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2013'03.04 (Mon)

西宮大谷の日本画と芦屋のアトリエと具体

西宮市大谷記念美術館で開催していた「40周年記念 日本画 その妙なる世界」と、芦屋市立美術博物館で開催していた「The Collection 具体躍進」展、「The Collection 芦屋の画塾 芦屋のアトリエ」展を見てきた。どっちももう終わってます。

前の週にアートホール神戸で山下摩起展を見て、楽しかったーとツイートしたら、西宮大谷でも山下摩起が展示されているという情報を頂いたので、それなら!と行ってみることに。
今回は、西宮大谷のコレクションから選りすぐりの日本画を展示する展覧会で、キャプションに細かく来歴やら出展歴やらが書かれていた。いいものを持ってるんだぞーという自負?そういうプライドは嫌いじゃないよ。
お目当ては山下摩起なわけですが、それ以外にも素敵な絵がたくさんあった。展示品リストがなかったのでうろ覚えだけど、憶えてる範囲で書いていく。
最初の部屋にまず屏風とかの大型作品が並んでいた。下村良之介の鶏の絵とか。この人は京都国立近美あたりで何度か見たことがあって、結構好き。日本画としては破格だけど、面白い。橋本関雪のでっかい絵があってデジャヴを感じた。前にもこの位置に似たような作品が展示されてなかったっけ?同じ絵かなあ?もうひとつ、大きい屏風絵があって、次にお目当ての山下摩起が!大きな屏風絵で、竹に雪が積もっている。これが噂の、なんとか展で右隻だけが入選した作品らしい。左隻の方が迫力あるような気がしたんだけど、右隻の方が何が描いてあるかわかりやすいから?ぱっと見は、現代人の目から見るとそれほど前衛って感じでもないのかも、と思ったけど、じっくり見るとやっぱり独特よねえ。あの刷毛でさっと描いたようなところがいいな。この人はセザンヌに傾倒していたらしいんだけど、この筆致は確かに…。あと、このフロアには富岡鉄斎のついたてがあったっけな。金色の地がきれいだった。
2階に移動して、もう少し小型の作品がいろいろ。主に山水画とか花鳥画とかそういう系統のもの。2室あって、どっちに何があったかは忘れたけどひとまず印象に残ったものを列挙。川合玉堂がたくさん。冨田渓仙の淀城が妙に気に入ってしまった。ヘタウマじゃないけど、ちょっと崩した感じの絵。展覧会のポスターにも使われてた。菱田春草の絵があった!この人好きなんだよね。なんだろう、色使いとか線とか、とにかく好き。山元春挙の「渓山密雪」は、木の表現がちょっと鬱蒼としたようなところが気に入った。ぱっと見たとき、なんとなく銅版画っぽいような滲んだ感じを受けた。
このフロアにも山下摩起が2枚あって、椿だっけな?お花の絵。一枚は私にとって山下摩起らしいと感じるような感じの絵。これは西宮大谷に長くある絵で来場者にもなじみがある絵、みたいな説明が書いてあった。もう一枚はちょっと暗い色合いだったかな。
また1階に戻って、最後に美人画の類が。上村松園とか伊東深水の美人に見惚れつつ、ここにも山下摩起。大きな作品で女三態みたいなタイトルだったと思うけど、芸者っぽい女性が3人、これまた山下摩起らしい筆致で描かれていた。キュビズムと言っていいかわからないけど、そんな言葉が浮かぶような作風。長らく個人蔵だったらしい。もう1枚、新聞紙の上に描かれたらしい女性図もあった。これは前にも見たことある。そうか、これは山下摩起だったのか。
そしてトリを飾るのは、寺島紫明。晩年の作で、最近所蔵したばかりだとか。この人が兵庫県ゆかりの人らしいというのは明石に行ったときに知ったんだけど、西宮大谷で所蔵するのは初めてらしい。この人も好きなんだよなー。素敵でした。
楽しかったなーと思いつつ、後日、このブログの過去ログを見てたら、2008年にここに来たときに、山下摩起を見て気に入ってたらしいことが判明。すっかり忘れてた…。確かに1枚は見覚えがあったんだけど、屏風も見てたらしい。
ここに来たらお庭も散策しないとね、ってことで、少しうろうろしてから、芦屋へ移動。

