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2014'04.22 (Tue)

伊丹市立美術館THE COLLECTION 2013

2013年10月末に伊丹市立美術館のコレクション展プレスリリース・pdf)に行ってきた。
Room1:◯△□(まる・さんかく・しかく)
Room2:around“PUNCH”19世紀イギリスの挿絵と絵本

まずは、Room1:◯△□(まる・さんかく・しかく)。
泉茂の大型作品が!雲形定規の作品と、もうひとつ大きいの。初期の小型の銅版画もあった。こんなん持ってるんだなあ。
菅井汲の十二星座があった。少し前に芦屋で見たような?
伊丹といえば風刺画のイメージで、この辺の現代美術系が揃ってるのは知らなかった。
たぶん海外の作家で名前は忘れたけど遠目には一色(こげ茶?)に見えるけど、近づくと斜め格子状(だったと思う)に線が引かれている絵があって、それは見てて面白かった。ああいう絵ってじっと眺めてるとトリップしそうになる。
日本人作家で○や□を手で持ち上げるような彫刻が面白かった。入れ子状になってるやつ。これ、ロビーの片隅にあるのでなんとなくは見た記憶があるんだけど、そういうことを表現してたのか…。ひとつめを見てなるほどと思ってからふたつめを見つけて、対になってるような表現が面白かった。
いいなと思ったのは久保晃の油彩画。抽象画というのか、幾何学的ではあるんだけれど、なんと表現していいのかわからない、発光してるみたいだった、赤い絵。他にも何枚かあって、綿棒だったかなんだかで画面をこするか叩くかしてマチエールに拘っていたとかいう解説があったけど、その効果なのかな?ただベタ塗りしただけではない独特の雰囲気が出ていたように思う。難しいことはさておき、気に入ったということです。
前半は前半で楽しかったけど、後半が濃かった。

Room2:around“PUNCH”19世紀イギリスの挿絵と絵本
パンチで活躍した作家を紹介するというのが中心テーマだったのかな?でも見てるとまるでクルックシャンク展かのようなクルックシャンク率の高い展示だった。前半分はほとんどクルックシャンクだったような。ホガース率は低かった。
画家と作家の力関係が面白かった。どっちが強い?という話があって、画家の力が強いときは挿絵に合わせて文章を変えさせたとかいうこともあったらしい。オリバー・ツイストではチャールズ・ディケンズと揉めたとか。読む側の立場で考えても挿絵の印象って強いからなあ。
後日見た横尾忠則展でも挿絵に文章が引きずられるという話があったし、完全に文章と独立しちゃってる挿絵もあるし、単なる文章の説明を超えた存在になることだってあるんだよね。
クルックシャンクは童話を改変して教訓話にしちゃうとかいうやりかたが批判されたりもしたとか。お酒はダメよーみたいな。
今回は風刺画も出てたけど、絵本とか子供向けの挿絵が多かったかな?風刺画家だと思ってた人が児童画(絵本、挿絵)をやっていたり、その逆もあったり。分野というか方向性がかなり違う気がするけど、両立できるものなのか。時代の移り変わりによる影響なのだろうか?
アリスの挿絵で有名なジョン・テニエルの絵も出てたけど、あの人は確か挿絵画家よりも風刺画家であることに重きを置いてたって聞いたことがあるような…。
後半は、有力作家を何人か、作品を数点~十数点くらいずつで紹介。ここが結構面白かったんだけど、じっくり読んでると時間が足りない…。いい加減、閉館時間になってしまうので、泣く泣く飛ばしながら見ていった。
リチャード・ドイルも興味あるんだけどまとめて見る機会が欲しいなあ。
パンチ&ジュディについてももっとちゃんと読みたかったなー。解説だけじゃなくて展示されている書籍の内容もじっくり読めたら楽しそうだったのに。日本に紹介された例も確か置いてあったと思ったんだけど、でも文章は英語だった気がするし、あれ、なんだったっけ?
しかし、あらすじだけ読むとおそろしい話だ…。これが大人気になるって、西洋人のセンスは謎だ。
ただ、気づいてみると確かにパンチ&ジュディはポピュラーだったのねとわかる。ミュシャの絵にも出てくるし。
最後の方でラスキンが出てきて、アーツアンドクラフツのメンバー、ラファエル前派と言うべきか、その辺もちらっと。
ウォルター・クレインが何枚か出ていた。正方形の本かわいい。(後日LIXILギャラリーで見た内容と少しかぶってた。)
ケイト・グリーナウェイはラスキンに手ほどきされて云々ってあったけど、そういえば前見たラファエル前派ドラマに出てきた若い子はもしかしてこの人だったんだろうか、なんて考えたり。(ドラマではリジーから乗り換えた風に見えた。そう見せてた?)もうちょっとこの辺の人間関係も詳しく知りたいなー。
その後にアーサー・ラッカムも。ラッカムの活躍した時代はさらに後なのかな?アールヌーヴォーの影響が云々書いてあった。ラッカムとアールヌーヴォーって結びつけて考えたことなかったけど、そう言われてみると多少そういうところはあるのかな?

