2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

2009'07.19 (Sun)

日本の表現主義

兵庫県立美術館で開催中の「躍動する魂のきらめき―日本の表現主義」展へ行ってきた。
私のお気に入り、藤島武二の絵があるらしいというのに期待して行ったんだけど、それは序章に「明星」の表紙絵が1枚だけだった。そうかー、武二の油彩で表現主義っぽいのってなかったっけなあ。いかにもぎらぎらなのはないけど、割とこってりめの絵もあると思うんだけど。
今回は作品点数350点(展示替ありなので実際に展示されてるのは300点弱くらいかな?)ということですごいボリュームだった。さらに分野もさまざまで、洋画、日本画、工芸、版画、建築、舞台、写真、彫刻、その他資料とあった。約140作家という説明があったので、一人当たりの点数は少なめ。だから各作家について突っ込んで知るタイプの展覧会じゃなくて、「表現主義」という傾向が幅広い分野に広がっていたことを実感するものなのかな、と感じた。
とりあえず序章で表現主義が蔓延する前の予兆として藤島武二や黒田清輝などを取り上げてた。黒田の作品は彼がちょうど渡欧から帰国した年のもので、こんなのも描いてたのねーと意外だった。あとは工芸と建築もちょろっと。しかし本の装丁は工芸という分類になるのか…。図録を見ると神戸では展示予定のないらしい黒田の油彩画がもう一枚掲載されてた。これはもう少し後の時代のもので、まさに表現主義が広まっていた時代だと思うんだけど(1919)これでも「予兆」というのか?世代が上だからってだけで分類してないか?と思ってしまう。もうひとつ日本画も展示されないみたいだけど図録に載ってるやつが面白そう。この展覧会は6箇所くらいを巡回するみたいだけど、どこの会場でも図録に載ってる全作品は展示されないのかな?分量が分量だから仕方ないとは思うけど、詰め込みすぎじゃないのかと思ってしまうわ。図録単体で見たらボリューム満点で楽しいけど、実際に見れない作品が多いのは残念。
序章の後は本格的に表現主義の作品が展示されてるんだけど、まあとにかく量が多いったらもう。図録が手元になかったらなに見たか忘れちゃってるよ。展示リストもあったけど会場内の展示順とリストの順番が合ってなかった。並べ方が悪かったとは思わないので別にいいんだけど。
洋画では植物がわさーっと描かれたのが印象に残ったな。日本画と洋画という区分もだんだんよくわからなくなってくる時代なので、後でリストを見てこれってそっちなの?というものがあったり。たぶん画材によって分類してるのかな。
写真作品もおもしろかった。ただ、写真といいつつ後から手書きで何か書き加えてない?というようなのがちらほらあって、なんだかよくわからなくなってしまった。ソフトフォーカス気味なのが多いのはわざとなんだろうか。
版画はいいよね。いつ見ても。長谷川潔って昔はフランスに渡って以降のマニエールノワールばっかりに目が行ってたけどこの時期の日本での活動も面白い。月映が好きだー。マヴォもおもしろい。そういえば白樺に対する言及はなかったけど白樺と時代は被らないのかな?先月見た白樺派の展覧会でも表現主義っぽい発言を解説の中に見たと思うんだけど、そういえば直接関わりそうなものってなかったような(それとも見逃しただけ?)。白樺に関わりのあった作家はいたけど、白樺そのものが表現主義というわけではないのだろうか。
表現主義といえばドイツの影響が大きいという部分に絡めてドイツ作家の作品もちょろっと。自分はこの世界にフランスの世紀末から入ってるのでフランスにはそこそこ詳しくてイギリスがちょこっとわかるかなくらいだけど、ドイツってさっぱりなんだよなあ。建築ではバウハウスの影響とかもあるみたいだし、未来派といえばイタリアだっけ?ロシアともなんかあったっけ。そういう他所の国の事情ももっと知りたいなあ。せめて19世紀末から20世紀初頭限定でももっと知識が欲しい!
建築は模型やスケッチがたくさんあった。スケッチといいつつなぜか詩がついてたり、どこまで実用的なのか謎な図案とか、よくわからないなーと思いながら見てた。デザインが近未来風だったり。もちろんちゃんと実現したものもあるので、まったく実用性がないわけじゃないんだろうけど。
舞台関係の資料もおもしろかったな。上演中の写真とか、舞台背景のスケッチとか、衣装の案とか、舞台装置の模型とか。舞台の宣伝広告みたいなのとかもあったり。映画の広告もあったっけ。
音楽も少しだけ。山田耕作だったと思うけど、2箇所くらいで流れてた。
彫刻はそういえば少なめだったかな。ところどころに点在して展示されてたような。壷を抱いてる女の人の彫刻がよかった。
工芸は家具から壷から浴衣までいろいろ。「表現浴衣」というのがあってどこかで最近見たような…と記憶を辿って思い出した。先月に京都モダニズムの展覧会で買った本に載ってたんだ。
489511547X骨董「緑青」 (Vol.17)
マリア書房 2003-01

by G-Tools

工芸品は数が少なかったわけじゃないんだけどいまひとつ印象が薄かったような気がする。家具はやたら綺麗なのが展示されてたので不思議に思ってよく見たら最近復元されたものだった。当時も同じような質感で仕上げられてたとしたらまったく現代のものと言われても違和感がないようなかわいさだったな。
とりあえず7/20で前期展示が終わり。後期展示はどうしようかなあ。会期は大きくは前後期に分かれてて、さらに前期の中でA/B、後期でC/Dという区切りがあって、短いものはA~Dのいずれかの期間のみの展示となってる。写真や舞台関係の展示物はごそっと入れ替わるみたいだけど、わざわざ見に行く価値あるかな。常設展示目当てで8~11月のどこかでまた行こうとは思ってるんだけど、表現主義展は8月16日までなんだよなあ。その次のだまし絵展は名古屋で見てるけど、会場が変わったら見せ方も変わるかもしれないし、それと抱き合わせにする方がいいか、迷うわ。とか言ってるうちに会期が終わってそうだな。
そういえば以前から、大正時代に焦点を当てた展覧会ってないかなー、大正ロマンとか大正シックとかそういうのは見たことあるけどそうじゃなくて、ちょっと暗いイメージの大正が気になるし…と思ってたんだけど、この展覧会が扱っている範囲はリストを見るとどうやら1910年代から20年代ということで、まさに大正時代だ!と今更気づいた。図録を読んだらもっと大正時代のこと理解できるかな。分厚いけどがんばって読もう。(図録と同内容の書籍が一般書店でも販売されてるのを先月見たけど、アマゾンだと中古のみなのね。他のウェブショップは知らない。一般書籍としての定価は4500円+税だけど、展覧会図録としては2500円だった。もしかしたら装丁等に多少違いがあるのかもしれないけど、かなりお得です)
4808708744躍動する魂のきらめき―日本の表現主義
森 仁史
東京美術 2009-05-14

by G-Tools

この展覧会全体から感じたのは、感情があふれてるなーということ。それが表現主義ってものなんだろうけど。構図がどうのとか色彩の表現がとかそういうのよりももっとどろどろした何か、生々しい何か。ときにはおどろおどろしくもあり。大正といえばモガとかモボとか言ってた時代のはずなのに、いろんな面があるんだなあ。
関連記事

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Edit |  23:38 |  アート  |  TB(0)  |  CM(0)   このページの上へ

Comment

コメントを投稿する


管理者だけに表示

このページの上へ

Trackback

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | HOME | 
アクセス解析