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2011'10.29 (Sat)

藤島武二・岡田三郎助展 近代日本洋画の理想郷

三重県立美術館で開催していた藤島武二・岡田三郎助展に行ってきた。(行ったのは3週間くらい前です。体育の日だったかな。感想書くの遅すぎ)
この展覧会は横浜、三重、ひろしまを巡回するとのことで、行くなら三重か広島だよなーと悩みつつ、一度も行ったことがない場所にしてみようと、三重県津市まで行くことにした。ひろしま美術館は今年の春先ごろに行ってるからね。
三重県までは近鉄特急でひとっとび。所要時間にすると広島までと大差ないんだけど、新幹線じゃないからちょっと安い。初めて近鉄特急に乗ったけど、のんびりした感じ。直通だったから、途中の停車駅も少なく快適。
津で降りて、美術館のある側の出口から出たんだけど、見事に何もない…。あれ?津って県庁所在地じゃなかったっけ?違う方向に行けばにぎわってたのかな。(後で調べてみると、津市内の繁華街は駅前よりちょっと離れてるらしい。なるほど。)
駅から美術館まではほぼ一本道なんだけど、途中に何もなさ過ぎて、うっかり通り過ぎてしまったんじゃ?と不安になりつつ歩いてたら、美術館の看板が見えてひと安心。
美術館に到着すると、門の前に看板がどーん。武二!朝顔!と興奮。そういえば神戸の展覧会のときも朝顔がメインビジュアルだったっけ。
しかし、さらにそこから建物の入り口までが意外に遠くて、結局あれで正しい門から入ったのかどうか、いまだによくわからない。
展覧会は武二と三郎助、2人展なので、展示は半々。時代順に大雑把に3章くらいに別れてて、それぞれ最初に武二があって、次に三郎助、またはその逆、の順番で並んでた。
武二の序盤はいかにも明治の洋画な着物美人から、浪漫主義的な作品、あと、明星関係とか装丁も紹介。ここは本当はもっと突っ込んで紹介して欲しいんだけど、2人展だもんね、ボリューム少な目なのはしょうがない(つい、こないだの橋口五葉展を思い出してしまうと物足りなさ過ぎる)。でも、画稿がたくさん展示されてたのは嬉しかった。縮図帖もあったし。縮図の中に白馬会の展覧会ポスターの図案があったけど、あれってデザインだけなのかな?前にどこかで(堺市文化館だっけ?)明星だったかの紙面に載ってるのを見たことがあるけど、「ポスター」という形では見たことない。
そういえば武二と明星との繋がりは渡欧前までで、渡欧後は、それ以前に渡した絵を使ってた、という話を聞いてたんだけど、装丁の仕事に関しては渡欧後も続けてたんだね。渡欧後はその手の仕事から離れてしまったんだと思ってたので意外だった。
滞欧作の展示もあった。この辺の人物画とか風景画はその時代やその場所ならではの雰囲気があって好き。でもこの頃の作品は失われてしまったものが多いんだよね。どんな絵を描いてたのかなあ。
帰国後は模索の時期。でも「匂い」とか割と好きだなー。それにしてもこの人の絵のタイトルのつけ方は独特。本人が命名の経緯を語ってるところによると、かなり感覚的につけてるみたいで面白い。余談で、「うつつ」というタイトルの絵があるんだけど、武二のことが書かれた手持ちの本を読んでいたら文章中に「ウフフ」という絵が云々とあって、そんなタイトルあったっけ?としばらく呆然とした後、もしかして「うつつ」のこと?と思ったことがある。誤植だと思うけど、可笑しすぎる。脱線おわり。
図録に載ってるけど展示されてない絵が幾つかあったみたいで、その中に武二の「幸ある朝」が含まれてたのが残念。過去に見たことあるけど、また見たかったなー。
裸婦の絵の解説に、渡欧先で触れた最先端の様式(?)、キュビズムとかフォービズムとかに影響を受けてるとあって、その視点はなかったわ!と。以前から武二の、特に晩年の筆遣いはちょっとデュフィを思い出すなーと思ってたんだけど、デュフィはカテゴライズするならフォービズムになるんだっけ?ヴラマンクみたいな強烈さとは違うけど、マティスも確かフォービズムに入るはずだし、近いものはあるんだろうなあ。
たしかこの辺りで、横顔コーナーとして3点並んでた。現在それなりに展示しやすいものというとこれだけになるんだろうな。ちょっと寂しい。ポーラの「女の横顔」も悪くないけど、やっぱり東洋振りや芳が見たい…。