パンチ&ジュディについて、なんか本でも出てないかな?と思って調べたら、ミステリー小説が出てきた。カーター・ディクスンって懐かしい…。
4150704139パンチとジュディ (ハヤカワ・ミステリ文庫 クラシック・セレクション)
カーター・ディクスン 白須 清美
早川書房 2004-03-24

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2014'04.20 (Sun)

旬のネタ

*これは、過去にアップした記事などで、一定期間トップページに出しておきたい旬のネタを載せておくエントリです。日付や内容は随時変更します。
Edit |  19:09 |  ミュシャ一般   このページの上へ

2014'04.16 (Wed)

青山熊治展

昨年10月後半に、姫路市立美術館の開館30周年特別企画展、青山熊治展へ行ってきた。
青山熊治の名前はなんとなく知ってる程度。和歌山県美で見たんだっけな。兵庫県ゆかりの人ということで(生野町出身)、姫路市立美術館はもちろん、兵庫県美や丹陽信金の所蔵品も多かった。
http://www.tanyo-shinkin.co.jp/kouken/culture_aoyamakumajiten.html
http://www.city.himeji.lg.jp/art/digital_museum/kyodo/yukari/aoyama/index.html
http://www.artm.pref.hyogo.jp/2002-2008old/collection/hiroba/aoyama.html
結構大きな賞を幾つか取ってて、生前はそれなりに有名だったっぽいけど、今はあんまり…よね。実際、賞を取った絵を見ても、うーん、どうなんだろ、という感じだった。単に馴染みのない系統だからよくわかんないだけかもしれないけど。
白馬会の末期(最後だっけ?)に賞を取っているとかで、ちょっと知ってるところに繋がってはいる。炭鉱夫の絵(老鉱夫)なんかは、プロレタリア的?とか思ったり。金仏もそれに近いのだろうか。
北海道でアイヌを描いたり、九州で大学の壁画の仕事したり、北から南まで色んなところで仕事をした人のよう。
絵画修行すべくヨーロッパへ旅立つ…というところは当時の画家と同じなんだけど、陸路で行こうとしたところがちょっと違う。鉄道で西へ向かうも戦争の影響でモスクワで足止めとか。現地で絵の勉強も出来たようなので無駄ではなかったようだけど。
ようやくフランスへたどり着くもお金がなくてきこりをしていたとか、色々あるんだなあ。帰国するためのお金もなくて9年くらい滞在したとか。大正時代をほぼまるまるヨーロッパで過ごしたことになる。
このヨーロッパ滞在中にも日本から援助の手は差し伸べられていたようで、パトロンの名前として芝川照吉が挙がってた。あら、こんなところで…。
帰国後もしばらくは大作を描くことがなかったそうだけど、久々の大作でまた賞を取ったとか。その作品も展示されてたけど、やっぱり、うーん。ちょっとシャヴァンヌっぽいのかなあ。壁画っぽいというか。色使いも淡め。高原とか雨後とかその辺、牛の絵とか、こういう絵の見方はよくわからない。
現存しない作品も結構あるらしく、写真パネルの展示も少しあった。
晩年は南画の影響も…という説明もあった。最晩年の投網とか、確かにそれっぽいなと思ったけど、この辺の味わいはまだまだよくわからないわ。
で、47歳で急逝。長生きしてたら本格的な南画描いてたりしたのかも?洋画の人でも結構そういう人いるしね。
図録の巻末資料が充実してて、ファンだったら絶対買ってただろうなあと思いつつ、専門外なので…(なんの専門だ)
先週の石垣栄太郎も資料的価値のある図録だなあと思ったし、こういう企画した人たちの思いが感じられる企画展っていいなあと思う。
展覧会の様子
芝川照吉蒐集図録

んで、この人の先輩で同郷人として、和田三造、白瀧幾之助という人がいる。この二人の特別展が何年か前にここであったらしい。見たかった…。
和田三造はよく和田英作とごっちゃになるんだけど、「南風」の人。兵庫県美に壁画だったかなにかあったよね。特別展の図録があって、中を見ていたら楽しそうなので買っちゃった。(青山熊治を差し置いて)
絵画だけじゃなくて色んな分野で仕事してるんだよね。そういう人が好きだから、和田三造にも興味津々。
和歌山のときも思ったけど、今はあんまり栄えてるイメージのないところでも、ある時代には文化的にも進んでいたりしたんだなあと、解説を読みながら思ったのでした。その要因が鉱山開発だったのが幾野ってことなのかな?

特別展とは別に、コレクションギャラリーでは「夜想曲(ノクターン) 夜を想う」を開催。
非常に小規模な展示。全部で十数点くらいかな?だけど今回は特に好きな雰囲気の絵が多くて楽しかった。

もうひとつ、これまで開催した展覧会のポスター展を通路の壁でやっていた。壁一面に貼ってあったのを見て、京近美でも同じことやってたなーと思い出した。こちらは30周年、あちらは50周年だっけ?
姫路も微妙に遠いからなかなか気軽には来れないんだけど、見たかったなーという展覧会も多い。開催された時点ではあまり興味を持ってなかったというのもあるんだけど。県庁所在地でもない市立でこれだけ充実してるのも凄いよなあ。さすが姫路というべきか。

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2014'04.15 (Tue)

