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2011'05.16 (Mon)

陶酔のパリ・モンマルトル

伊丹市立美術館で開催中の「陶酔のパリ・モンマルトル 1880-1910 展 ~シャ・ノワール(黒猫)をめぐるキャバレー文化と芸術家たち~」展に行ってきた。(詳細はプレスリリースのpdfファイルをどうぞ)
19世紀末パリが好きな私にはうってつけの展覧会。大衆文化に焦点を当てた内容で、モンマルトル、シャノワール、キャバレー文化、というキーワードがとっても楽しそう。
印象派とかアールヌーヴォーのパリも楽しいけど、もう少し俗世間に近い目線で見るパリというのもなかなか興味深いです。伊丹市立美術館といえば風刺画コレクションで有名だけど、今回はそういったコレクションは控えめ。
シャノワールといえばスタンランのポスター、あとはアリスティドブリュアンの活躍したカフェ、というくらいの知識しかなかったので、今回初めて知ることがいっぱい。アンコエランとかイドロパットとかフュミスムといった見慣れないカタカナがキャプションに並んでるのを見てるうちに眩暈がしてきた(笑)
ひとまず章立てを大雑把に紹介。
第1章:キャバレー「シャ・ノワール」とアンコエラン派
ここがメイン?というくらいのボリューム。
第2章:サーカス
箸休め的に。
第3章:カフェ、カフェ・コンセール、公演
ここが一番華やかかも。ボリュームもたっぷり。
第4章:前衛演劇とナビ派
20世紀に繋がるあれこれ。
第5章:象徴主義
これはおまけくらいの分量かな?

