいどこに?と思って調べたら、学研都市の辺りらしい。住所は京都府になってるけど、奈良との境目。
今回は展示のみを見て図書館はスルー。機会があればまた、図書館目当てに来てみたい気がするけど、どうだろう。どういう資料があるんだろうな?ぜひ見てみたい本とかがここにあるってわかったら、行きたくなるかも。
さて、お目当ての展示ですが、3部構成になっていて、さらに第2部は8章構成になっていて、雑誌の始まりから現在までを追う内容。転機となる出来事とか、ポイントポイントで説明パネルもあって、わかりやすい展示だった。会場面積はそれほど広くなかったんだけど、解説を全部読んで細部まで確認してると結構な時間を使う。結局2時間くらいいたんじゃないかなー。
入場無料でミニパンフレットももらえて、図書館月報や関連解説資料のコピーも貰えたので、交通費をかけて行った価値はある(といっても国立の施設だから金の出所は税金ってことになるんだろうけど)。資料はすべてウェブにpdfがアップされているので、読むだけならもともとタダなんだけど、紙の方が読みやすいから嬉しい。
私が行った日には展示担当職員さんによるフロアレクチャーがあって、開始時間には間に合わなかったけど、途中から聞いた。細かく色々説明してくれて楽しかった。レクチャー終了後、あらためて最初から見ていきました。
第1部は印刷技術の解説。今までにも色んなところで見てきてるのでなんとなくは知ってるんだけど、今回、実物をペン型ルーペ(あれ欲しい。家にある印刷物を眺め倒したい。どこで売ってるんだろ?)で見ることが出来て面白かった。オフセット印刷はすごくわかりやすいね。この企画展示のフライヤーがサンプルとして置いてあって、覗いてみたら点々がいっぱい!単色塗りつぶしに見えるところもドットになってる。
でも、グラビアと網目と三色版・原色版、オフセットの違いがわからない。網点で表現してるのはどれも一緒?ドットの大小で表現するのと、インキの量で表現するのとの違いが、サンプルを見ただけではぴんとこなかった。説明から判断するに、色の濃さは同じでドットの大きさが違うか、ドットの大きさは同じで色の濃さが違うか、なんだと思うけど。あと、オフセット印刷って、「オフセット」する以外は、三色版と同じような原理なのかな?
コロタイプも原理はわかったけど、実物を見てもいまひとつわからなかった。普通の距離で見たときに「連続階調を表現できる」という特徴は感じられるんだけど、拡大して見たときの特徴がわかりにくかった。自分の見方が悪かったのかなあ?ところで写真系の展覧会でときどき見かけるゼラチンシルバープリントってコロタイプと同系統の技法なんだろうか?
美術系でおなじみ、石版、銅版、木版あたりはわかりやすいんだけどな。
というか、それぞれの技術って視点が違うというか、グラビア印刷と網目写真とコロタイプは図像を版にどう写し取るかの技術だし、三色版はカラー印刷の技術だし、オフセットは印刷工程の技術だし、並べて語るのはちょっと違うのかも?と、今になって感じた。
第2部で本格的に雑誌の歴史が紹介される。と、続けて書こうとしたけど、展示数以上に情報が膨大だったので、細かく感想を書いているときりがないのでメモがてらに散漫に書いてみる。
とりあえずこれを読めばだいたいのことはわかる。
http://www.ndl.go.jp/jp/event/exhibitions/visual_kaisetsu.pdf
絵がないので、見てない人にはわかりにくいかもしれないけど、見た後で思い出すには最適。(むしろ思い出しすぎて書きたいことが増えて大変かも…)