日本ポルトガル交流470周年記念特別展 ICOCU/異国―南蛮とキリシタンの美術― 大阪・南蛮文化館コレクションより

半年も前の話を今更…と思いつつ、2013年10月中旬の話。
堺市博物館で開催していたICOCU展へ、南蛮屏風と初期洋風画を目当てに行ってきた。神戸市立博物館で見た「南蛮美術の光と影」展と被る作品も多かったけど、あのときなかったものも展示されてたし楽しかった。あの時得た知識を加味して見れたのがよかったのかも。
神戸市博で見て以来、南蛮文化館には一度行ってみたいなと思いつつ、開いてる期間が限られてるので常に意識してないとなかなか…。普段どんな感じで展示してるのかもよくわからないし、こぢんまりとしたところの可能性もあるし。今回は「特別展」ってことで、たっぷり見れそうだし、思い立って行くことにした。南蛮文化館の所蔵品を中心に、堺市の所蔵品も交えつつの展示。
堺市所蔵の洋風画が出ていた。女性の絵で、南蛮文化館の女性像と似ている。ふたつ並べて展示されてたけど、堺のやつの方がより個性的というのか、マニエリスムから逸脱はしてないけど、ちょっと雰囲気違うなーって感じ。
エナメル細工の十字架も綺麗だったなあ。神戸市博では小さい身に着けるものとか聖遺物を見た記憶はあるけど、今回出てたみたいなカラフルな十字架はなかったような…。
ザビエルって教科書に載ってたからよく知ってるけど、日本でだけじゃなくて有名な人なのね。しかし宣教師の人とかの布教に対する熱意ってなんなんだろうなあ。なんでそこまでして…と思う。
マリア像がいろいろあった。小さいもの。かわいい。しかし何か(蛇?)を踏みつけにしてる像って、キリスト教的には意味があるんだろうけど、優しいマリア様のイメージが…。
輸出用の螺鈿細工はいつ見ても豪華。今回、日本で作られたもの以外に、インドだっけな?別のアジア系の国で作られて西洋に輸出されていたものもあって、似てるけど全然違うなーと思いつつ眺めてた。
南蛮ものとして、神戸市博では見なかったものとして、カルタが面白かった。
図録も充実。博物館的な解説が楽しい。過去の図録も並んでたけど、ここで南蛮系の展示を何度かやってるんだなあ。一番興味があるのは初期洋風画だけど、南蛮文化の受容だったり、日本からの輸出品だったり、東西の交流の痕跡を見るのも楽しいよね。
キリシタン関連の展示があるせいか、シスターの方々を数人見かけた。

企画展示の手前で常設展もやっていて、ガイドしてくれるというので聞いてみた。おっちゃんおもろかった。古墳ってそういうものだったのか、とか、位置関係とか方向とか、いろいろあるのね。堺は大和の入り口、みたいな。戦後の開発で幾つもの古墳が潰されちゃったというのは残念。元古墳だったところが今は住宅地になっているところも多いようで、知らずに住んでる人もいるんだろうけど、知ったらどんな気持ちなんだろうなあ。
古墳の中におわす人はいったい…という謎も興味深い。大人の事情というやつなのか。
世界遺産(だっけ?)に登録したいと頑張ってるらしい話とか。詳細は忘れちゃったけど世が世なら(そんな表現ではない)重文になっててもおかしくないという仏像(だっけな?)があったり。
おっちゃんの口ぶりから堺と大阪の関係に思いを馳せたり。今の関係があれなのもそういった歴史的経緯が関係しているのだろうか、なんて。(地元の人には常識なんだろうか?でも曖昧な印象で語ると誤解を招きそうなので適当にお茶を濁しておく。)

博物館に着いたとき、エントランス前(屋外)で古楽器の演奏会をやっていた。時間があれば聴きたかったけど、展示を見てる時間がなくなりそうだったのでやめておいた。

せっかく堺に来たんだから、ミュシャ館にも寄ってきた。「ミュシャの横顔」展の後期。前期も見てるから特に目新しいこともなかったんだけど、展示替えもあったし。いつ見てもよいものです。さらっと与謝野晶子記念館も眺めつつ。
今回こそ!ということで、アンケート記入して、DM希望出しといた。(後日、ハガキが届いてほくほくしてる。)

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2014'02.02 (Sun)

石垣栄太郎と香山小鳥

2013年10月中旬に和歌山県美でやっていた石垣栄太郎展およびコレクション展を見てきた。

石垣栄太郎はなんとなく見覚えはあるけど、はっきり名前と作品が一致するところまでいってなかった。
京都国立近美の馬の絵(「鞭打つ」)を見て、あの絵の人か!と思った。未来派っぽい絵。
東京の国立近美にも何枚かあるらしい。
(↑どちらも和歌山には来てなかった。京都のは写真パネルが展示されていた。)
この人はアメリカで活動してた人で、思想を持った人だっただけに、時局に翻弄された人だったんだなあ、というのが感想。
和歌山からアメリカへ渡った人は多いんだろうか?この美術館では和歌山出身者を集めてるから目立つけど、他の地方はどうだったんだろう?
石垣栄太郎の場合、父親が先にアメリカへ出稼ぎに行っていて、誘われて渡米したのがはじまり。
最初はサンフランシスコにいて、色々あってニューヨークへ。その色々ってのがまあ、ほんとに色々な感じ。不倫の末の駆け落ちみたいな。10歳くらい年上なんだっけ?その相手とは結局別れちゃって結婚したのが若い子ってのがなあ…。その奥さんの尽力で現在地元に記念館があるわけだから、悪いことばかりではないんだろうけど。(私は知らなかったんだけど、石垣綾子って結構有名らしい?)
その年上の彼女は芸術家だったらしく、その人が制作した彫刻も展示されていた。ちょっとロダンっぽいような、象徴主義的な作風、らしい。
石垣の作風が未来派っぽいように、ご本人の思想的にも社会主義(共産主義?イマイチ差がわかってない)に心酔して労働者目線の絵画なんかを描いたりしてたようで。力強い壁画もあったり、社会問題を取り上げたような題材もあったり。社会風刺的な絵もあった。といってもそんなにどぎつくなくてユーモアがあってちょっと楽しい感じの。
もちろん深刻な絵もあって、KKKとか怖いわー。
で、まあ、社会主義もスターリンだっけ?のやり口とかが問題になってくると、社会主義に疑念を抱くようになって、制作活動にも翳りが見えたり、政情の関係で壁画作成中にプロジェクトから外されたり、第二次世界大戦のあおりで思うように制作できなくなったり、戦後もその流れは止まらず、赤狩りで国外追放のような形で帰国したり、と、なかなかに大変な人生。
戦後はあまり目立った作品制作もなく、比較的若いうちに亡くなってしまったそうな。
館内にあった図録を少し眺めてきたんだけど、資料をまとめようという意思を感じられるよい図録になっていた。
そこで興味深かったのが、アメリカから帰国する際、ゆっくり荷物をまとめる時間もなく急がされたせいで、絵を枠から外すのにもナイフで切り取ってたとか、持ち帰れた作品にも限りがあったとか、そんなこんなで帰国後に過去の作品に手を入れていた可能性があるとか、再制作していたかもしれないとか、まだ不明確な部分も多いようで。
全貌はともかく一部の作品はある程度知られてる作家だと思うのに、研究はまだまだなんだなあ。たぶんそういう人は多いんだろうなあ。
背景はさておき、展示されてた作品の中では鉛筆で描かれた絵が面白かったな。

