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2011'10.31 (Mon)

京都工芸繊維大学美術工芸資料館コレクション

京都工芸繊維大学の美術工芸資料館に行ってきた。(行ったのは2週間くらい前。もたもた感想書いてるうちに会期が終わってしまった…)
ここは日曜休館で、土日休みの自分にはちょっと行きにくいところだったんだけど、日曜日なのに開いてる日がある!と思って行ったら、オープンキャンパスの日で無料開放だった。ラッキー。
資料館では2種類の企画展を開催してた。ひとつはポスター関係の展示。
開館30周年記念展1「コレクションの歩み-ポスターを中心に-」展
もうひとつは服飾、インテリアデザイン関係の展示。
「京都のモダンデザインと近代の縞・絣」展
一通り見終わって、さあ帰るかと思ったら、これからギャラリートークします~との案内が。せっかくなので聴いていくことにした。各30分で駆け足だったけど、説明を聞きながら見るとなるほどーということもあって楽しかった。そこで聞いた話も交えつつ、感想など。
展示は複数の展示室に分かれてたけど、エントランスホールから既に関連展示は始まってるようで、館内に入った途端、海外のでっかいポスターが壁にいっぱい!掛けてある位置が高すぎて間近で見れないという不満もありつつも、大型ポスターに限ってはこういう展示もありかなーと思いながら見上げてた。日本のポスターもあったし、工芸関係の資料も展示されてた。
実際の順路としては、「京都のモダンデザインと近代の縞・絣」展として、最初に展示室1があって、エントランスホールに続いていて、さらに展示室2がある、という流れだったみたい。
先人が海外から持ち帰ってきた資料、それに影響を受けたデザインスケッチ、そういったデザインによる工芸品、といったものが順番に並んでいて、海外に影響を受けつつも和洋折衷な感じに仕上がってたりして、面白かった。生徒の卒業制作のデザイン画とかもあって、へーと思ったり。花柄にしても、全部同じ形ではなく、写生を元にひとつひとつ違う形の花を画面に配置して模様を作っていたり、アールヌーヴォーの精神をちゃんと咀嚼していたんだなということがわかった。
浅井忠の油絵もあったよ。水彩画もあったよ。花瓶やお皿もあったよ。私は浅井忠くらいしかわかんなかったけど、武田吾一という人の家具も素敵だった。
展示されているのは絵とか図案なんだけど、卒業後は建築の世界に進む人もいて、結構有名な公園をデザインした人がいるとか言ってたな。その辺疎いんで名前忘れちゃったけど。
次に、神坂雪佳が少しと、古谷虹麟という人のものが色々並んでた。あひるの足跡かわいかったな。日本のポスターや引札もあったんだけど、これは着物関連ってことらしい。縞とか絣の着物を着ている。
この辺から縞や絣(かすり)の話題に。着物が日常着として着られていた時代、縞とか絣というのが非常に人気があって、それはもうたくさんの種類の模様が開発されていたらしい。縞と絣だけで何百種類、いや何千、何万?桁は不明だけどそれはもう膨大な図案が考え出されていたそうで、区別つくんかいな…と思ってしまったり。織りによって模様を出すだけでなく、染でもわざわざ織りっぽく見せることまでしていたというのが面白い。なんでそんなことをしてたかというと、染めの方が安くたくさん作れたからってことらしい。型紙(ステンシルみたいなやつ)とか生地見本とかで、その様子を紹介していたんだけど、参考資料として土田麦僊や竹内栖鳳の絵のコピーがあったり。庶民の普段着だったんだなーと。面白かったのが戦時中の着物の柄。模様の中にさり気なく?飛行機とか気球とかヘルメットとかが紛れ込んでた。面白がっていいのかアレだけど、そういう時代だったのよねーと。
その後、着物はだんだん着られなくなっていくんだけど、プリント柄の展示は続く。三波春男の憧れのハワイ航路だっけ?をモチーフにした浴衣だったっけ?が記憶に残ってる。あとは何があったかなー、一応パンフレットは貰って帰ってきたけど、展示品の写真は少ししかないので、記憶が曖昧。一応展示品リストはあるんだけど、細かいことまで書いてないし。