この展覧会は美術館でもなく、博物館でもなく、図書館の企画展示なので、美術系の雑誌は一応取り上げられてはいるけど、ほんの一部。
その中で、これは!と思ったのは、橋口五葉の有名なポスター画が表紙の三越の宣伝誌。このくらいのサイズだったら手元に欲しいかも…。ってそう簡単に手に入るものなのか知らないけど。石版30度刷りって!手間かけてるなー。あの頃の美人画への熱意はすごいと思う。たしか北野恒富のポスターから色版を再現(推測)したものを昔見たけど、あれも20~30色くらいあった気がする。
展示の主旨とはたぶん関係ないところで、藤島武二を見つけてにんまり。明星の表紙と、濃尾地震のレポがあった。濃尾地震のやつは前にもどっかで見たような気がするけど、武二の絵ってことは認識してなかったかも。単に忘れてるだけかも。
杉浦非水のデザインもちらっと登場。
猪熊源一郎が構成を担当した写真が表紙の雑誌があった。昔は画家が構成を担当することが多かったとか?
浅井忠の水彩が載った雑誌もあったな。
絵葉書もちょこっと紹介されてた。
方寸って貴重な雑誌だったんだ。
会場を出たら「こぼれ話」コーナーがあって、恩地孝四郎デザインの表紙の雑誌があった。
同じコーナーにあった紙型も面白かったな。これもある種のオフセットだよなー。
以下、思いつくままに感想を。
災害や戦争が雑誌を発展させた、というけれど、印刷技術の場合、美人画も大きな役割を果たしていたはずだよね?雑誌の表紙だってきれいなおねーさんが多いし。たぶん写真だってそう。もっと言っちゃえば下ネタ系なんかもあると思うのよねー。戦後の写真雑誌にヌードネタがちょっとあったけど、もう少し前の時代で、外骨とかあってもいいのになーと思いながら見ていた。風刺系の雑誌は少しだけあった。美人画は雑誌というよりポスターとかそっち方面だから扱いが違うのかな?
下世話系大衆雑誌も多少は紹介されてたけど、下世話すぎるのは避けたのかな?なつかしのFOCUSがあった。あの表紙は結構かっこよかった気がする。
時折、見せたいページの反対のページに笑える広告が載ってて、ついそっちをじっくり見てしまったり。
もくじが面白かった。
昔は印刷の種類が書いてあるのが普通だった?
横書き文で、右からと左からが混在している雑誌があったり。
デザイン史と戦争の関係。昔はタブーっぽい雰囲気があったと聞いたことがあるけど、今はそうでもないのかな。
図版と文字の共存は、日本画の伝統では当たり前だったと思うんだけど、雑誌としては技術的に難しかった?導入されたのはだいぶ後になってからだったみたい。
グラフ誌の衰退。テレビの興隆と映画の衰退。ファッション誌の流れを見て、今の朝ドラを思い出したり。
同じ雑誌でも創刊当事と今とでは全然違うものもあれば、全然変わらないものもあったり。特に趣味系の雑誌は変わらない。そして鉄オタはオタクの元祖?
印刷技術と大衆文化がテーマだったけど、ここにさらに「写真」というキーワードも加わっていた印象。
絵が写真に取って代わられたように、紙メディアも今、デジタルメディアに取って代わられようとしている。
「複製」の概念が、大きく変わっているのが現在なのかな?
情報伝達の形も変わりつつある。
ファッション誌として、an・anが画期的だった、というのは知らなかったなー。non-noはその後追いだったとか。自分自身がその2誌とあまり縁がなかったというのもあるけど、(non-noは昔、親が買ってた気がするけどあんまり読んだ記憶がない。Elleは読んでたなー。自分自身で定期購入したファッション誌はない。単発で買うことはたまにあるけど。)
解説で、ファッション誌に星占いを載せたのはan・anが初めてだったとか。そこでふと疑問に思ったのは、「占い」っていつからポピュラーだったんだろ?ってこと。同会場にan・anよりも古い「なかよし」やら「マーガレット」やらの少女マンガ誌も展示されてて、その表紙を見たら星占いじゃなかったと思うけど「○○占い」というのがあったから、少女向けに占いってのは昔からポピュラーだったのかなと。

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2012'03.19 (Mon)

