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2009'11.10 (Tue)

Michael FeinsteinとCheyenne Jackson

11/3に発売されたMichael FeinsteinとCheyenne Jacksonのデュエットアルバム「The Power Of Two」がいい!ってことで勝手にプロモーションしちゃう。たぶん日本で注目してる人なんて少数だろうけど…
B002RFX9TKThe Power of Two
Harbinger 2009-11-03

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このアルバムはインディーズレーベルからのリリースとなっています。MichaelはConcordレーベルと契約してるはずなんだけど変則的なアルバムだから別レーベルになったのかな?Cheyenneは基本は俳優さんでミュージカルのサントラ以外にリリース歴はないみたい。
Michaelのアルバムは近作2つはコンコードから日本盤が出ているんだけど、今回のレーベル(Harbinger Records)の作品を日本盤としてリリースする会社はないんだろうか…。ジャンル的に日本じゃマイナーだし難しいかな?
ディア・シナトラディア・シナトラ
マイケル・ファインスタイン

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ホープレス・ロマンティックスホープレス・ロマンティックス
ジョージ・シアリング

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「ディア・シナトラ」の感想はこちら。
http://ira.blog2.fc2.com/blog-entry-609.html

【More・・・】

アルバムタイトルの「The Power Of Two」はIndigo Girlsの1994年発売のアルバム「Swamp Ophelia」に収録されている曲から。Indigo Girlsは1985年から現在まで活動を続けている女性2人のフォークロックデュオで1990年にはグラミー賞を受賞。ちなみに二人ともゲイ(レズビアン)だそうです。(唐突だけど本質的な話なので先に触れておく)
Michael Feinsteinはアメリカの古き良きポピュラー音楽を後世に残すことに使命感を燃やす人。ジャズ歌手ともちょっと違うしキャバレーシンガーという肩書きもあるけどブロードウェイでワンマンショーをやったりもする人なのでなんと説明したらいいのか難しい。NYでナイトクラブを経営してたりもする。基本的にはグレートアメリカンソングおたくという説明で間違いはないかと(笑)。アメリカのいわゆるスタンダードソングと呼ばれる音楽を収集、保存、伝承することがライフワークみたいになってる人。特にGershwinに関しては特別なコネクションを持っていたりもする。昔の楽譜とかレコードとかのコレクターらしいけど一生かかっても捌ききれないくらい持ってるらしいよ。一度お宅訪問してみたい…きっと宝の山なんだろうなあ。現在50歳を少し過ぎたくらいの年齢。グラミー賞に5回ノミネートされたことのある実力派ベテランシンガー。(私は10年来のファンで、以前ライブに行ったときの話はこの辺でどうぞ)
Cheyenne Jacksonはブロードウェイの若きスター。本場NYの舞台で主役を務めたり映画やTVに出演したりしてるらしい。長身で容姿端麗な青年。年齢は30代半ば。頭角を現したのはここ5年くらいのことみたいで新進気鋭なのかな?私も最近まで全然知らなくて、たぶん日本での知名度は低いと思う。名前の読み(カナ表記)もシャイアンなのかシェエンなのか統一されていないみたいで困ったのでここでは英語表記で通すことにする。
そんな二人がタッグを組んでデュエットアルバムを作っちゃいました。そもそものきっかけは1年前のクリスマス。屋外イベントで別々に歌うことになっていた二人が暖を取るために用意されたテントで一緒になったのが最初の出会い。それ以前からCheyenneはMichaelのファンだったらしいけれども会って話すのはこれが初めてだったそうで。そこで仲良くなって後日Michaelの家に夕食に招かれたCheyenne。楽しく時を過ごして一緒に歌ったりなんかもして、すっかり意気投合した二人は一緒にショーをすることになります。それが今年の6月のこと。Michaelが経営するナイトクラブで開催されたショーは好評だったらしい。その勢いでアルバムも作っちゃいました。
二人の共通点は同じような音楽が好きという点はもちろんのこと、ゲイであることを公にしていて長年付き合っているパートナーがいるというところも一緒。Michaelは1年ほど前にその彼と結婚してます。
Indigo GirlsがレズビアンでMichaelとCheyenneがゲイで、というプライベートな情報を持ち出すのにはわけがある。このアルバムのコンセプトと大いに関係があるから。
アメリカでは(日本でも?)世間にゲイということをオープンにするのは大変なことらしく、疑われてるけどはっきりとは言わない有名人も結構いるみたい。特に保守的な地域では風当たりも強いみたいで、Cheyenneも田舎出身で厳格なキリスト教徒の家に生まれたのでカミングアウトした後しばらくは家族に口もきいてもらえない状態だったとか。Michaelの苦労話はよく知らないけど、たしかクリントン大統領の頃にホワイトハウスに招かれたときにパートナーと同伴で行ったとかいう話をどこかで読んだので結構前からオープンにしてるんじゃないのかな。ゲイといっても色んなタイプがいると思うんだけど、この二人はぱっと見はストレートの男性となんら変わりなくて、お化粧したり派手な格好をしたりということはないみたい。どっちがいい悪いって話じゃないんだけど、なんとなく世間ではゲイっていうと浮ついてるようなイメージを持たれてるのかなって印象があるので(特に芸能人だと派手な人が多いし)いろんなタイプがいるんだよということで。
ゲイである二人がレズビアンデュオの曲を歌うとなったら批評する側もそれを前提に内容を評価するわけで。そのことを頭に入れて聴いてみるとなるほどねーと思う部分もあるので、一応ながーい前置きとして書いておきます。
そういうの関係なしに楽しいアルバムだと思ってるけどね。
いい加減にアルバムの内容紹介に移ろう。このアルバムは先述したナイトクラブでのショーをベースとして作られているので演奏も大掛かりなオーケストラとかじゃなくて小編成のバンド。ホーンやブラスが入ったりはするけど、たまにギターもあるけど、基本はピアノ伴奏かな。デュエットアルバムだけど全曲デュエットではなくて、ソロとデュエットを織り交ぜた構成。