そして、いよいよポスターの展示室へ。次の展示室は上の階にあるようだったので、階段に向かうと、そこにもポスターが!あまり有名でないものから、薔薇十字のとか、いろいろ。薔薇十字のってよく見るとおどろおどろしいのね。立ち入り禁止の上層階へ続く階段にもまだ掛けてあって、もっと先まで見たいー!とうずうずしてた。
ポスターの展示は予想以上にボリュームたっぷりだった。4室に別れてて、最初は海外から資料として持ち帰ったポスターたち。主に1900年ごろ、この大学の前身の学校が開設された頃に手に入れたものが並んでた。クリムトの分離派展のポスター修正前バージョンとか、グラッセによるサラベルナールのジャンヌダルクポスター修正前バージョンとか、そういうものをリアルタイムで日本に持ち帰ってきてた人がいるんだなーと思うと凄く不思議な気分。浅井忠がミュシャのJOBのポスターの横に座ってる写真を見たことがあるんだけど、あれは現物は残ってなくて写真だけなんだっけ?ポスターの片隅に浅井の名前入り備品シールが貼られてたり、ポスターを手に入れたときにあっちの人に書いてもらった献辞が書き込んであったり、その当時のポスターの扱いが垣間見えるようで面白い。他に展示されてたポスターは、モーサー、ロートレック、シェレなど。
当時の資料ということで「ポスターの巨匠たち」もあったよ。表紙がポールベルトンなんだよねえ。革の装丁かっこいい。こういう本を参考に、現地でポスターを手に入れてたらしい。
でも、上記ポスターが持ち帰られてから長らくの間、資料として保管はされてきたけど、コレクションとしてはまったく体を成してなかったらしい。そして、約30年前、1980年ごろに、きちんと系統立てたコレクションにしようと、既にあるものを基礎に、隙間を埋める形でポスターの蒐集を始めるわけですが、最初に白羽の矢が立ったのは、我らが「ミュシャ」でございました。解説の人の言葉によると「憧れのミュシャ」だったそうな。
ちなみに展示室の片隅にカタログレゾネが置いてあったのでぱらぱらとめくってみたら、お値段が書いてありました。なるほどねえ。やっぱ1980年くらいだともうそんなお値段なのねーと思ったり。
第2室がそういったコレクションの展示。最初にどーんとミュシャの椿姫とジスモンダと並んでました。いつ見ても麗しい。赤玉ワインのポスターなんかもやっぱり憧れだったらしい。
日本の画家が手がけたポスターということで、小磯良平とか和田三造とかが並んでた。解説のお兄さん(工芸館の准教授とか言ってたっけ)の話には出てこなかったけど、フジタの絵もあったよ。フランス産のポスターだった。風景画なのでいかにもフジタ!と目を引く感じではなかったけど。あと、アリスティド・ブリュアンもどきのニッカウィスキーのポスターがかわいかった。赤いマフラーを巻いた熊がウィスキーのビンを持ってる絵だった。ネットを探したら見つけた!これだ、これ。
http://blogs.yahoo.co.jp/potabi234/27910168.html
この奥山儀八郎って人のポスターはもう一枚展示されていて、それはニッケ水泳着というものだった。ニッカとニッケ…偶然なのか、似たような響き。展示した人は狙ってたのかな?そっちも結構面白いポスターだった。後で分かったことだけど、この人って木版画系の人なんだね。
ここにちっちゃい画像がある。実物は結構インパクトあったけど小さい画像だとわかりにくいな。
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2004/0831/04_0831.html
開館後は、購入したり、寄贈を受けたり、色んな形でコレクションを充実させていったそうだけど、いわゆる華やかなポスターだけじゃなく、ちょっと毛色の違うところで、戦時中のポスターや、いわゆるメジャーな国以外のところのポスターなんかも集めていったそうな。そういうものが展示されてた。確かチェコとか南米だったか、あとロシアとかドイツとかそんなところのがあった気がする。