まずはシャノワールのはじまりから。
シャノワールの売りは風刺とユーモア。カフェだけでなく新聞も出していて、前衛的な芸術・文学の活動拠点になっていたとか。シャノワールには第1期(1881~1885)、第2期(1885~1897)があって、前衛的だったのは第1期なのかな?第2期には商業主義的な傾向が強まって、初期の常連メンバーは離れてしまったとかあった。その第2期に流行ったのが影絵芝居らしい。この影絵芝居は象徴主義とも関連が深く、ナビ派やシュルレアリスムに繋がっていったとか。
メリエスの月世界旅行にシャノワールが影響を与えていた?というエピソードに、へー。
シャノワールにヴィレットが深く関わってたのは初耳かな?店内装飾画とか面白かった。スタンランもかなり深く関わってたんだね。スタンランのシャノワールのポスターは有名だけど、三日月に乗る猫の看板のデザインもしてたとか。スタンランのポスターは幾つか知ってるけど、それ以外の活動にも興味あるんだよな。あちこちの展覧会で断片的に見て、社会派の画家、挿絵やポスターで活躍、という程度の知識しかない。もう一人、深く関わってた人がアンリ・リヴィエール。この人は後でたっぷり出てくる。サティもシャノワールと関連が深いみたい。この時代の音楽方面はまだまだ疎いので、そのうちもう少し親しめたらいいなーと思う(思うだけでなかなか手が出せていない)。ちなみに第2期の看板(太陽を背負った猫)はウジェーヌ・グラッセのデザインだとか。それにもへー。
影絵の亜鉛板が面白かった。影がはっきり見えるような展示のしかたがされてなくて残念だったけど(よくわかるようにしてたのはひとつだけかな?)、スクリーンに投影しないとわかんない部分もあるのかな?
影絵芝居の再現は時間が無くて少ししか見てない。リヴィエールが絵を描いていたんだけど、この人のことを軽く調べてみたら2009年に回顧展があったんだ…。いいなー。なんとなくどこかで見たことある気もするけど、どうなんだろ(この手の展覧会ばっか行ってるからどれがどれやら…)。浮世絵に影響を受けているとかで、そういわれてみるとそんな感じだったかなあ。日本の神々を描いた影絵芝居の1枚はとっても怪しかったけど。日本のイメージって一体…。(影絵芝居についてのサイト。フランス語)
ジャポニズムはあちこちに散見された。これも見慣れてくると無意識にスルーしてしまうんだけど、よく見ると変だよなー。
当時の雑誌か書籍といった資料展示を見ながら、20世紀美術の先駆け的な前衛はこのとき既にあったんだなあと思ったり。(1980年代ごろ)
次のコーナーはシャノワールからちょっと離れて、サーカスにまつわるあれこれ。サーカスを題材にした絵がこの時代に多いけど(20世紀に入ってからもピカソを初めとして取り上げてる人がたくさんいるよね)何故なんだろうなあ。解説読んだら少しは理解できるかな。
イベルスという人の絵がたくさんあった。ナビ派らしいけど、輪郭の捉え方が面白いなと思った。
次がカフェ、カフェ・コンセールのコーナー。踊り子とか芸人の姿を描いた絵が続く。ここでもイベルスが沢山出てきて面白かった。当時はロートレックより有名だったとか。
ルイ・ルグランって人の絵がたくさんあったんだけど、ちょっとルノワールにも似た雰囲気の絵を描く人だった。なかなかよかったんだけどあまり有名ではない人なのだろうか。記憶にない。
さらに華やかなポスターが並ぶ。シェレとかムニエとかいいよねー。カフェとか劇場のカタログ(パンフレットみたいなもん?)が並んでて、作家は不詳(無名の誰か)だけどいかにも誰々風(シェレとかミュシャとか)なイラストで楽しかった。
今回は個人蔵が多いようで、ロートレックとかシェレとかアールヌーヴォーでおなじみの名前もあったけど、いつものね~な感じもありつつも、ちょっと違った雰囲気のもあって楽しかった。特にロートレックは見飽きてる部分もあるんだけど、今回は見たことないロートレックが見れたのはよかった。(そういうのはだいたい個人蔵)
ロートレック関連の展示を見てたら必ず出てくるアリスティド・ブリュアンは今回も当然のごとく出ていて、芸風の説明もあるんだけど具体的にどんなだったのかが気になる。毒舌芸みたいなもんなんだろうか…。
次にナビ派と前衛芸術のコーナーが。ボナールとかヴュイヤールとかセリュジエとか、おなじみの名前なんだけど「前衛」だからなのかいろんな意味で凄い絵で、えーこれをあの人がー?的な感想。ロートレックもあったけどあまり見たことない感じの絵で面白かった。ドニの絵が凄くかわいかった。ドニいいよなー。
最後に象徴主義のコーナーが。ド・フール、ベルナールくらいしかはっきりわかる名前はなかったけど、エリザベート・ソンレルという人の絵が装飾的でよかったし、シャルル・ギユーという人の絵が幻想的で素敵だった。
影絵芝居「象」の再現があったけど、面白いの?なんだかびみょー。これがフュミスムというやつなのか。他に映像資料として影絵芝居2本と、ロイフラーのダンスの再現はちらっと見たけど(時間が足りないので全編は見れなかった)、ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」はどこでやってたんだろ?気づかなかった…。
こうやって19世紀末パリに関する展覧会を色々見ていると、同じ時代、同じ都市であっても、色んな顔を持っているんだなーと感じる。ミュシャやサラベルナールの時代と同じはずなのに全然違う。もちろん多少の共通点はあるけど。ミュシャは象徴主義に傾倒していたという話以外では、今回の展覧会で扱っていた内容と縁があったという話を聞かないんだけど(私が知らないだけ?)、パリやイギリスで生まれ育ったわけではなくモラヴィアの田舎育ちのミュシャにとって、パリの出来事はあくまで自分の領地ではない他所の話で、その都市の政治や社会的な活動に積極的に参加するという気分はあまりなかったのかなあと勝手に想像している。晩年は祖国に戻って愛国的な活動に専念してて、表現主義(用語としては間違ってる)的なところはないよね。その辺がなんとなくその辺の西ヨーロッパの芸術家とは違うところなのかなあと思う。お国のために…というのはチェコのお国柄なのかも?国の歴史的にも苦難の連続だったみたいだし。個人主義より全体主義みたいな。実際のところ、あまりおおっぴらに言われていないだけで、ミュシャにも個人的な表現に対する野心があったのかも知れないけど、その辺はよくわかりません。(うちにある本のどこかに書いてあったりして…灯台下暗しはよくあるパターン)

展覧会特製グッズはどこまでがそうだったのかよくわからなかったけど、猫グッズが色々あった。シャノワールの看板をモチーフにしたグッズを作ってくれてたらなあ。似たような雰囲気のものはあったけど、そのものがなかったのが残念。
図録を買ったら、展示されてなかったものが載ってるような…。忘れてるだけかな?今回は日本全国4箇所を巡回するらしい(伊丹、尾道、函館、八王子)ので、会場によって展示物が違うのかも。
ちなみにカタログはこんな感じ。可愛い♪
展示概要はこちら。
みどころ紹介ブログもあるよ。
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