そして今回の一番の目的、香山小鳥特集へ!
と、その前に、まずは「コレクション展、秋」を。
前回も見たような?という作品もあったけど、ここのコレクションは楽しい。ここ1年とちょっとくらいの間に4回来てるのかな?毎度楽しんでるけど、これを何年も続けたらどうなるかはなんとも…。(なんてことを考えてしまったのは、最近ここの来館者数の少なさが話題になってたから。)
郷土の作家はもちろんのこと、アメリカの現代美術も結構面白いんだけどね。こないだ関西コレクションズで見た作品と再会したり。脚線美が素敵なあれとか。Remember Meとか。
田中恭吉の油彩画も見れたし、満足。
で、「香山小鳥 ゆめのかげ」展ですよ。
田中恭吉、恩地孝四郎、藤森静雄との関係、もちろんそこには夢二の影もあって、伊上凡骨も出てくるし、あの時代の重要人物だーと思いつつ、鑑賞。
あの人たちの書簡(絵葉書)を読んでると、微笑ましいよね。夢さまとか呼んじゃったりして。
北原白秋に影響を受けて、出たばかりの本の装丁を真似したっぽい絵を葉書に描いて送ってたり。
香山小鳥は田中恭吉よりもさらに短命で、残した作品もごく少数。だから今回の展示も周辺人物の文章だったり葉書だったりの関連資料が多めで、本人の作品も試作のようなものとか、さらっと描いたスケッチ的なものだったり。だからなかなか作品で評価というのは難しいんだけど、その周辺人物たちの香山小鳥に注ぐ情熱というか、気持ちというか、それが凄く響く展示だった。
作品が後世に残るのは、遺したいと想う人の気持ちが大きいんだよなあと、しみじみ。それはこの美術館の展示内容にも現れているなと。
最後の方は、これまで小鳥作と言われていたけれど、実は違うんじゃないかという疑義が生じた作品なども。
そして、出口にミニ冊子が置いてあった。コレクション展に図録は難しいのはわかってるから小冊子でも嬉しい。
しみじみしつつも、恭吉は小鳥さんに紹介された女の子に一目ぼれしたけどすぐふられちゃったり(既に婚約者がいたとかそんな理由で)、実は小悪魔なんじゃないかと誰かが言ってたなあみたいな話も思い出したりしてた。

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2014'01.30 (Thu)

オディロン・ルドン 夢の起源

2013年10月初頭の話。岐阜県美術館で開催していたルドン展に行ってきた。
岐阜県美のルドンコレクション展は前にも見たことあるし、岐阜県美も何度か行ってるし、目新しいことはないのかな?と最初は思ってたけど、ボルドー美術館からもたくさん来てるらしいと知って、それなら…と行くことに。(他に近くに行く予定があったからというのもある。)
ルドンの影響源として、ブレスダンは有名だけど、今回は他に植物学者クラヴォーの植物画もあったり。
ブレスダンの絵も何度か見てるわけですが、善きサマリア人(かな?)がなんだか大きく感じて、よく見るとボルドー美術館所蔵となっていた。(いつも見てるのは岐阜県美のコレクション。)サイズ違いの版があるってことなのかな?
ロビー(ホール?)のワークショップコーナーに拡大パネルがあって、さらに細かく見ることもできて面白かった。
ルドンの絵は同じようなモチーフを繰り返し利用することがあって、今回もアポロンの絵が何枚か並んでて面白かった。
ルドンへの影響源ということで、当時の時代背景の説明もあって、なるほどと感心した。
ひとつは植物学で、これはアールヌーヴォーにもちょっと関連するよね。作品としての現れ方には随分と違うものがあるけれど…。ミュシャ的なパターン化された装飾もあるし、ガレ的な自然の表現もある。アーツアンドクラフツも植物と密接に関わってる。学術的な植物画も好きだし、ルドンみたいに幻想方向に突き抜けるのも面白いし、装飾として花開くのも楽しい。関心の持ち方は人それぞれなのかもしれないけど、自然科学や科学技術の発展という共通する背景があるんだとしたら面白い。
もうひとつ、世紀末には深海ブームがあったらしい。その解説を読んで、ルドンに捧げる仏陀の絵を思い出した。(常設展示室にあった。)仏陀といえば京都近美のアレもあったなあ。
これは土田麦僊旧蔵品で、もうひとつ、大原美術館所蔵の作品もほぼリアルタイムで日本に入ってきたルドン作品だとかで、それを一緒に見ることができるのは不思議な感じ。
深海ネタに戻ると、直接の関連は不明だけど、青木繁のわだつみのいろこの宮とか、レーピンのサトコとか、海中の図が思い浮かんだ。アールヌーヴォーは海とか水のモチーフも多いし、何か関連あるのかな?
ちなみにルドンと深海の関係は、海中の風景というよりは、海中生物の方に重点が置かれてたのかな?
それに対する賛美であれ、反動であれ、同時代の美術に影響を与えていたのかもしれないということを知ると、他の同時代の作家の絵に対しても見る目が変わったり、視野が広がるのが楽しいな。
と、ルドンの感想が少なめなことの言い訳をしてみたり。
ルドンの兄弟も画家だったり音楽家だったりしたということで、楽譜が展示されてたり演奏が流れてたり。絵は前にも見たことあったっけなあ?音楽は初めて。
ルドンの故郷としてペイルルバードという名前は何度も目にしてたけど、ボルドーという意識は全然なかった。生まれはボルドーで育ちはペイルルバードってことなのね。

