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2007'03.03 (Sat)

姫路のポスター展

姫路市立美術館にて開催中の「大正ロマン 昭和モダン ポスター展」へ行ってきました。
昼前に着いて、2時間くらい展示を見て、午後2時から学芸員さんの講演を聞いて、常設展を見て、図書室に置いてあった企画展関連図書を見て、閉館時間まで粘ってしまいました。
いやー、楽しかった~。やっぱりこういうのが好きなんだよなと実感。自分は広告業界に身を置いてるわけでもないし、デザイン関係者でもないし、実生活には何の役にも立たないんだけどね。でも知ることが楽しい。
さすがに疲れたのか帰りの電車では爆睡してました。はっと気付いたら降りるひとつ前の駅で焦った。危うく乗り過ごすところだった。

【More・・・】

ポスターってのは基本的に西洋文化の流入なんだけど、日本にもそれ以前から似たようなものがあったというのは初耳。「引札」という今でいうチラシやDMみたいなものだそうで。今回のテーマではなかったので展示の中ではさらっと紹介されてるだけだったけどこれだけをテーマにした本もあるようで面白そうだなあ。
原画と完成版ポスターが並べてあるのも面白かった。印刷結果を予測して原画を描ける人がポスターの世界で成功したという話も。
初期の手書き複写の頃の印刷の説明が面白かったな。その道の達人って凄い。原画を見て版を頭の中に描けるってのは凄い(1色1枚なので、複数の色に分解するということ)。完成版から推定して作った原版を1色ずつ刷ったものが並べてあるのも面白かったです。これとこれを重ねるとあんな色になるなんて、素人には思いつかないよ!と驚きます。
版を起こす作業も複数で分担していたようで、美人画の場合一番重要なのは顔なので腕利きの技術者が顔を担当して、他に帯、着物、背景というように部分ごとに担当が分かれてたらしい。
他にも当時の石版が残ってたらしくそれが展示されてたり広告見本台帳があったり当時の広告業界の裏側が垣間見える楽しい展示でした。
写真製版技術が出来てからも最初のうちは手作業の工程も多かったみたいで、ポスターを制作する技術を持っている印刷所というのはそれだけでステータスだったらしい。当時は印刷所が現代の広告代理店的な役割も果たしていたらしく、依頼主の要望に応えるために調整するのも印刷所の仕事だったとか。手間もかかるし利益率のいい仕事でもなかったけど挑戦する職人の誇りと、コストはかかってもイメージアップをしたい広告主の需要との幸福な出会いだったんですね。
そうそう、ミュシャ中毒らしくミュシャネタも発見してきましたよ。ミュシャに影響を受けたらしいポスターの横に参考図としてミュシャのダンスのモノクロコピーが貼ってありました(堺市所蔵品)。面白かったのが、ミュシャ→それに影響を受けたポスター(典型的な円形の装飾)→さらにそれをぱくったポスター(人物がそのままだけど装飾は省略されてる)と3段階に展開していたこと。最初と最後を比べるとあんまり似てるといえない状態になってました。
他にもへーと思ったり面白いこといっぱいあったんだけど全部書いてるときりがないのでこの辺で。展示室を一人回りながらニヤニヤしてて怪しかったかも。
学芸員さんのお話はタイムリーに気になってた話題だったので興味深く聞くことができました。今日を選んで来てよかったなあ。ちなみに若くて綺麗なお姉さんでした。お友達になりたい…と思ってしまった。
最近、モダンアートに対する苦手感の原因とか考えてるうちに純粋芸術とそれ以外(応用芸術だの装飾芸術だの工芸だの)と何が違うのかということにぶち当たってまして。これは昔から自分の中で結論が出ない課題だったんだけど最近また考えるようになって。なかなか答えは出ないけどヒントになる内容ではあったかなと。
日本では工芸と美術の区別がもともとなかったのに西洋人からそれは美術じゃないと言われて美術の範囲を狭めていった、なのに逆に西洋ではポスターもアートだとか言い出したりアールデコ展(装飾芸術展)で工芸品もアートみたいな展開になったり、工芸といわれるものの価値が上がったり下がったりしてるとか。
画家がポスターの原画を担当することも多かったけれども、師弟関係の中で師がその手の活動に否定的だと弟子も手を出せないので、ポスターをやってる人を見ていくと師弟関係の流れが見えるという話も面白かったです。また、画業の隙間を埋める研究材料としてポスターにももっと着目すべきだという話も。美術界では軽んじられがちなポスターだけどもっと研究が進むといいなと思いました。
常設展示もついでに見てきました。展示数は少ないけどルドンとかシスレーとかお馴染みの名前が多くてよかったです。モンティセリという人に興味を持った。1860~70年頃から既にあんな画風で描いてたなんて。非売品の作品解説カタログによると自分は50年時代を先取りして描いていると言ってたとかなんとか。ゴッホも影響を受けたらしいということで画風を想像してみてください。
そして最近恒例になりつつある図書室チェック。今回は企画展示に関連する書物を一箇所にまとめて置いてあったので拾い読みしてきました。10冊以上あったかなあ。ぱらぱらめくって気になったところだけ読んできたけど、純粋美術と広告美術はまったくの別物であって上下関係なんてないという言葉にはっとした。評価する基準が違うんだから同じ尺度で測っても意味がないと。時間があればもっとじっくり読みたかったけど、閉館時間になったので後ろ髪惹かれつつ退出しました。
このポスター展、4月には凸版印刷株式会社印刷博物館(東京)でも開催されるみたいです。タイトル違うみたいだけど図録は共通らしいので同じものが出展されるのかしら。
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