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2006'11.17 (Fri)

梅田でミュシャ展示

この週末、梅田の某空中庭園のあるビルでミュシャのレプリカ販売イベントが開催されてます(ミュシャ展とは呼びたくない)。なぜか私にお得意様向けDMが…。
あんまり晒したくない過去だけど、私もむかーしアレを買ってしまったことがあります。引越しのときに邪魔くさいので処分してしまいましたが。中途半端な気持ちで買っちゃった自分も悪いんだけどね。今はオリジナルの小品だけで満足してます。
ほんまもんのお得意様でなくても住所録に名前があればDMは届くんでしょうが、今回は通常の招待状に加えてお得意様向け招待会のDMが別途届いたんですよ。全然買う気がないどころかこんなにアンチなんだけどねー。
というわけで、勧誘されまくること必至とわかっていながら行ってしまいました。この目で確かめてから文句が言いたいという変な動機で。今回はオリジナルやアンティーク小物も展示されてるというのも動機の一つ。展示物に罪はないものね。
しかし、行ってみてびっくり。オリジナルって客寄せの展示用だけじゃなくてしっかり販売もしてるのね。しかもバリ高い。なんでやねんってくらい高い。しかもカーテンの隙間から見えたスタッフ用スペースにはまだまだたくさん額縁が置いてあるようで。全部がミュシャじゃなくてもちらっと見えたうちの何枚かはオリジナルぽかったし。何枚仕入れてるんだろう…。
しかし小物からオフセット印刷っぽいものまでぜーんぶオリジナル「リトグラフ」って書いてあったのに笑った。オリジナルも状態悪いものが結構あって、それでも強気なお値段で。ああ、なんだか展示品がかわいそうになってしまいました。売ってる人はどれくらい商品知識があるんだろうなあ。いったいどういう出自の作品なのか、制作年代とか技法とか、ちゃんと説明してくれるんだろうか。アフターケアはあるんだろうか。
そんなことを考えながら見ていたら、新たな発見が。ある雑誌の表紙なんだけど、背景部分に天使が描かれてるのに初めて気付いた。この絵はたぶん他でも見たことあったはずなんだけど、全然気付いてなかったなあ。タイトルは忘れた。後で思い出したら追記します。
入り口付近はオリジナルコーナーで、その次にリクリ、一番奥の接客テーブルのスペースがジークレーでした。その順番で見るとどんどん劣化していくのがよくわかる。帰るときに逆方向に見ていったら、リクリを見てほっとしてしまいました。なんだろう、ジークレーよりもすっきりさっぱりしてる印象なのよね。私はよっぽどあのジークレーが気に入らないらしい。リクリにも問題はあると思うけど、値段や売り文句を別にすれば悪くないのかもと思わされてるのって何かの策略?
今回は勧誘避け対策にウォークマンをしていったらまったく捕まらずに済みました。絵にかぶりついてたから横から話しかけられてもほとんど気付かなかったでしょう。1回だけ声かけられたけど笑顔でスルー。貰うもんだけ貰って帰ってきましたよ(来場者特典)。
空中庭園の下ではクリスマスイベントが始まっていて、もうクリスマスツリーかよと思いつつ、しっかり写真を撮ってる私。露店で売ってるアクセサリーが可愛くて見てたらお店のお兄さんに話しかけられてなんだかよくわかんない談義を交わしてました。日本語上手な外人さんで何故かカルチャーギャップの話を繰り広げたりして面白かったです。
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【More・・・】