コレクション展も見てきた。山本芳翠たくさん見れた。ルドンもあった。
ルドンの屏風(衝立っぽいやつ)も展示されてた。たしか象徴派展のときにも見たなあ。あのときはガラスケースの中だったけど今回は生身でどーん。大胆な…。
最後の方が地元の工芸コーナーになってて郡上紬と紋紗が面白かった。
郡上紬については又聞きだけど、身内の知り合いに郡上出身の人がいて、その人によると、おろしたては生地が硬いのでしばらくは寝巻きとして着用して、なじんできたら訪問着にしてたとかなんとか。
紋紗はあれが織って出した模様だなんて思えないくらいすごかった。何をどうしたらああなるんだ…。作家の土屋順紀という人はまだ50代なのに人間国宝になってるし、よっぽど凄い人なんだなあ。

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2013'12.01 (Sun)

生誕130年 橋本関雪展 ―豪腕画人 関雪登場―

兵庫県立美術館で開催していた橋本関雪展を見てきた。9月末のこと。
橋本関雪は唐犬図と木蘭を知ってるくらいで、あまり詳しい経歴とかまで頭に入っていなかったんだけど、何故か前売り券を買ってしまって、見に行った。動物画は気になるし、せっかくなんで見たいなーというくらいの軽い気持ち。(動物画といえば去年、京都でやった山口華楊展に行き損ねたのをいまだに悔やんでいる。今年は竹内栖鳳やるのでこれは絶対行く!)
会場に入ると、すぐのところに金山平三の旧蔵品というものが。関雪と金山は同年生まれらしく、同郷。美校時代に多少付き合いはあったみたいだけど、それより関雪は金山平三の父親と懇意にしていたという話が不思議だった。
展示を見てると若くして画才を発揮するも家庭の都合で10代後半からしばらくは大変だったらしいという漠然とした情報しかなくて、どの程度の苦労だったかはわからない。(会場内に置いてあった図録を見てみたけど全部は読めないし、少し読んでみただけでは具体的にどんな生活をしていたのかはよくわからなかった。)でも25で文展に入選して以降は特に暮らしに困った風な説明はなかったし、幾つも別荘建てたりして、生活は安定していたような印象。
両親や祖父母が教養人で本人も漢学とか漢詩とか詳しくて、中国の故事とか儒学の知識も豊富だったようで、そういう素養に基づいた絵を描いていたりするんだけど、南画って難しいんだよな…。精神性が云々言われてもよーわからん。(この文章自体が知識がないことバレバレな書き方だ。)
で、まあそんな生い立ちだから若い頃から大人との付き合いがあったのかなあ?というところで、金山平三エピソードに戻るわけです。父親と付き合いがあったから、その息子の平三のことを、同い年と聞いて意外だった、もっと年下かと思ってたとか言ってたらしい。
13歳のときの作品が展示されてたんだけど、上手すぎる…。
活動期間は1900年ごろから1940頃まで(1945年没)。
唐犬図と木蘭は見たことがあって、それは近代日本画、現代風(と言っても昭和初期だけど)といった文脈で取り上げられてたような気がする。(具体的に何の展覧会で見たのかはよく憶えてないんだけど。木蘭は確かここ、兵庫県美で見たはず。)
それを思えば不思議ではないんだけど、金山平三と同い年というのを聞いて、ちょっとだけびっくりした。近代的ではありつつも、題材は中国の故事だったり、南画とか割と古風(という表現が適切かは不明だけど)な絵を描いてたりもするから、あんまり昭和のイメージがなかった。61で亡くなったので、長生きしてればもう少し近い年代の人って意識も持てたのかな?(80として昭和40年ごろまで活動してた可能性も…)
竹内栖鳳に師事したけど、ほどなくして袂を分かったとか。京都に別荘を建てて画室を構えてたらしいけど、いわゆる京都画壇とは距離を置いてたらしいとか、そんなエピソードも。終戦間際に亡くなったために没後の回顧展などで画業をまとめられる機会がなかったせいで、記録や資料の整理なども進まなかったらしい。
(そういや竹内栖鳳も、京都の美術館によく行ってる身からすると十分知名度あるように思えてたけど、全国区では案外知られてない作家らしい。最近の回顧展で一躍脚光を浴びてるようなことを誰かが言ってた。)
ということで、久々の大回顧展なんだそうで。
展示作品のキャプションを見てたら、姫路市立美術館所蔵のが幾つかあった。関雪の父親は明石藩の人だったらしいけど、姫路は遠いような?そうでもないのか?
そういう背景を鑑みつつ、作品の感想など。