感じる服 考える服:東京ファッションの現在形

神戸ファッション美術館で開催中の「感じる服 考える服」展に行ってきた。
東京でも開催された展覧会の巡回なんだけど、展示内容は少し異なるらしいと聞いていて、東京のは見てないけど、多分この辺は独自の構成なんだろうなーと思う部分は確かにあった。
体験型の展覧会なので、もし万が一、ネタを先に知って面白みが半減するとよろしくないので、これから行くつもりの人は、続きを読むかどうか、考えてから次に進んでください。
(フライヤーに載ってる写真は東京会場のものか、イメージ写真のようで、実際の神戸の展示とは多少異なる。公式ブログではチラ見せ写真やこんなのあるよ!的な紹介をしてたりするけど、流し読みしていた私は新鮮な気持ちで見れた。)

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2012'03.18 (Sun)

アンリ・ル・シダネル展~薔薇と静寂な風景~

美術館えきKYOTOで開催中の「アンリ・ル・シダネル展」に行ってきた。
シダネルを知ったのは、もう2年も前になるのか、「ベルギー近代絵画のあゆみ」という展覧会を見に行ったとき。(それ以前にもどこかで目にしている可能性はある。意識していないだけで。たぶんそんな作家や作品は多い。)たまたま帰省中に近くでやってたからという理由で寄ってみた展覧会で、当時の感想は微妙だったけど、今思うと面白い展覧会だったなと思う。
そこで見た「黄昏の白い庭」という作品が印象に残って、それ以来シダネルの名前を見ると反応するようになった。1年くらい前になるのかな?ひろしま美術館に行ったときにシダネルの絵を見つけて喜んでたっけ。
今回はシダネルの絵をまとめれ見られるチャンスということで、いそいそと出かけていったわけですが、シダネルについてはほとんど知らない状態で行って、結局何がわかったのかは微妙なところ。
初期から晩年まで、シダネルの人生を追った展覧会にはなってたんだけど、あまり踏み込んだ解説じゃなかったような。シダネルの絵も自己主張が激しいタイプじゃないし、穏やかで、控えめで、ふわっとしたイメージだけを抱いて終わってしまった感じ。展示の順序のせいもあるのかな?だいたい時代順だけど、ときどきテーマでまとめてたり、という構成で、時代の流れが断絶してしまってた部分もあって、章ごとの解説はそれなりに詳しかったけど、ちょっとぼやけてしまった気がする。(あくまで個人的な感想)
シダネルは印象派っぽくもあるけどちょっと違うのは、昼間の光ではなく、昼と夜の間、夜と昼の間の光を追求していたところだとか。昼と夜の間というのは黄昏時ってことかな。夜と昼の間というのはどういう意味?明け方の絵ってあったっけなあ。月明かりの下の絵がいくつかあったから、そのあたりを指すのだろうか。そんなところが世紀末的?私が惹かれたのはそういうところかも。昼の光、夜の闇、といったはっきりした区分じゃなくて、中間的なところに幻想を感じる(光と闇の対比も好きだけどね)。晩年になると筆致が粗くなる(点描の細かさが大きい)と書かれてて、確かにそうだったなあ。
今回は、ひろしま美術館の絵は来てたけど、ベルギーのあの絵はなかった。もう一度見れたらうれしかったんだけどな。
象徴主義系の絵がもっとあるなら見てみたかった、人物画も見たかった。女性が数人、輪になって踊ってる絵を見て、青木繁を思い出した。
気に入ったのは「階段」という絵。パステルと、リトグラフ(ドローイング?)の2種類。ベルギーのあの絵を思い出した。「月明かりの庭」という絵も綺麗だった。バラがいっぱい。
参考:http://twilog.org/muchaholic/date-120310
「薔薇」がキーワードなのか、京都展のメインビジュアルはひろしま美術館所蔵の薔薇の絵で、会場入り口にもベンチに薔薇(造花)がセッティングされてたりした。シダネルとは全然関係ない薔薇グッズもいっぱい売ってた。

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2012'03.04 (Sun)

ミュシャ関連図書が次々と

(3/18 追記あり)
最近ミュシャに関係する本が立て続けに出ております。こないだART BOXを紹介したばかりなのに…。
ちゃんと読んでから個別に紹介しようと思ってたけど、時間がかかりそうなので、とりあえずざっと概略紹介だけ。
まずは「ミュシャ作品集―パリから祖国モラヴィアへ」。
4808709465ミュシャ作品集―パリから祖国モラヴィアへ
千足 伸行
東京美術 2012-02