1. I’m Nothing Without You (Cy Colman/David Zippel)/Michael & Cheyenne
元気のいいオープニングナンバー。君がいないと僕はてんで使い物にならないよ!という内容でデュエットナンバーとしてぴったり。息の合ったところを見せてます。
2. Me and My Shadow (Dave Dreyer/Bill Rose/Al Jolson)/Michael & Cheyenne
続いてデュエット。それぞれが違うメロディを同時に歌うところが好き(カウンターポイントまたは対位法というらしい)。
3. Old Friend (Nancy Ford/Gretchen Cryer)/Michael
ピアノの弾き語りでしっとりと。Michaelお得意のナンバー。この曲はMichaelがデビュー間もない頃に出したアルゴンキンホテルでのライブアルバムで聞いて以来お気に入り。70年代か80年代頃のオフブロードウェイか何かの作品で、ウーマンリブとかが盛んだった時代のものらしい。男女間の友情とか女性の独立とか…(この曲のこと知りたさにネットを調べまくった過去がある)。失恋したから友達を呼び出して愚痴って…みたいな内容だけどよくよく聴くとなるほどねーな部分がある。この部分って先に挙げたアルゴンキンライブのときには違ってて、歌詞の流れ的に違和感があるなあと感じてたんだけど、これでしっくりきたわ。
4. A Foggy Day (George Gershwin/Ira Gershwin)/Cheyenne
Michaelお得意のGershwinナンバー!と思いきや歌うのはCheyenneさんです。Cheyenneの歌にじっくり耳を傾けてしまう。いい曲だよなあ。
5. So in Love (Cole Porter)/Michael
Michaelのソロで。イントロからムードたっぷりでロマンチック。
6. Old Devil Moon (Burton Lane/E.Y. Harburg)/Cheyenne
これはミュージカル「フィニアンの虹」の曲。現在ブロードウェイでCheyenneが公演中ってことでタイムリー。軽やかに歌ってます。
7. The Time Has Come (Michael Leonard/Marshall Barer)/Michael
Michaelが個人的にも親しくしていた作詞家Marshall Barerの作品。時はやってきた、と歌うこの曲に込められた思いを感じてみてください。
8. I’m Checkin’ Out - Goombye (Billy Strayhorn/Duke Ellington)/Cheyenne
楽しい曲。途中で違う曲のフレーズが入り込んでくる。後ろにくっついてる単語はGood Byeとは違うの?音楽に関してgoombayという言葉もあるみたいだけど、なんだろ?
9. The Power of Two (Emily Saliers)/Michael & Cheyenne
アルバムタイトルにもなった曲。ギター伴奏で比較的原曲に忠実なアレンジ。Michaelにしては珍しい曲調だしアルバム全体から見ても異色なんだけど特に違和感はない。友情の歌なんだろうか。優しい雰囲気。
10. I’m Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter (Fred E. Ahlert/Joe Young)/Michael
自分宛の手紙を書こうという歌。失恋かもしれなくても楽天家なのか、やけくそなのか。シナトラやビングも歌ってるけどファッツ・ウォーラーが最大のヒット?確かに似合いそうだ。
11. I Get Along Without You Very Well - Don’t Get Around Much Anymore (Hoagy Carmichael - Duke Ellington/Bob Russell)/Cheyenne
前半の曲はよく知らないんだけどきれいな曲だ。後半の曲は以前から好き。
12. We Kiss in a Shadow (Richard Rodgers/Oscar Hammerstein II)/Michael & Cheyenne
これはナイトクラブでのショーの批評記事の中でも取り上げられてたんだけど、このショー(アルバム)のコンセプトを象徴するようなナンバーになるのかな。男二人でロマンチックな歌を歌うのも素敵じゃない?何も変なことはないよ。みたいな。
13. Salt and Pepper - I’m Nothing Without You (John Barry/Leslie Bricusse - Cy Colman/David Zippel)/Michael & Cheyenne
楽しいデュエット。塩と胡椒?よく知らない曲なんだけどSammy Davis Jr.が歌ってたのかな?どうやらこのソングライターは007のGoldfingerとかを作ったコンビらしい。そしてオープニング曲のリプライズで終演。
ここからアンコール。
14. If I Can Dream (W. Earl Brown)/Michael & Cheyenne
エルビス・プレスリーが有名にした曲らしい。ジャンル分けするならゴスペルになるらしい。そう言われてみるとそんな感じかな。キング牧師との関わりもあるとか。これもMichael的には異色な選曲かも。なんでこの曲を選んだろ?と思ったら、Cheyenneは何年か前にエルビスの曲を使ったミュージカル「All Shook Up」に出演していて、この曲を歌ってたみたい。さらに、この作者とMichaelは個人的な付き合いがあったらしい。
15. Someone to Watch Over Me (George Gershwin/Ira Gershwin)/Cheyenne
トリはCheyenneのソロで。またしてもGershwinなのにMichaelじゃないんだ…。まあそれもよし。この曲はもともと女性向けの歌なんだけどそのまんま歌ってます。相手はladです。heです。スタンダードソングに馴染みのある人ならわかると思うけど、異性愛を想定して歌い手の性別に合わせて歌の中の人称や性別を変えるのが普通な世界だけど、同性愛の場合はそうなるんだよなあ。なるほどね。