最初にそんなに最近の人という気がしていなかったという感想を抱いたように、比較的正統派というか、古風というか、新古典派とか呼んだりもするらしい、そんな作風が多い印象。
割と繊細な線で描かれた絵が多いのかな?と思いながら見てたら、「南国」という絵でびっくりした。色も派手だし線も力強い。こんな絵も描くのねー。
古風と言いつつも、たぶん日本画の伝統から行くと今風ではあるのかな。その今風が大正時代だったり昭和初期だったりするから、今見ると古風に見えるってだけで。
登場人物がその時代の現代人ではなく、歴史上の人物だったり仙人だったりするから、あまり時代を感じないのかな。洋装の人物なんかが出てくるといかにもな時代性を感じるんだろうけど。(大正ロマン、昭和モダン、とか呼ばれるタイプの日本画とか、あるよね。)
ひとつ、ちょっと雰囲気が違うなと思った人物画があった。三幅対の掛軸。真ん中に木があって左右に男女が描かれてる。これも中国の古い言い伝えみたいなのだったと思う。親孝行がどうのっていう。ぱっと見たときはただ、不思議な感じがしただけだったんだけど、後で解説を読んだら宗教画的、キリスト教っぽい、みたいな説明があって、なるほどと思った。女性が赤ん坊を抱いているのは聖母子っぽくも見える。確かにちょっと西洋っぽい香りがしないでもない。
山水図的なのは、完全に南画の領域だったなあ。南画がわかるようになる日が来るのだろうか…ってくらい疎い世界だ。
落款がたくさんあった。自分では彫らなかったらしいけど、腕の立つ彫師?を招いて彫らせてたらしい。相当な拘りがあったようで。
写実といえば動物画なのだろうか。
唐犬図のモデルは洋犬(ボルゾイとか、あとは名前忘れた)で、モデルにするために何匹か取り寄せたものの、相次いで病死するという悲しい裏話も。展示室の最後に写真パネルが何枚か展示されていて、その中に洋犬と一緒に写ったものがあったけど、そのときの犬なのかな?
他にも猿とか狸とかいろいろいた。これは現代目線から見てるからかも知れないけど、すごーく自然に馴染んでる。写実的に描くのは近代以降のやり方だけど、それが日本画として自然に見えるというか。「リアルすぎて妙な感じ」とかそういうのがない。当時の感覚としては新しかったのかな?
最晩年は戦争に関連する絵もあったり。
売店は、ちょっと地味目だったかな?
竹内栖鳳の班猫グッズが幅を利かせてた。栖鳳との間の確執は実際どんなもんだったのかわからないけど(展覧会ではあまり深く突っ込んでなかった)、うーん。
うーんとか言いつつ、班猫のミニクリアファイルとか買っちゃったんだけど。橋本関雪のも買ったよ。姫路市所蔵の可愛い子(作品名忘れた)のチケット入れ。
ブログ書きつつ読んでた関連リンク。
京都ゆかりの作家
http://www.kyotodeasobo.com/art/artist/hashimoto-kansetsu/hashimoto-kansetsu.html
白沙村荘・橋本関雪記念館
http://wagen-memo.jugem.jp/?eid=473
画廊のサイト
http://www.tor-gallery.com/gallery/2013/06/1306291f/

常設展示は前に見てたのでパス。一部入替もあるから時間があれば見たかったけど、無理だった。
入場するときに、11月からの展覧会のチケット貰った。行こうと思ってたやつなので嬉しい。(クールスポット関連の特典だったと思う…。クラコレのときにも配布してたらしいけど、私が行ったときはまだそのキャンペーンやってなかったので貰えなかった。)
少しだけ時間があったのでライブラリに寄ってみた。
主に他館の展覧会の情報収集(ポスターがたくさん貼ってある)だったんだけど、そういえば奥の方に貴重な美術書を展示してることがあったなあと思って奥まで行ってみたら、加藤太郎が!ガラスケースに版画集を並べてあった。そこの解説を読んで知ったんだけど、加藤太郎は結核で亡くなっていて、兄弟も相次いで同じ病で亡くなったため、後に残された兄弟の奥さんが家を建て替えるときに納屋ごと焼き払ってしまったとかで、ほとんど作品が残っていないらしい(詳細はうろ覚え)。だから残っている作品もわずかなんだとか。私も葉っぱの木版画くらいしか知らなくて、でも印象に残っていたんだけど、そんな事情があったとは…。事情が事情だけに仕方ないと思うけど、辛いね…。

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2013'11.11 (Mon)