今のところ、登録されてるものだけで約6千点、それ以外に未登録のものが何万点もあるらしい。
コレクションの逸話として、20~30年前?に天王寺の大阪市立美術館で日本の戦時中のポスターをたくさん持ってることがわかって、それを受け入れるという出来事があったらしい。美術館との間でそんなやり取りが発生したりもするのか…。戦争プロパガンダネタは最近になって少しずつ見れるようになってきた、みたいなことを、以前どっかで聞いた気がする。やっぱり当事者的に冷静に振り返れないというか、なかったことにしたい過去というか。ポスターだけじゃなくて絵画の世界でも戦争画がどうのって話題があったよね。反戦系は比較的扱いやすいけど、好戦的というか、愛国的というか、そういうのってどうしても直視しにくいところはあるもんね。
何年か前に、東京の印刷博物館だっけ?あそこで見たのは主に海外のだったかなあ?えげつなーって思うようなポスターを見たっけな。あと、切手博物館だっけ?絵葉書だったか切手も含めてだったか、日本の戦時中のあれこれも見たなあ。どっちもカタログはなかったので曖昧な記憶しか残ってないけど。
最後の部屋では最新の収蔵品を紹介。最新といっても1970年代ごろから2000年代までなので時代の幅は広いけど。
1960年代サイケデリックなアメリカのポスターがあった。案外サイズが小さいんだねー。そういえばサントリーミュージアム天保山最後の展覧会のときにちょろっと展示されてたっけ。記憶は曖昧だけど、確かあのときに並んでたのもそれくらいだったような。A3くらいのコンパクトさ。そういうものだったんだろうか。ポスターというよりビラみたいなものだったとか?(これは完全に推測です)アールヌーヴォーリバイバルの展覧会、どっかでやらないかなあ。そろそろ出てきてもいい頃。
天保山で思い出したけど、説明のお兄さんが、関西でこれだけのポスターコレクションが見れるのは、うちと、あとは天保山があったけど今は…みたいなことを言ってた。うう、そうだよね…と頷く私。時間があったらあれがどうなったのか知ってるか聞きたかったけど、なんとなく話しかけそびれた。
日本でも1960年代とか70年代とか、だいたいその辺のものだったと思うけど、横尾忠則とか福田繁男とか田中一光とか粟津潔とかが並んでた。あと、タイポグラフィのポスターもあった。これって昔、どこか遠出した先で見たことある気がするなあ。
もっと新しいところでは、デザイン的な観点ではなく、世相を映すものとして、国税庁とか公共広告系のものも集めてるらしい。そのとき展示されてたのは税金納めてね!な江角まきこと、子育てパパ奨励なサム(globeだっけ?)のが並んでた。解説の人によると、ポスターの内容とその後に起こった出来事を絡めて皮肉が利いた2枚を並べてみたそうな。こういうのってまだ最近の話だから、ああそういえばそんなこと…ってわかるけど、何十年もたった後ではみんな忘れてるようなことだよねえ。そういう事実も記録してコレクションしてるんだろうか?(聞けばよかったな)
そんなこんなで100年のポスターの歴史を駆け足で追いかけた展示でした。楽しかった。
2階の展示室と展示室の間の通路に、アンティークラジオが4台くらい置いてあった。谷川俊太郎のコレクションって言ってたかな?なんでここに寄贈したのか謎なんだけど、素敵だった。ラジオと言ってもちょっとした家具みたいな大きさ。裏を見るとちゃんと機械だなーって感じもあって。こういうの好き。
その後、京都駅でやってるルドン展へ向かった。その話はまた次回。
余談だけど、この美術工芸資料館は京都工芸繊維大学の敷地内にあって、当然、大学の門をくぐらなきゃいけないわけですが、門の横あたりが銀杏並木になっていて、敷地内に銀杏がたくさん落ちていた。あの独特のにおいで気づいたんだけど、あれって誰も拾う人いないのかなー。
京都工芸繊維大学といえば、むかし、受験を考えたこともある学校だったんだよなあ(工学部志望だったので)。などとどうでもいいことをつぶやいてみたり。
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