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東京美術といえば「すぐわかる」シリーズや「もっと知りたい」シリーズを出しているところ、といえばなじみのある人が多いかも。
ミュシャ本の執筆者としては島田紀夫さんに続いてよく見る名前の千足伸行さんが書いております。少し前に出たART BOXがミュシャ財団の本だったのに対して、今回のはドイ文化事業室が協力している。ここも2大勢力ですね(笑)。って、そんな大層なものじゃないんだけど、日本で開催されるミュシャ展はだいたいどっちかが深く関わってることが多いのでちょっと気にしてみました。
サブタイトルにあるように、ミュシャの生涯を追った内容。といっても文章量はそれほど多くなく、メインは絵かな?……なんだけど、肝心の画質がなー。セレクトはいいんだけど、画質があんまりよくない。妙にコントラストがきつくなってたり、階調が粗かったり。それでも、絵のサイズは大きめだし、数も多いし、スラヴ叙事詩もたくさん載ってるし、いいところもある。初期の絵も少しだけ載ってるしね。
一般に流通してる本の中では三省堂の「ミュシャ作品集」が自分の中では一番だけど、あれの難点は画質はいいけど絵が小さいことなので、それに対する補完的な意味合いでは、この本はいいのかも、と思う。絵のサイズや画質的には講談社の「レンドルコレクション」に近いかな。あれはポスター、装飾パネル中心だったのに対して、扱う範囲を広げたもの、みたいな。
まだ解説文をあまり読めてないので、そこに対してコメントはできないけど、読んだら感想を書くかも。
*追記*解説読みました。なかなか面白かった。ジスモンダは突然変異なのだろうか?その謎を解き明かしてくれる人は果たして現れるのだろうか。去年、堺で聞いた講演以来、「偶然」というキーワードには懐疑的になってしまう私なので、ミュシャ御本人が語る内容は話半分に聞いておいたほうがいいんじゃないかな。(3/18)

次は「画集」ではなく、文芸書。プラハにまつわるエッセイ?
4409510665複数形のプラハ
阿部 賢一
人文書院 2012-01-21

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これもまだ読んでないので感想どころか解説すら書けないんだけど、全7章あるうちの1章がミュシャに割かれている。目次を見て「読みたい!」と思ったのは、「同胞のスラヴ」について書かれていること。斜め読みしただけでも、ミュシャが晩年、チェコに戻ってからの受け止められ方とか、ミュシャの言葉の引用とか、興味深い内容がちらほら見えて、早く読まなきゃ!と思わされる。その章だけならそんなに長くないのでさっさと読んでしまいましょう。
*追記*この本のミュシャの章は、ユリイカおよびミュシャ生誕150年記念展覧会の図録に寄稿した文章を加筆修正したものだそうな。確かによく考えたら見たことある内容じゃないか(気づくの遅すぎ)。ただし、大幅に加筆修正されているので、上記2冊を持ってるなら読まなくていい、ということはないです(見比べました)。それに、1冊の本としてきちんと向き合うためにはミュシャ以外の章も読まなきゃ意味がないと思うし。(3/18)

上の2冊は既に購入済みであとは読むだけなんだけど、次のはまだ買ってない。
489013669X芸術家の家: 作品の生まれる場所
ジェラール=ジョルジュ ルメール ジャン=クロード アミエル G´erard‐Georges Lemaire
西村書店 2012-02-04

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ミュシャのお家も紹介されてます。本屋で手に取って見てみたんだけど、内容は面白そうだったけど、なにせハードカバーでちょっと大き目の本だったのでひるんでしまって…。そのうち物欲に襲われたら買うかもしれない。ということで、手元にないのであまり書くこともなく、存在だけ紹介して終わります。

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2012'02.06 (Mon)

