2011年09月 / 08月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫10月

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Edit |  --:-- |  スポンサー広告   このページの上へ

2011'09.06 (Tue)

橋口五葉展@北九州

北九州市立美術館・本館をたっぷり楽しんだ後、分館で開催中の「生誕130年 橋口五葉展」を見てきた。
橋口五葉と言えば新版画!三越のポスター!日本のアールヌーヴォーとして名前が挙がる筆頭なわけですが(個人的に)、意外と彼の画業の全容はあまり研究されていなかったりするらしい。実際、版画家として本領を発揮し始めて、さあこれからというところで亡くなってしまったし、本画もやってるけど世間的に認められたのは装丁の仕事だったりポスターや版画の世界だったり、複製芸術の世界だからね。
この展覧会、展示品リストを見ると所蔵元として千葉と鹿児島がたくさん出てくる。図録を見たら企画構成が千葉市美術館と鹿児島市立美術館となっている。ここにどうやって北九州市立美術館が絡んできたのか、不思議だわ…。おかげで自分は行くことができたわけだからよかったんだけど。(鹿児島は遠すぎるし、千葉はタイミング的に難しかったから)
この分館はリバーウォークという施設の中にあるとかで、デパート内美術館みたいなやつを想像してしまったんだけど、中に入ってみたら天井も高くて会場面積もそれなりに広くて、思ったよりいいとこだった。とはいえやっぱり本館に比べると雰囲気的に物足りなさがあったけど。
時間に余裕があったからリバーウォークの中をうろうろしてもよかったんだけど、流石に疲れてこれ以上歩きたくない状態だったので、無駄に体力を消耗しないことにした。
解説読んでたら、五葉は黒田清輝の親戚筋にあたるとか、その黒田の勧めで洋画を学んだとか書いてあって、黒田と言えば確か杉浦非水に図案の道を勧めたのもヤツじゃなかったっけと思い出してみたり。黒田もそれなりに好きな絵はあるけど、それ以上に好きな人に影響を与えてるところがにくいヤツだ…。
青木繁とか藤島武二と共通する空気を感じる絵もあったりして、自分が好きなものってどこかで繋がってるんだなあと思う。新版画の「髪を梳ける女」がロセッティのレディリリスだという指摘にはっとなったりもした。
洋画や日本画も面白かったけど、やっぱり一番心ときめくのは装丁とかポスターとか絵葉書とかの仕事だよなー。見るときのテンションが全然違った。夏目漱石と泉鏡花はいい装丁の本を出していることで有名らしいんだけど、そのどちらでも優れた作品を残したと言われているのは五葉だけ、というのも凄い。
話題の「黄薔薇」は、なるほど…、いや、これは、「日本画」として評価しようとすると難しいだろうなあ…。これを出品した会の傾向をよく知らないから、当時の評価が妥当だったかどうかはなんともいえないけど。しかし表装まで凝ってたなあ。
素描も面白かった。比較的あっさり書かれてるように見えるんだけど、髪の毛が凄い。あれが版画に繋がるわけね…。
新版画は女性画が目立つけど、風景画も意外とよかった。これはほとんど浮世絵だなー。画稿や下絵と、版画として完成したものを並べると、版画ってやっぱり素敵と思う。
没後、残された版木や版下絵をもとに刷り上げた版画も展示されてたけど、何かが違う…。特に感じたのは髪の毛かな。浮世絵でも私は特に髪の毛にこだわるタイプなので、全然なってなーい!と思った。
五葉は色んな分野に手を出したけど、本当に自分に合った方向を見出すまでの全部がなくてはならない経験だったのかな、そして最後に自分の道を見つけることができたのかな、と感じた。ただ、もう少し時間が残っていたら…と残念でならない。
それにしてもボリュームたっぷりの内容で、展示の途中で座りたくなったけどなかなか椅子がなくて困った。その前に本館でさんざん歩き回った後だったし、かなり足にきてました。
売店では、夏目漱石の本とかたくさん並んでた。ちゃんと見てないから他に誰のがあったのか覚えてないけど、装丁は普通のやつだったのであまり興味が…。その時代の美術が好きなら文学にももう少し興味持つといいんだけど、なかなか手が出ない。
五葉デザインの復刻ブックカバーがあるらしいと聞いてたんだけど、残念なことに、3種類(我輩ハ猫デアル、四篇、虞美人草)あったうちの2種類は売り切れで、「虞美人草」しか置いてなかった。虞美人草の色合いがちょっとカラフルすぎるかなーと思ったんだけど、これはこれでかわいいかもとお買い上げ。
(展覧会の様子が写真つきで紹介されてる。→http://www.riverwalk.co.jp/blog/2011/08/100130.html やっぱ他のブックカバーかわいい…)
余談だけどこんなブックカバーもあったらしい。→http://d.hatena.ne.jp/shinju-oonuki/20110801#1312195293 下の方に革製のやつが載ってる。これは売ってなかったなと思うなあ。さすがにこのお値段ではその場にあっても手は出せなかったと思うけど。
当然のごとく図録は買いましたよ。あとクリアファイルをひとつ。
この本もいいなーと思ったんだけど、図録と内容がかぶるし、そこそこいいお値段だし、荷物になるし、ということで断念。
4872422511版画芸術 150―見て・買って・作って・アートを楽しむ
阿部出版 2010-12