晩年は風景画が多い。海の絵とか日の出の絵とか山や田畑の絵とか、もちろん好きだけど、やっぱり美人画が好きな私。さらっと描いたような女性画は少しあった。風景の中では室戸遠望が好きかなあ。浜名湖だっけ?を描いた横長の大きな絵は初めて見た。虹が出てる綺麗な風景。
黒田清輝宛の書簡が展示されてた。内容は達筆すぎて読めないんだけど、少しだけ読める文字があったので拾い読みをしてたら、なんとなくくだけた雰囲気で面白かった。あとで図録を見たらやっぱり雑談的な内容で、人を楽しませる文章を書く人だったみたいなことが。
そういえば、ここ、三重県は武二が短期間だけど教師の仕事をしていた土地なんだけど、当時の詳しいことはあまり記録に残っていなくて武二がどんな制作活動をしていたかは明らかではないらしい。そんな三重時代の手紙もあった。
さて、藤島武二はここ数年でファンになったため、あまり藤島の作品をまとめて見る機会には恵まれてません。2002年に大規模な回顧展があったみたいだけど、その頃はアンテナに引っかかりもしなかったしなー。単品でちょろちょろとは見てて、結果的にそれなりに見てる状況にはなってるかな。2~3年前に有難いことに地元神戸で小磯良平と藤島武二の2人展があったので、そこで主だった作品はだいたい見れたと思う。(とはいえ東洋振りや天平の面影はまだ見てないし、黒扇は別の機会に見た)
そんな初心者ファンですが、あれこれ資料を読んでると、藤島の代表作と言われるもののうち、東洋振りは個人蔵で公開される場が限られてるみたいだし、芳や蝶に至っては長年公開されていない模様。一昔前の情報だと個人蔵で、持ち主の名前もはっきりしてたけど、現時点の所有者情報は知らない。一応所在ははっきりしてるんだろうか?どんな事情があるか知らないけど、あれをしまいこんでおくなんて勿体無さ過ぎるよ。ちゃんと大事にしてくれてるのかなあ。(余談で、ネット検索してたら蝶の複製画が売られてたけど、あれは持ち主から複製の許可を得てやってるものなんだろうか…。画質がよければ欲しいんだけど、どっかの図版を取り込んでるだけなら質は知れてるしなー。著作権切れ作品の複製利用って一般的にどういうプロセスを経て行われるんだろ?)
他にも解説とかで重要作品扱いを受けてるのに所在不明とか焼失とかいうプロフィールの作品もあるし。ファンとしては残念なことが多い。無残なんて図版すら残ってないんだもんなー。こんな絵だったという描写だけがあって、興味をそそられる。桜狩は一応モノクロ図版があるから想像しやすくていい。剪眉の別バージョンもモノクロ図版しか見たことないし。
武二は生前、自分の絵をほとんど売らなかったらしく、晩年にようやく画商に口説き落とされてコレクターの元に渡ったものもあるけど、彼の死後、自宅の火災で焼失してしまったものもあるらしい。今、焼失されたとされる作品の中にはそのとき失われてしまったものが含まれてるんだろうか?戦争やら色々あった時期だからどこにあっても焼失の危険はあっただろうけど、なんか色々考えてしまうな。遺言で敢えて焼却処分されてしまったものもあるらしいし。ファンとしては落書き1枚でも愛でたいくらいけど、本人的には他人に見られたくないものだってあるわけで、その辺は難しいなあと思う。
そんなことを、展覧会図録を読みながら考えてた。
と、ここまで武二の感想ばっかり。でも、三郎助も決してまったく無関心なわけじゃないよ。ただ、個人的に一番盛り上がったのが、商業ポスターのところだったりするのがアレなんだけど。そうそう、兵庫県美の絵も来てたね。馴染みのある絵だ。
広告系では高島屋とか三越とか。この展覧会は三重の前にそごう美術館でもやってたらしいけど、そごうに高島屋やら三越の看板絵が…状態だったと(笑)そういえばなぜかキャプションには百貨店の名前が出てなくて、所蔵先やら絵の中の表記を見て、ああ、あそこのポスターか、とわかるような状態だった。そごうに気を使ったのか…?梅田の駅に飾られてたという説明に、梅田へよく行く自分は妙に親近感を抱いてしまったり。三越のポスターは有名だよね。ポスターマニアな私にとっては特に。そうかー、あの絵は三郎助だったんだ。これで記憶にインプットできたかな?