リクリやファインアートなんちゃらも適正価格で適正な説明で売ってくれれば悪いものじゃないと思ってるのですが、一番気に食わないのが変なお墨付き。ミュシャの遺言でとか(これはソース不明。たまにそういう説明を受けたという人を見かけるが、伝聞でしか知らない)ミュシャが生きていたらきっと採用したであろう技法でとか(勝手に決めるな)孫がチェックしてサイン入れてるとか(なんの権威ですか)だから何?な宣伝文句が多すぎ。
ちなみに、この業者で扱ってる複製画は大きく分けて2種類。
リクリ=リクリエーション=復刻リトグラフ(1995年頃から2000年くらいまでさかんに宣伝販売してた)
ファインアートなんちゃら=ジークレー=デジタルプリント(現在絶賛宣伝販売中)
リクリは一応手描きの復刻らしいので、ある程度手間はかかってるんでしょう。リトグラフってのは石版印刷のことね。板状の石灰に油性の絵の具やクレヨンで絵を描いて薬品に漬けると、絵を描いた部分以外はインクをはじく性質に化学変化して、そこにローラーでインクをのせて紙に当てて圧力をかけると絵が転写される仕組みです。木版や銅板と違って板を彫ったり削ったりする必要はなくて、筆でさらっと描いたものがそのまま印刷できるという画期的な手法だったとか。当時の石版はほとんど残ってないんじゃないですかねえ。厚みのある石の板なので場所も取るし、ほとんどは必要枚数刷り終わったら表面を磨き直して次の印刷に使ったらしいですから。残ってたとしても経年劣化してそう。基本的に1色1版なのでカラーリトグラフの場合は全色分残ってないと使いようがないし。現代リトグラフを作る場合は石の板ではなく金属板を使うことが多いらしいです。
ジークレーは写真製版の一種。絵をスキャンしてコンピュータに取り込んでインクジェットで印刷するらしい。あとから金箔を貼り付けるのは手作業だとか説明してた気がする。
一時期、ミュシャの油彩作品を「なんちゃって表面処理」して出してたけど、あれってどういう印刷方法だったんだろ。今回も展示されてたけど詳しいことは何も書いてなかったしな。まあいいや。

リトグラフの値段ですが、100年前のオリジナルならともかく、最近刷った復刻版に何十万とか百何十万もの価格は付きません。せいぜい十何万くらい?欲しい人が増えれば値上がりもするでしょうが、あんなに必死に営業して売ってることを考えるとプレミアつくほどのものかは疑問です。
ジークレーはもっと安いでしょう。そりゃあ何千円レベルの印刷ポスターよりは綺麗かもしれないけど、写真製版の複製画が何十万もするわけがない。何万円レベル。

リクリは色使いも研究してオリジナル発表当時の色彩を再現しましたという謳い文句でしたが、結局それぞれの主観だからねえ、それが吉と出るか凶と出るかは。ということで私には凶なものが多かったかも。
あと、職人がオリジナルを参考に石版の上に線を写し取る作業というのが入ってるせいで(写真製版ではないってこと)オリジナルとは微妙に違う怪しい顔つきになっちゃってるのもあった。表情は大事です。
リトグラフで細い線をくっきり出すためには技術が必要なようで、オリジナルに比べるとなんだかぼやけた線になってるものも散見された。作品によってばらつきはあるだろうから質の良い復刻もあったのかもしれないけど、そうでないものも結構ありました。
あくまで復刻ですよということで適正に売られるならそれでもいいけど、オリジナルを寸分違わず再現しました!色褪せる前の色彩を再現しました!というにはちょっと弱すぎるんじゃないのと。

ジークレーは写真製版なので顔つきが変わっちゃうことはないという点では安心。でもインクジェット方式はどうも細い線に弱いみたいで、さっき文句をつけた復刻リトグラフの方がまだましに見えるくらいぼやけたジークレーが何枚かありました。ジークレーについてはネットで調べた程度の知識しかないけど、表現できる色彩の幅が広くて細かいインクの粒子を吹き付けるから繊細な表現が可能ということらしいです。でも疑わしいなあ。あれってどういうことなんだろ。技法の問題じゃなくて取り込んだ画像の精度の問題なんだろうか。それとも私が期待するレベルが高すぎるんだろうか。
あと、リクリがオリジナルと同サイズで作成されていたのに対してこちらはサイズフリーでオリジナルよりちっちゃかったりでっかかったりします。縮小する方向ならまだしも拡大するって意味わからん。拡大すれば画質は落ちるに決まってるのに。
色合いはあんまり加工してないんですかね。取り込んだままの色合いに多少調整してる程度か。自分の印象ではちょっと濃い目にしてる気がする。
で、問題は金箔ですよ。オリジナルのリトグラフにも金銀の彩色はありますが、あんなにテカってません。もっとマットな光り方です。それにオリジナルでは銀色な部分まで勝手に金色に変えてるし、不必要なところまで金ぴかにして何が楽しいんだか。
どっかの適当な会社が作ったものなら趣味の問題で片付けてもいいけど、ミュシャの財産を継承したと公言している団体がそういうことすると、それが正統なんだと言われてるみたいでちょっとなあと思ってしまう。
前にやってた財団秘蔵展や今巡回中(現在中休み中)の展覧会で売ってた財団公認の複製ジークレーやシルク印刷のは品よく仕上がってたから、ああいうのをもっと作ってくれればいいのに。もちろんそれも適正な説明と価格でね。(11/19追記:ちょっとフォローを追加しました)

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