by G-Tools

ページ数は少ないけど、図録よりも大きめに幾つかの装丁が綺麗に掲載されているところは後ろ髪引かれる…。
ふと、手持ちの本で、五葉の絵が表紙になったのがあったような、と思い出して引っ張り出してきた。海野弘「日本のアール・ヌーヴォー」(新装版)。ちなみに裏表紙は非水百花譜。
こんなの。→http://www.natsume-books.com/list_photo.php?id=100016
おまけ。→http://d.hatena.ne.jp/shinju-oonuki/20101013
1978年に出版されたもので、日本のアールヌーヴォーについて書かれた比較的早い時期の書物。私が持ってるのは1988年発行の新装版。だいぶ前に古書で買ったんだけど、藤島武二のところくらいしか読んでなくて、棚に仕舞いこまれていた。改めて読んでみると五葉について割と細かく書かれてるし、杉浦非水との共通点や相違点を読んでなるほどと思ったりした。なんというか、アールヌーヴォーってそういうものなのかと今更納得するようなことが書かれていたりして、古い本でも発見はあるものです。でもまだ最後まで読みきれてない…。
海野弘の本は結構持ってて、講演会でサイン貰っちゃったこともあるくらいなんだけど、ちょっと文学的というか感傷的な文章を書く人なので、実際のところ、美術評論としては微妙かな?と思う部分もある。この人の書いてることはただの推測なのか、案外当たってることもあるのか、よくわかんないけど、世紀末好みは自分とも共通するところがあるので、そういう考え方もあるんだなあと思いながら読むのは楽しい。
以下、余談。
こんなアンケートを発見。
http://d.hatena.ne.jp/bunbun_memo/20110825/1314233798
夢二って私の中では商業イラストは好きだけど、本画はそれほどでも…という人で、あんまりアールヌーヴォーというイメージがない。なぜかと聞かれると困るんだけど。世代的に五葉や非水よりもう少し若いんだっけ?そういえば今度、京都で川西英コレクション展があって夢二もたくさん出るっぽいし、行ってみようかなあ。海野氏の講演会もあるんだ!
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2011/389.html
スポンサーサイト

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Edit |  01:03 |  アート  |  TB(0)  |  CM(0)   このページの上へ

2011'09.04 (Sun)

北九州で具体

北九州市立美術館・本館にて、ドニ展を見た後はコレクション展を見た。地方の美術館に行く楽しみは所蔵品展でもあるわけで、見なきゃ損。その美術館の特徴も見えるから、親しみもわく。今は「具体」特集や荒川修作特集をやっていて、ふと、兵庫県立美術館を思い出した。もしかして仲良かったりする?
とりあえず近現代の洋画ということで、ドガやルノワール、モネとか、洋画の有名どころと、日本の洋画家の作品が少し展示されていた。
「具体」の作品は、タピエの旧蔵品をこの美術館がまとめて持っているんだとか。馴染みのある名前がちらほら。この辺の作品ってタイトルが「作品」だったりしてどれがどれって区別もつかなかったりするんだけど、田中敦子の作品は好きだなー。あと、誰だか忘れたけどキャンバスに正方形の紙を敷き詰めて貼ってるやつも好き。でもこれってどうやって保管してるんだろう、大変じゃないのかな、と余計な心配をしてしまう。
荒川修作って名前は記憶にあったけど、作品と一致してなくて、見てから、ああ、あの人かと納得。そして養老天命反転地の人だということも聞いてびっくり。へー、そうだったのか。展示室はふたつに分かれていて、アネックスの方が面白かったかな。最初は文字に惑わされてなんだかよくわかんないなーと思ってたんだけど、ただただ幾何学的な線を眺めてるうちにだんだん楽しくなってきた。
本館からアネックスまでの道がちょっとした回廊?になっていて、一応網で仕切ってあったけど屋外と繋がっていて、バッタやらトンボやら虫がいっぱい見えた。海も少し遠くに見えた。
美術館の中に小さなライブラリーがあって、昔の図録とか美術雑誌とかが置いてあった。あんまりここで時間を使うと次に差し支えるかなーと、ちょっとだけしか見てこなかったけど、過去にここで開催された展覧会の図録コーナーが楽しかった。近所に住んでたら絶対常連になってただろうなーというラインナップなんだもん。そういえばミュシャ展もここでやったんだっけ。
1981年に開催された、ジャポニズムとアールヌーボーという展覧会で、ハンブルク装飾工芸美術館所蔵の作品展が面白そうだった。1981年というとまだ日本でもミュシャはあまり有名ではなかった時期で、この図録での表記が「ミュッシャ」だったり、スラヴ叙事詩についての説明らしい文章でもスロバキア民の歴史を描いた未完成の作品群がクルマウ城にあるとかなんとか書いてあって、突っ込みどころ満載だった(それほど情報がない時代だったと思うから仕方ないとは思うけど)。で、この展覧会が兵庫県立美術館でも開催されていたというのを見て、やっぱりここが兵庫県立美術館と仲いいのかもと思ったのはあながち思い込みでもないのかもと思ったり。共通する何かがありそう。
そして、売店で何故かラファエル前派の本を買ってしまった。このシリーズは手ごろでビジュアル豊富なところがいいね。
4422211544ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)
ローランス デ・カール 高階 秀爾
創元社 2001-03