三越のポスターといえば橋口五葉とか杉浦非水だけど、三郎助はそれより前の時代になるのかな?この手のポスターは何年か前に姫路でたっぷり見たけど、どっか別の美術館でも見た記憶があるけど(グリコとか並んでたのってどこだっけ…西宮大谷?)、その辺の歴史もおさらいしながら見ると楽しいよね。(そして、次の週に見に行く京都工芸繊維大学の工芸資料館にも繋がる。)そういえば武二は文学系の挿絵とか装丁とかはしてるけど、商業広告系の仕事ってしてないんだっけ?絵葉書の図案なんかはあるけど、あれも明星の延長線上みたいな感じだしなあ。そういう話が来なかったのか、来ても断ってたのか。考えてみるとちょっと不思議。なんとなく、興味なかったのかもなーという気はするけど。
婦人雑誌の表紙も面白かった。絵よりも、表紙に書いてある「○○号」というタイトルが面白かったんだけど。私はいかにして結婚したか!という煽りもあったり(笑)
工芸品を蒐集してたというのは初耳だった。着物やら小刀やらいろんな生地やら。それをモデルに着せたり持たせたりして絵を描いていたというのが面白い。
図録の解説を読んでいて、武二と三郎助の共通点、相違点について書かれてるのを見て、なるほどねーと思った。男性的な武二と女性的な三郎助。解説の言葉そのままじゃないかもだけど、豪快な武二と繊細な三郎助って印象が確かにある。武二は文学との関わりの中で、ミュシャっぽい絵を描いてても、どこかに男性的なところがあるような気はしてた。ミュシャの絵が女性的とは思わないけど、ポスターに限って言えばどちらかといえば女性的なのかなあ。自分でも女性的、男性的の定義が謎。武二がざっくりとした筆遣いで描くのに対して三郎助は細かい筆致で描いてるけど、それが女性的とか言われるとそれはそれで違うような気もする。
歳の差もほとんどなく、同じくらい長生きして、同じような場で活躍し、名誉も得た二人だけど、親しい友人という関係ではなかったとか。三郎助の生涯はよく知らないけど、どんな人となりだったんだろうなあ。武二が葛藤の多い人生だったのに比べると、三郎助は自分の世界に生きた人だったのかなあ?と、そのコレクションの話を聞いて思った。三郎助が楽な人生を送ってたように見えるわけじゃなくて、武二が自分の世界を持ってなかったと思ってるわけでもなくて、うまく言えないけど、なんとなく内面的には三郎助の方がぶれない何かを持ってたのかなと感じた。ものすごく感覚的な感想。
2人の活動の場とか作風とかを見てると、共通点はあるにせよ、たとえば渡欧するタイミングも違えば、家の事情も違うし(これはその当時は結構大きかった)、もちろん本人の資質も違うし、違うプロセスを辿って、違う人生を歩んでるんだよなーと思った。当然っちゃー当然なんだけど。
どっちも人望はあったみたい。この2人に師事した画家(に限らず色んな分野の芸術家)の多いこと。美術学校で先生をしていたからというのもあるけど、自宅にもたくさん弟子が通ってたらしい。

【More・・・】

企画展だけじゃなくて常設展も見てきたんだけど、こちらもプチ武二&三郎助特集になってた。三重県美の持つ藤島作品と、武二や三郎助に師事した人たちの作品を並べてた。だいぶ記憶が曖昧だけど、たまたまなのか、武二教室出身の人の方が具象、三郎助教室出身の人の方が抽象に向かう人が多かったように思えた。
弟子ばっかりじゃなくて少し上の世代や同世代の人の絵もあった。そこに山本芳翠の絵もあって喜んでたんだけど、どんな絵だったか忘れちゃったよ…。