画業40年記念「黒井健 絵本原画の世界」展~物語との出会い~

9月末の話。
阪急うめだのギャラリーでやっていた黒井健展を見た。(阪急百貨店の告知 その1その2
昔、「詩とメルヘン」とか「MOE」とかの雑誌をよく見てた頃に、この人の絵も目にしてたんじゃないかな。それで何となく名前は憶えてた。あとはまあ、会場が行きやすい場所にあって遅い時間でも開いてるからという理由で、通りすがりにふらっと寄ってみた。
代表作は「ごんぎつね」や「手ぶくろを買いに」なのかな?ころわんとかいうシリーズもあるらしいけどよく知らない。絵本以外に大人向けの挿絵なんかも描いているらしい。
ごんぎつねも手ぶくろ~もお話は知ってるけど、この人の絵本で読んだことがあるかどうかは不明。教科書に出てきた記憶はあるので、絵本では読んでないのかも?
絵の横に制作秘話的なコメントが書いてあって、そこで、当たり前なのかもしれないけど、ちゃんと取材して描いてるんだなーというところにへえとなった。確かに文章で情景を説明するのと違って、絵は誤魔化しがきかないからね。「手ぶくろを買いに」では昭和の町並みを表現するのに苦労したとか。原作ではっきり時代が限定されてたのかわからないけど、原作が書かれた時代を意識したってことなのかな?
絵本の内容と制作技法が合わなくて何年も棚上げにしてた作品があったとか、絵本を作るのにも色んな苦労があるんだなあと思った。
技法は色鉛筆がメインなのかな?他にオイルパステルを使ってるとか、布でぼかしてるとか、そんな説明があったような。なんとなく水彩とかパステルで描いているのかなと安直に考えてたけど、試行錯誤の上の技法なんだなあ。
若い頃、数だけこなしてたときは、必死で仕事してたのに、ふと気がつくとそれらの本は全然お店に並んでなかったとかいうエピソードも。じっくり作品に取り組むようになってからは、構想から完成まで何年もかかるものもあったりするらしい。
絵以外に、絵を元にした人形とかの小物が展示されてた。作ったのは多分他の人。
新美南吉の自筆原稿が展示されててびびった。
インタビュー映像とかも流れてたけど時間がなかったのであまり見ていない。会場に入ったのは閉場まで1時間もないくらいの時間だったかな?会場に入るときに係員の人に、DVDが○分くらいあるので興味があれば先にご覧になるとよいですよ、みたいに言ってくれたんだけど、絵と解説をじっくり見る方を優先したので…
グッズ売り場には複製画も売られていた。ジークレーだったかな?こういうのを見るとついお値段をチェックしてしまう…。サイズが大きくなると急に値段が上がるなあとか。
参考リンク:
http://www.kenoffice.jp/
http://mi-te.jp/contents/cafe/1-1-130/

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2013'11.10 (Sun)

六甲アイランドで関学とキモノ、そして神戸

9月後半の話。
小磯記念美術館で開催していた特別展「関西学院の美術家~知られざる神戸モダニズム~」を見た。
展覧会の中では洋画もよかったけど、版画!木版画!北村今三と春村ただを!これがよかったなあ。
特に春村ただをのスケートする男性の絵が素敵すぎた。この絵は知ってたんだけど、実物を見たことあったっけなあ?本で読んだだけ?ちょっと記憶が怪しいけど、今回あらためて見てみると、いい。
神原浩の銅版画もよかったな。
関西学院って芸術系の学校じゃないはずなのに、結構画家を輩出したりしているらしい。学内に芸術同好会的なものがあって(絵画部弦月会)、そこでの活動を通してのことらしい。商学部とか経済学部とかがあって(現在のことは知らない)そこに入学はしたけど勉強はそっちのけで絵を描いていた人もいたとか?(先生の方が、勉強はいいから、いくらでも絵を描いてていいから、是非おいでと誘ったとかなんとか…)
吉原治良は実業家と芸術家の二足のわらじを履いてた人だけど、こういう大学だったからこそな部分もあるんだろうか?
昔、関学のキャンパスがあった原田の森ってどこだろう?と思ったら王子公園駅の近くか…。いつか行こうと思いつつ先延ばしにしてる横尾忠則の美術館ができたとこだ。そろそろいい加減に行かないとなー。
関学グッズが売っていたのにはどうしたらいいのか悩んだ(笑)だって別に関学関係者でもないし、関学に憧れる身でもなし。関西出身じゃないからあんまり親近感もないんだよな。阪急今津線に乗ることは多いので、身近といえば身近なんだけど。大学受験の頃は京都は射程内だったけど、大阪、神戸はあんまり考えてなかったしなあ。(今思うと大差ないんだけど。)
このブログを書くために参照ページとか調べてたらこんな文章(http://www.kwansei.ac.jp/gakuinshi/37NK.pdf)を発見。この展覧会に至る過程が書かれていて興味深い。ちょっと前までは生没年も不詳だったり遺族も不明だったりわかんないことだらけだったんだなあ。それが少しずつ紐解かれていく様子にわくわくする。
そういえば展示では京都国立近美の所蔵品が目に付くと思ったけど、そうか、例の川西英コレクションか。
この辺の事情をよく知らず、神戸ファッション美術館へ行くついでくらいの気持ちで寄ってみただけだったんだけど(一応吉原治良とかお目当てはあった)、これまでの鑑賞経験と結びつくような体験ができてよかった。こういうことがあるから美術館通いはやめられないんだよなー。
版画目当てでカタログ欲しい気分になったけど、西村元三朗展のカタログを見つけてそっちに飛びついてしまった。だって初期作品が結構載っているんだもん。(関連記事その1その2