V&Aのアールヌーヴォー展カタログ

去年の話だけど、京都国立近代美術館のミュージアムショップにて、こんな本を買ってしまった。ヴィクトリア&アルバート美術館で2000年に開催されたアールヌーヴォー展のカタログ。
1851772774Art Nouveau, 1890-1914
Paul Greenhalgh
V & A Publications 2000-03-31

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ソフトカバーも出てたらしい。私が買ったのはハードカバー。
1851772979Art Nouveau 1890-1914
Paul Greenhalgh
V & A Publications 2002-07-31

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どっちもマケプレ経由でしか買えないみたいだけど、それなりの価格してるねー。
この本の存在に気づいたのは年単位でかなり前のこと。分厚いしそれなりに値が張るし、気になってはいたけど購入には至らず。でも心のどこかに引っかかっていた。
この日は何を思ったか買ってしまえ!と思い立ってレジに持っていってしまった。
現品は長年棚に置かれていたせいでそれなりの状態だった。それでもいいかなと思ってたんだけど、レジのお姉さんが新品があるかどうか確認してくれて、一応あったけど透明ラッピングは破けてたしカバーの端っこの方に少し切れ目も入ってたりしてて、どうしますか?と聞いてくれて、せっかくなのでそちらを頂くことに。
この図録がかなりのボリュームで、写真とキャプションを見てただけで軽く1時間は過ぎてしまった。さすがそれ系が得意な美術館なだけあって、充実してます。文章も読むときっと面白いと思うんだけど、英語だもんー。日本語でも時間かかるのに、単語も難しいし、気長に眺めていこうかと。
目次だけ見てても楽しい。アールヌーヴォーを色んな角度から攻めてるっぽい。当然ジャポニズム紹介もあるし、そういった他国からの影響、イギリスフランスといった主要国以外での展開もあるし(チェコも!ロシアも!)、本当に楽しいよ。写真と簡単なキャプションしか見てないけど。きれいなもの、気味悪いもの、へんてこなものがいっぱい。
最後にConclusion(結論)という章があるんだけど、分離派の建物がぼろぼろになってる写真に衝撃。1985年とあるけど、一時はそんなことになってたのね。たぶん全盛期を過ぎた後、再評価されるまでの間、アールヌーヴォーが冷遇され続けた日々について言及してるんだと思う。(読んでから書け)
V&Aというと、その昔、所用でイギリスに行った時、オフの日に訪れたことがある。その頃既にミュシャのことは好きだったけど、今ほど美術に親しんでない頃だったので、今となっては何を見たのかあまり記憶が…。ミュシャがないかなーと探して見つけて喜んでたのは覚えてるんだけど。装飾系に強いということで昔のドレスとか宝石とかを見たのは憶えてるかなー。
そして、そのとき会場内で、アールヌーヴォー展の予告が出ていたのを見た記憶がある。そのせいで版画関係の展示室が閉まっていたような…。それで悔しがってたような気がする。
http://www.geocities.jp/al_m_mucha/column/england.html
後日、日本でも同趣旨の展覧会が開催されることを知って、しかも東京でしかやらないということで、はるばる遠征したんだよなあ。ブログを始める前のことだったので、ホームページに書いた感想など貼ってみる。(昔の自分の文章を読むのはなんだか気恥ずかしい)
http://www.geocities.jp/al_m_mucha/column/artnouveau.html
今こうして本場の図録を手にして、日本展の図録を見直すと、元の構成を引き継ぎつつも日本用にアレンジしてることがわかる。かなりボリュームダウンしてるのは残念だけど、あのボリュームを一度に見たら消化不良になりそうな勢いだし、展示スペース的に難しかっただろうから、いいことにする。その代わり、日本国内の美術館などの所蔵品もかなり出てるし、独自色が出せてるんじゃないかな?図録の文章はあんまり真面目に読んでなかったなあ。まずはこれをきちんと読んでみようかな。
そういえばこの本も世界各国でのアールヌーヴォーの展開を紹介してる本なんだよね。
400008979Xアール・ヌーヴォー (岩波 世界の美術)
スティーヴン エスクリット Stephen Escritt
岩波書店 2004-09-24

