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2008'02.04 (Mon)

宮武外骨がおもしろい

伊丹市立美術館で開催中の「外骨~稀代のジャーナリスト」展へ行ってきた。
会場自体はそんなに広くないんだけど、展示されている資料は盛りだくさん。しかも雑誌や新聞といった絵と文字によるメディアだから、いちいち読んでると非常に時間がかかる。でも面白いからつい読んでしまう。ってことでかなり長居してしまいました。
雑誌や新聞の展示ってガラスケースの中が普通だけど、何点かはアクリルの板に挟んで表も裏も見えるように宙吊りにして展示してあったり、紙面の拡大コピーが壁に貼ってあったりして、読みやすくてグッド。昔の文章って読みにくいかと思ってたけど一般大衆向けの雑誌だったからなのか意外と普通に読めた。フリガナもたくさんふってあったしね。
外骨の名前は最近まで知らなかったけど彼が手がけた「絵葉書世界」は見たことがあった。それが記憶に残ってたので、この展覧会のポスターを見たときにそれと共通する世界を感じて、しかも割と気に入ってる伊丹市立美術館だったので、よし行こうと決めたわけだ。行ってみたらその絵葉書が展示されてて、ああアレを作った人だったのかと。
外骨さんは絵を描く人ではなくてジャーナリストであり編集者。だから雑誌の表紙や挿絵を単体で見た場合は外骨さんの作品とは言い切れないんだけど、編集者として全体を統括していたのは外骨さんってことなのでその絵に込められた精神を評価するなら外骨さんの作品としていいんじゃないのかな。
以前「絵葉書世界」を見たのはボストン美術館ローダーコレクションの展覧会。日本の明治大正の絵葉書を紹介するもの。その頃の日本にはミュシャもどきなイラストが多くて見てて楽しい。最初はアールヌーヴォーやアールデコの影響を受けてるデザインに興味を持ったんだけど、それだけじゃないネタとして面白いものも結構あったりする。ということで、私にとってはミュシャ繋がりで辿り着いた人なんだけど、きっとファン層は異なるんだろうなあ。
外骨が最初に出したというパロディ新聞「屁茶無苦新聞」がアホらしくて楽しすぎ。一世を風靡した「滑稽新聞」もおもろい。私はウィットとユーモアがある人が大好きで、「過激にして愛嬌あり」というキャッチコピーはストライクゾーンど真ん中。かなり過激なことをやってるんだけどちょっとアホっぽいネタも多くて「面白半分」なところがいいなあと。面白半分とはいうけれど、実際には外骨さんは不敬罪で投獄されたり発行する雑誌を何度も発禁処分にされたり警察に監視されたり相当痛い目も見てるみたい。とはいえそれをものともせずに逆にネタにしてたりするところがすごいんだけど。
美術的な観点から言うと表紙のイラストが素敵。何度も発禁処分を受けるくらいの雑誌なので画家の名前は不明なものが多いらしいけど、実は名のある絵師が描いていたんじゃないかという話。明治時代には浮世絵が廃れてきていて仕事に困っている絵師も多かったらしい。デザイン的におもしろいものも多かった。
あと興味深いなあと思ったのが、外骨は当時日本では顧みられることのなかった浮世絵を守ろうとしていたとか、保存することなんて考えられていなかった新聞雑誌の類を整理して保存しようとしていたとか、文化(風俗)資料を保存しようという気持ちが強かったという点。
ちょっと残念だったのは詳細を記載した図録がないこと。一応「図録」と名の付くものは売ってたんだけどパンフレット形式のもので図版も全部掲載ではないし解説もちょっと物足りない。でも作りは結構面白いので買っちゃったけど。
外骨についての本は幾つか出ているようなので、もっと知りたい、手元に置きたい、と思ったらそういうものを手に入れないといけないのかな。売店で何冊か売ってたけどピンと来なかったので今日のところは買わず。伝記とか解説よりも当時の雑誌や資料そのものが面白いんだよなあ。
そんなこんなで企画展示室を長々と見てたので常設展示室の方はさらっと短時間で済ませてきた。おなじみドーミエやグランヴィル、ホガースといった英仏の諷刺画が並んでて、奥の部屋に日本の諷刺雑誌が。外骨展の補足みたいな感じで楽しめた。
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