で、当初の目的、神戸ファッション美術館で「涼をよぶロマンキモノ展―夏の愉しみ―」展を見た。
時間と体力に余裕があれば歩いていける距離なんだけど、今回は電車で移動…。
昭和初期くらいの時代がメインなのかな?まだまだ着物を着ている人も多かった時代、夏の着物は他の季節に比べると商品展開が多彩だったようで、技術の発達で様々なデザインの着物が作られたとか。素材も涼しげだったり。
見るからに涼しげなのもあるし、秋のモチーフを用いることで涼しさを演出したりも。
抒情画を再現するマネキンが面白かった。端的に言うと、着物だけを展示するよりもわかりやすいってことなんだけど、色々と苦労もあるようで。しかし、この美術館に通ってるとマネキンにも愛着がわいてしまう。だんだんアブナイ人になっていきそう(^^;)
参考にされてたのは高畠華宵がほとんど。中原淳一が少し。他の画家もあった。すべて原画とか当時の印刷物そのものではなく、複製写真パネルだった。(そのこと自体はどうでもいい。)
絵をそのまま再現ではなく、恐らく手に入る素材の中から近いものを選んでたのかな?髪型の解説もあったり、想定される年齢も書いてあったり。20代半ばくらいの若奥様が多かったような…。
花火大会だか夏祭りだか、見るためよりも見られるために装っていたみたいな解説もあったような…。
着物の柄を見るのも楽しかったし、解説を読むのも楽しかった。図録というほどでもない薄い小冊子が売られていたので買った。
ミニ企画でビーズバッグコレクションも展示されていた。
簡単な分類だけで詳しい解説もなかったのでさらっと眺めてきたけど、まとめて見ることで、持つ人の年代によって色使いとか違うんだなーというのがわかったりして面白かった。

ついでに神戸ゆかりの美術館にも入ってみた。
特集展示「没後10年・生誕90年 西村 功と神戸 哀歓とユーモア」。
この人は耳が聞こえなくて東京芸大へ入学できず、誰かの尽力でムサビへ入ったとか?そんな制約があるのか…。絵を描くのに関係ないように思うのに。
私は神戸育ちではないのであまりよく知らないんだけど、タウン誌みたいなもの(ペーパー?)の表紙イラストを描いていたらしく、その原画と現物が展示されていた。地元の人には懐かしい感じがする作家さんなのかな?

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2013'10.13 (Sun)

兵庫と和歌山のコレクション

古い話をふたつ。
7月末に、兵庫県立美術館へ、コレクション展のみを見に行ってきた。
ミニ企画のひとつは大阪にあった現代美術画廊、信濃橋画廊のコレクションを一括寄贈されたお披露目。その画廊は2010年で閉廊したらしい。信濃橋と聞くと信濃橋洋画研究所を思い浮かべるんだけど、それとは全然違った。
現代美術には疎い自分ですが、以前から兵庫県美が持ってたコレクションで信濃橋画廊に展示されたものもあるという紹介があったりして、兵庫県美リピーター的にはとっつきやすい内容になっていた。
画廊の歴史を振り返るような感じで、特定の作家に偏らず色んな作品が並んでいたので、なかなか感想も書きにくいんだけど、現代美術(もう現代じゃないけど)に触れるいい機会になったかなーと思う。
新収蔵品の紹介として、泉茂と菅野聖子があった。元永定正もあったよ。泉茂は縁があってファンになったけど、この頃の作品はどう反応したらいいのか悩むなあ。システマティックな絵画制作というやつなのか。タイトルの付け方まで徹底的。
そして、毎年恒例の手で見る造形。毎年見てるわけじゃないけど過去に何度か見ている。前回はイマイチだったけど、今回は結構面白かった。
低めの温度で焼いたという壷がよかったな。ああいう複雑な構造は触りがいがある。
でっかい壷みたいなのがあったけど、触ってみたら軽い感触。張りぼてという表現は違うかもしれないけど、軽そうな素材だった。こういう触ってみて実感できるものがあるってのは面白い。

8月末には、和歌山県美のコレクション展を見てきた(コレクション展2013-夏と、瑛九:紙の上の仕事)。本当はコレクション展だけじゃなくて夏休み向けの企画展示も見たかったんだけど、暑かったり天気が悪かったりでずるずる先延ばしにしてるうちに会期末になってしまって、見れなかった。残念。
コレクション展だけでも十分なボリュームだったけどね。特にお目当てだった瑛九のミニ企画がよかった。
コレクション展は夏をイメージさせる作品がいろいろ。そういう中に田中恭吉や恩地孝四郎がしれっと入ってるのが嬉しい。川口軌外の大型作品もよかったな。
そういうテーマとは別に和歌山ゆかりの作家たちも。高井貞二が気になる。泉茂や瑛九の油彩画もあった。
瑛九のミニ企画は、フォトデッサン/ペーパーワーク、エッチング、リトグラフ、資料展示といったところ。ミニ冊子ももらえた。エッチングとかリトグラフはじっくり見てるといくら時間があっても足りない。
それにちなんでデモクラート美術家協会とかの瑛九周辺作家たちもいろいろと出ていた。一人当たりの点数は少ないけど、いろんな人の作品が見れて楽しかった。池田満寿夫の「月に吠える」にまた会えて嬉しかった。
最後に瑛九の版画研究の成果発表みたいなパネルがあった。これが結構面白かった。銅版画の原版を元に復刻版を摺ってみた、みたいな内容だったけど、オリジナルはニュアンスを出すために色々と工夫をしてるらしいことと、復刻版はあくまで線を忠実に再現することに主眼を置くからそういった味を排除してる、とか、版画も奥が深いなあと。
次のミニ企画が香山小鳥なんで、また来ないと!和歌山は遠いんだよ、本当に。でも、楽しそうな企画をやってくれるんだよなあ。今度は企画展示も逃さずに行きたい。

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