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値段は高いし(オールカラーだからしょうがない)分厚いけど扱いやすいサイズだし、日本語だし(これ大事)、読まないとなー。たくさんある積読のうちのひとつです。
アールヌーヴォーとの付き合いは長いけど、まだまだ理解し切れてない部分が多い。アールヌーヴォーは奥が深いのです。
おまけ。
V&Aのサイトにアールヌーヴォー展の特設ページが残ってます。といってもあんまり内容はないけど。
http://www.vam.ac.uk/vastatic/microsites/art_nouveau/
ちなみにこの展覧会、V&Aと日本の他にはアメリカのワシントンナショナルギャラリーでもやってました。こっちは会場設営風景とかいろいろあって今でも楽しめる。インタビューとか読みたいけど読めてない…。
http://www.nga.gov/feature/nouveau/nouveau.shtm
さらにおまけ。V&Aのアールヌーヴォーなページを開いたらミュシャがお出迎え♪
http://www.vam.ac.uk/page/a/art-nouveau/
これはワシントン展の図録かな?
0894682792Art Nouveau: 1890-1914
Paul Greenhalgh
Natl Gallery of Art 2000-09

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0810942194Art Nouveau, 1890-1914
Paul Greenhalgh
Harry N. Abrams 2000-10-01

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ソフトカバーとハードカバーと2種類ある。どっちもマケプレ経由だしいい値段してるけど。古本でも状態がよければアリな価格設定だとは思うけどね。

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2012'01.09 (Mon)

最近出たミュシャの本

最近、というか去年の終わりごろのネタです。
講談社アートボックスというシリーズがあるらしい。よく知らないけど。14cm角くらいの小さな本。そこからミュシャの本が出ました。
4062173174ミュシャART BOX 波乱の生涯と芸術 (講談社ARTピース)
島田 紀夫
講談社 2011-11-26

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その昔、プラハのミュシャ美術館公認!という帯つきで売られていた、「ミュシャ波乱の生涯と芸術」という書籍がありまして、それの再編集版だそうな。
以前出ていた本は、プラハのミュシャ美術館で売られているカタログ的な本の日本語版でした。
4062105411アルフォンス・ミュシャ波乱の生涯と芸術
ミュシャリミテッド
講談社 2001-09

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実はその英語版を持っていたりする私。そうとは知らずにアマゾンで購入してしまった。プラハで売られてるのが何語かは知らないけど、本のサイズ、本文のレイアウトなどは英語版と日本語版はほぼ同じでした。そんなことはどうでもいい。
0711225176Alphonse Mucha
Sarah Mucha Ronald F. Lipp
Frances Lincoln Ltd 2005-05-30

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で、その本を再構成してミニ画集にしたものが、今度出たアートボックスというもの。
再編集って?というのは本の形の差を見れば理解できるかと。A4(正確にはもうちょっと横幅がある)からA5以下に大幅サイズダウンしてるので、かなりレイアウトが変わってる。章立てはまったく同じで、最初の何ページかと最後の何ページかを比較した限り、図版がちょっと小さくなってるけど文章は同じっぽい。ただ、元の本にはあった目次の前の英文と巻末の索引が、新版にはない。たぶん違いはそんなもんかな。
詳しい内容や、他のミュシャ本との比較などは以下のURLを参照のこと。(5年以上前に書いたものですが、たぶんまだ使えるかと…)
http://www.geocities.jp/al_m_mucha/list/which.html

おまけ。洋書だけど、こんな本も出てます。(よそ様の写真を流用。>自分で写真撮れ)
https://twitter.com/#!/MJU_yousho/status/139684652658077696/photo/1
私は梅田の丸善&ジュンク堂で購入。他でも売ってるのかな?アマゾンとか目ぼしいネットショップでは扱っていないようで…。
書誌情報は、国内の通販サイトは見つからなかったので海外のものを…。たぶん怪しいサイトじゃないと思うけど、念のため閲覧注意。
http://www.holisticpage.com.au/Mucha_Forty%7C9781844061716
洋書なので、当然解説は英語。といっても解説は少ないし、絵を見るだけなら何の問題もない。ミニサイズでお手ごろ価格ってところが魅力かな?
ただ、不思議な構成で、脈絡があるのかないのか、ポスター、装飾パネル、油彩などがランダムに並んでいる。とっても不思議な本です。