友人同士で作品を贈り合っていたという話で、長原孝太郎旧蔵品として、絵の中に献辞が書かれた絵が2枚あった。そのうちの1枚が武二の絵で、フランス語でA Mon Cher Nagaharaと書いてあった。My Dear...みたいな意味かと。(最初のAって意味あるんだっけ?フランス語は習ったことあるけど覚えてない)
ちなみにもう1枚はこれ。英語です。
長原孝太郎は、白馬会のポスターが可愛かった。
常設展では他にミニ特集として、横山操という人の瀟湘八景がどーんと並んでた。水墨画?なのかな。でっかいのが8枚。なかなかの壮観。
他に、この美術館の基本コレクションということで、西洋絵画もちょろっと。ルノワールとかモネとかの印象派から表現主義あたりと、スペインの絵画。展示数としては少なかったけど、こんなのを集めてるのね、と理解した。
野外彫刻とかエントランスホールにも幾つかあったみたいだけど、全部は把握してない。見えた範囲で楽しんできた。
図書室があって、覗いてみたら武二関連書籍が並んでたので読んできた。その中で、昭和35年くらいに出た美術全集みたいなやつで、武二と佐伯祐三が1冊にまとまってるのがあって、中身をちらっと読んでたら、蝶と芳の所有者の名前が載ってた!同じ人が持ってたのか。なんて贅沢な。さすがに50年も前の情報だから、今となっては別の人の手に渡ってるんだろうけど…。その人の名前で検索してみたけど詳しいことはわからなかった。豪商?とか骨董趣味の人?とかそれくらいかな、引っかかったのは。
廊下に他の美術館のポスターとかチラシとかがあったので見てたら、神戸の小磯記念館で、武二と新制作派の展覧会やるんだ!というか既に始まってるんだけど、これは見に行かないと…。同趣旨の展覧会の図録は過去にも見たことあるし、さっきのライブラリーにも置いてあったけど、せっかくなんで見に行きたいな。置いてる武二作品は恐らく晩年のもの、風景画ばっかりかなあ?
家に帰ってきてから手持ちの本を漁ってて、武二関連の記述を読んでたんだけど、武二が起こしたらしいスキャンダル(?)というのが気になってしょうがない。その本には具体的には書かれてないので、余計に気になる。ネットで調べても出てこないしさー。その手の裏話を取り上げた本とか出てるんかねー。戦後美術のスキャンダルみたいな本はあるみたいだけど武二は戦前の人だし。(そんなことばっかりしてるから感想を書くのが遅くなった)
三重県の展示は終わったけど、このあと、ひろしま美術館へ巡回します(もう始まってる)。お近くの方は是非!

追記:
書くのをすっかり忘れてたけど、ここには常設展示室とは別に、柳原義達記念館もあったのでした。(といっても別館になってるわけじゃなくて、美術館の建物の中に別室があるって感じなんだけど。)鳩とか烏とか展示されてました。裸婦像も。世代的に戦争体験とかがあるのかな?初期の作品は焼失してしまったとか。
鳩は孔雀鳩という種類なんだねー。よく見ると確かに尾の先がちょっと広がってて普通の鳩とは違う。
彫刻はそんなに詳しくないけどこの人の鳥の彫刻は好き。昔、兵庫県美術館で「手で見る造形」だっけな?そういう企画展示で触ったことあるんだよね。だからってわけでもないんだけど、兵庫県ゆかりってこともあって割と見る機会が多くて、親近感があるというのもあるかも。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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