by G-Tools

展覧会とは全然関係ないんだけど、最近CSで見たドラマが結構面白かったもんだから、ラファエル前派について真面目に入門書でも読みたいなあと思って。(ドラマはもう放送終わっちゃったけど。輸入盤のDVDなら手に入るらしいけど。)
B0026P40NUDesperate Romantics [DVD] [Import]
Franny Moyle
BBC Warner 2010-07-20

by G-Tools

ドラマの第1回は見逃しちゃったんだけど残りは全部見た。史実をベースに面白おかしく脚色してるドラマで、人物のルックスはかなり本物に似せる努力をしてたみたい。ロセッティとエリザベス・シダルの関係を軸にミレーやハントの恋模様も描いている。ドラマを見ながら史実を調べて違いを確認したり、ラファエル前派とは…みたいなことも調べたりして、結構楽しかった。でもウィリアム・モリスとバーン・ジョーンズの描写がそれはないよな感じだったのが残念。

てなところで、分館へ移動。今度はちゃんとバスを乗り継いですんなり辿り着けました。五葉の話はまた次回。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Edit |  19:09 |  アート  |  TB(0)  |  CM(0)   このページの上へ

2011'09.03 (Sat)

モーリス・ドニ展@北九州市立美術館

北九州市立美術館・本館で8月28日まで開催していた「モーリス・ドニ いのちの輝き、子どものいる風景」展に行ってきた。
そもそも北九州へ行こうと思った理由は北九州市立美術館・分館で開催している橋口五葉展。千葉と北九州と鹿児島の3箇所しか巡回しなくて、うちから一番近いのは北九州かな、と。全然近くないけどね!でも、行ってよかった。橋口五葉展の前にドニ展から見たので、その順番に書く。
北九州市立美術館・本館はちょっと山の上の方にある。小倉駅からバスを乗り継いだら行けるんだけど、小倉駅より西小倉駅からの方が早そうだったので西小倉で降りてみたら、バス停はどこ?状態…。公式サイトで見たときはバス停の位置まで説明がなかったしー。目の前にタクシー乗り場があったので、めんどくさくなってタクシーで行ってしまった。後でわかったことだけど、少し歩いて大通りに出たらバス停はすぐ見つかったみたい。でも土地勘ありませんから。まあ、早く楽にたどり着けたからよしとするか。
で、ドニ展です。ドニと言えばナビ派。ドニ展があることを知ったのは北九州へ行く直前で、あんまり詳しい内容も調べずに行ってしまったので、ナビ派なドニを期待していた自分にとってはちょっと期待はずれだったかも。でも、ドニの違う面を知ることができたのは収穫だったかな。
最初の方にナビ派なドニの作品がちらっとあった後は、ひたすら家族を描いた絵が並んでた。会場ではドニ家の家系図が配布されていて、見終わる頃にはドニ家がすっかり身近な存在になってしまうくらい。
基本は肖像画というのか、日常のひとこまを切り取った絵だったりするんだけど、よく見るとその中に色んな要素が含まれていて、面白かった。
凄いなと思ったのが、ドニはモデルをじっと座らせて描くことはあまりせず、たとえば子どもが家の中で遊んでたりするのをただ眺めていて、ささっとスケッチをしたり、色のメモなどをして、後からそれを元に作品を完成させていたとか。ある家族の肖像でも、家族全員を並ばせたりはせずに、それぞれ個別にスケッチしたものを後で作品としてまとめてたとか。
そういう制作方法だからなのか、絵によっては同じ人物を画面の中に繰り返し登場させたりすることもあって、それで同じ人物の違う面を見せていたりして、面白いなあと思った。
あと、ドニは実は結構色んな画風を試していて(主に古典的なものかな?でも点描画とかもある)、それでも全部確かにドニの絵ってわかるのも凄いなあと思った。
それと、ナビ派で活動し始めた頃ってまだドニは10代だったのかよ…というところもちょっと驚きだったり。
後半で装飾画とか大きめの作品が並んでた。家族の肖像もいいけど、やっぱり自分の好みはこういうやつだなー。ドニが装飾を手がけた教会があるらしく、写真があったけど、見てみたいなー。
その後、コレクション展も見てきた。それは長くなりそうなので、次の記事で。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Edit |  19:59 |  アート  |  TB(0)  |  CM(0)   このページの上へ
 | HOME | 
アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。