テーマ : アート・デザイン - ジャンル : 学問・文化・芸術

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2012'01.08 (Sun)

堺の蛇ブレスはドイツでの蛇集会に参加中

2012年は蛇年じゃなくて辰年ですが、新年早々、蛇の話題を。
堺市所蔵の「蛇のブレスレットと指輪」が、2011/11/26から2012/2/26まで、ドイツのプフォルツハイム宝飾博物館の開館50周年記念特別展「Serpentina(サーペンチナ)‐世界の宝飾品における蛇」にて展示されているそうです。
プレスリリース:
http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=201111180729
http://www.city.sakai.lg.jp/city/info/_koho/pub1111/1121_01.pdf
タイトルの通り、蛇づくしの展覧会らしい。博物館の公式サイトにプレビューが公開されてて、20点くらいの写真が見れるんだけど、ばっちりミュシャのブレスレットも紹介されてました。さすがだね。
http://www.schmuckmuseum.de/flash/SMP_en.html
蛇モチーフって何故か惹かれる。ミュシャに関係なく見てみたい、楽しそうな展覧会だな。カタログも販売してるらしいよ。なんとアマゾンで扱ってた。ちょ、ちょっと、そんな誘惑はやめて…。2月に発売らしい。
3897903547Serpentina: Snake Jewellery from Around the World
Fritz Frank
Arnoldsche 2012-02-16

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このブレスレット(と指輪)は女優サラ・ベルナールと宝飾家フーケとデザイナーミュシャという世紀末パリの三大巨人がコラボした作品ってところが最大の魅力かと(だいぶ誇張した表現にしたけど、だいたいそんな感じ)。以前、NYでのサラベルナール展にも貸し出したことがあって、世界が注目する凄い作品なんだよ!だからまだ見たことない人は、この蛇さんが堺へ戻ってきたら是非堺へ足を運びましょう。上記プレスリリースによると3/17から再展示されるそうだ。(蛇ブレスについて語った過去記事 その1 その2
Wikipediaドイツ版に博物館のページがあった。ここでも蛇が。
http://de.wikipedia.org/wiki/Schmuckmuseum_Pforzheim

テーマ : 展示会、イベントの情報 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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2011'12.31 (Sat)