ゲイの男性二人のデュエットで同性愛者の地位向上運動みたいなのにも多少関わってたりもして、人によっては純粋に音楽として楽しめないかも…という危惧もあるけど、そういうのを取っ払っても楽しくて素敵なアルバムだと思います。背景を考慮に入れると深みが増すと私は思ってるんだけどね。
同性にロマンチックな感情を抱くことは全然おかしなことじゃないよ、普通に素敵なことだよと、素敵な歌にのせて軽やかに主張しているというのが大方の評判なのかな。政治的な意図については最初から意識していたわけではないらしいけど、自分の自然な感情を表現したら結果的にそうなったと当人はインタビューで語ってました。
このアルバム制作にあたってのCheyenneのインタビュー記事を読んだんだけど、お互いに自分のセーフティゾーンを越えるチャレンジをしてるんだって。Cheyenneのことは最近知ったばかりだからよくわからないけどMichaelにとっては確かにそうだろうなーと思える選曲がちらほら。フォークロックとかゴスペルとか普通じゃなかなか歌わないでしょ。特別なイベントとかで状況に応じてコンテンポラリーな曲を歌うこともあるみたいだけどアルバムとしては珍しいはず。あ、でも少し前にJimmy Webbの曲集を出してるからまったく予想外というわけでもないか。
もともと私はMichael FeinsteinのファンだったからMichaelの歌を楽しめたのはいいんだけど、Cheyenneがここまで気に入るとは思わなかった。私はスタンダードソング歌手に対しては好みがうるさいんだけど、素直に楽しめる歌声だった。
現地のアルバムレビューでは現代版ラットパック(シナトラ&ディーン・マーティン)みたいなことも書かれてた。歌い方やキャラが似てるわけじゃないけど、こういう歌で人を楽しませることができる人って今の時代に誰がいる?みたいな感じで。それぞれにキャリアのある2人だけど、お互いの個性がいい具合に組み合わされてるとも。それがThe Power of Twoってことだよね。
ブックレットにある演奏者情報を見てて面白いなと思ったのがピアノ奏者のところ。Michael Feinsteinは叩き上げのクラブシンガーだから弾き語りはお手の物なんだけどいつもピアノを弾くとは限らなくて、今回も半分以上は他の人が弾いてます。じゃあどれを弾いてるんだろうと確認したら、3, 4, 5, 7, 15の5曲。So In Loveについてはよくわからないけどあとの4曲はいかにもMichael自身が思い入れを持ってそうな曲なんだよな(Gershwinの2曲とデビュー当時から歌ってる曲と親しい付き合いのあった作詞家の曲)。あと、エグゼクティブプロデューサとしてMichaelとCheyenneとあと2人の名前が書いてあるんだけど、それが各自のパートナーだったりする(なんでそんなことを知ってるんだ…と自分に突っ込み)。

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