日本絵画のひみつ

クリスマスの日に神戸市立博物館で開催中の「日本絵画のひみつ」展に行ってきた。
神戸市立博物館は南蛮美術のコレクションで有名。前に、プルシアンブルーをテーマにした展示があって、そのときが私にとって本格的にそのコレクションを見た初めての機会だったかなあ。そのときに見たものも少し出てた。
私にとって、日本美術はもちろん興味はあるんだけど、もともと美術にはまったきっかけがミュシャなもので、そこから色々手を広げてく過程で、ジャポニズムだの、西洋と東洋がお互いどんな風に影響を与え合っていたのかというところについ注目してしまうので、生粋の日本画というよりは、西洋と東洋の出会いによって生まれた(今の私たちの目から見ると)へんてこな絵に惹かれてしまう。
そういう点でこの展覧会は色々楽しいことがいっぱいでした。
今回の目玉?小田野直武の不忍池はさすがの存在感。これ、実際に見てみるとすごく不思議な絵で、画風は全然違うけど高橋由一を少し思い出した。これは18世紀の絵だから、幕末の高橋由一よりも数十年か百年くらい前。
秋田藩のお殿様、佐竹曙山の絵も面白いわー。小野田直武と全く同一の構図で描いているものが並んでたんだけど、細かく見ていくと色々違いがあって、これって性格の違いなのかなあ?とか思ったり。赤い鳥の絵も可愛かった。松に唐鳥の図も木の幹の表現が面白かった。
歴史には疎いのでよくわからないんだけど、どうして秋田で蘭画が盛んだったんだろう?長崎とかだったらわかるんだけど。ということで秋田蘭画についてちょこっとお勉強。なるほど…。
ファン・ロイエンの花鳥図の模写が凄かった。油絵を模写したものと、それをさらに模写したものが並んでて、模写の模写はインパクトが減っていた。
それ以外にも、海外の書物(解剖学の本とか百科事典とか地図とか)を模写したものが色々並んでいた。
南蛮屏風も面白い。あんだけ綺麗なのが残ってるのも凄い。細かすぎて見るのが大変で、見切れなかった気がする。図録買えばよかったかなー。
1階にあった南蛮屏風のレプリカも面白かった。もともと8曲1隻だったものを池長孟さんの趣味(?)で4曲1隻に直したらしいんだけど、4曲にしたことで奥行きが出過ぎてちょっと見難かったかな?
福禄寿の絵で、修復して綺麗になったものが展示されてたんだけど、2階にその修復過程を紹介したパネル展示があって、それを見てから改めて実物を見ると、本当に綺麗に修復されたんだなーということがわかって面白かった。
今回の展示、あんまりタイトルと関係ないところで面白がってしまって本来のテーマに沿った見方を全然しなかったような…
振り返ってみると、粉本とか模写とか、こうやって絵画というのは作られていくんだよという解説が確かにあったし、もう一度そういう目線で見てみるのも面白いかもしれない。展示替えもあるらしいし、余裕があればもう一回行くか?
で、図録は買わなかったんだけど、この雑誌を買ってしまった。南蛮特集あり。展覧会で展示されてた絵が少しだけ載ってる。
B0063HDITOなごみ 2011年 12月号 [雑誌]
淡交社 2011-11-28

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ふと、少し前に買った本を思い出した。至文堂「日本の美術」シリーズの「初期洋風画」と「洋風版画」。ぱらぱらっと斜め読みしてみたけど、これはかなり面白いかも…。まさにこの展覧会が扱ってた時代と被る。40年近く前の本なのでもしかしたら内容が古くなってる部分もあるかも(新たな発見とかがあるかも?)だけど、自分にとってはまだまだ未開拓な分野なので、これを機にまじめに読んでみようか。
そして、だいぶ前に京都で見た「揺らぐ近代」という企画展を思い出してたんだけど(当時の感想)、それより遡ること100年、200年くらいの時代に、日本がどんな風に西洋を受け止めていたのか、それがとっても無邪気で楽しそうに見えて、興味深かった。この企画で取り扱っている時代は「近代」の一歩手前くらいまでなんだけど、その時代の「洋画」の捉え方は、ほとんどそのまま「近代」の初期にも当てはまっていて、美術というよりは博物学に近いのかなあ、なんてことも思ってみたりして。学問や技術のひとつとして絵画が存在したという側面もあるよね。
単純に見てて楽しい美術もあるけど、作品からその時代が見えてくるような、そういうところが美術鑑賞の楽しさだなと、自分は思う。たとえば政治や宗教、文学や音楽、天文学や医学、舞台や芸能、工業や商業、工芸や建築、服飾、その時代の風俗など、各種分野が単独で存在するのではなく、複雑に絡み合っていて、その中に絵画も存在する。その繋がりを知ることが楽しい。
そして、展示の最後には、「揺らぐ近代」にも出ていた作家、狩野芳崖の模写があった。そう、やっぱり繋がるんだよね。

おまけ。この対談が面白かった。
第1回はここ。
http://www.1101.com/hashimoto/2004-02-24.html
このページの下に目次的なのがある。
http://www.1101.com/hashimoto/index.html

2011年の締めくくりはそんな感じでございました。今年は一時期かなり出不精になってたけど、終盤で盛り返した感じ。この勢いで来年もどんどん出かけていきたいものだ。2012年はどんな出会いがあるのかな。
本当は2011年の総括的な記事でも書こうかと思ったけど時間切れ。そういえは2010年のまとめもしてなかったことに今さら気づいたりもしたけど、もう遅い?

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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