芦屋市立美術博物館へ行くのは初めて。「具体」に興味を持ち始めてから、一度は行ってみたいと思ってたけど機会がなくて、ようやく重い腰を上げて行ってきた。住宅地の中にあるので途中ちょっと迷いつつ、なんとかたどり着く。建物がなんとも言えない昭和の香り、とでもいうか。普通の家じゃないのはわかるけど、美術館?と一瞬迷った。きっと昔はモダンだったんだろうなー、みたいな。
以前から存在は知ってたのにようやく行くぞ!と思い立ったのは、最近、具体関連の展示を続けて見たのと、小出楢重も続けて見たことがある。
既に書いたとおり、具体で活動していた上前智祐の展覧会をBBプラザ美術館で見たし、兵庫県美のコレクション展に具体関連の展示があった。そのコレクション展では小出楢重のミニ特集もあった。さらに、先日行った小磯記念美術館の自画像展に小出楢重の自画像も出ていて、印象に残っていた。その流れで、芦屋市美のポスターを見かけて、ちょうど具体&小出関連の展示をやっているらしいと知ったので、よし行こうと思ったわけだ。西宮大谷にも行けたらいいなと思ってたし、方角的に近いからまとめて行ければと。
敷地内には小出楢重のアトリエ(再現)もあった。もともとこの芦屋の地にあったもの。本物は現存しなくて復元ということでした。中に入れるのは楽しいけど、2階がどうなってるか見取り図でもいいからあるとよかったのになー。見えそうで見えないのは焦れる。
企画展示は、美術館として2つ、博物館として1つ、やっていた。博物館的な展示は一応見たけど、見ただけ。
「具体躍進」展は楽しかった。当時の展覧会の様子を紹介した写真パネルとか、作者のコメントとか、当時の熱気を想像しながら見るのも楽しい。
「具体」ってなんとなくひと括りにして見てしまうところがあるけど、実際は作家ごとに個性があるんだよね。まだ数人しか見分けられないけど、何度も見るうちに少しずつわかっていけたらいいな。
先日見た上前智祐とか、作家単位で作風の変遷とかを追うことで見えてくるものもあるし。
ただ、ひとつ思うことは、パフォーマンスアート的なところっていうのはその場に居合わせないと本当には理解できないんだろうなということ。ビンを投げつけたとか足で描いたとか、説明を聞くとなるほどーとは思うけど、表面的な理解に留まってるんじゃないかと自問する。

もうひとつの企画、「芦屋の画塾 芦屋のアトリエ」は、小出楢重、ハナヤ勘兵衛、伊藤継郎、吉原治良の4人を軸にして、洋画、前衛、写真といったジャンルで芦屋に集まった人たちを俯瞰する内容。
小出楢重は、代表作くらいはわかる程度にしか知らないんだけど、今回展示されてた中ではガラス絵が面白かった。あとは、アトリエ建設にまつわる話で、いつでも東京に移動できるように分解組み立てが可能なように作って貰ったとか。でも実際は、小出には気休めにそう言っていただけで、そんなことできないんだけどね、と設計した建築家の人が後に語ってたとかなんとか。小出楢重の知名度はよく知らないんだけど、(兵庫県ゆかりの人だから関西ではよく見るけど、全国的にどうなのかってところ。)生前はそれなりに名を上げてたけど地方の名士では終わりたくない、東京進出したい、みたいなことを考えてたとかで、色々あるんだなーと思った。
ハナヤ勘兵衛はカメラの人。芦屋カメラクラブの話は聞いたことがあったし、たぶん他の美術館(兵庫県美とか、大阪のどっか)で少し見たりもしてたけど、面白くて好き。これがまた時代を見るとびっくり。前衛だなー。
伊藤継郎という人は聞いたことがあるようなないような。芦屋で絵画教室を開いてたりしたらしい。その辺りの展示で櫻井忠剛が出てきてびっくり。初代尼崎市長って。そんな経歴の持ち主とは知らなかった。確か兵庫県美に所蔵されてるよね。洋画の人。
吉原治良は、説明するまでもなく具体の中心的人物。なんだけど、具体の主要メンバーの中ではかなりの年長者だったのね。そこまで差があるとは思ってなかった。私の知識は大阪とか兵庫の美術館のコレクションで単発的に見てる程度なんだけど(具体以前も含めて)、今回の展示では藤田嗣治との関係が紹介されていて、そういう世代なのか…と実感。フジタは戦後はフランスで過ごしたせいで戦後の日本美術の流れとはちょっと違うところにいるから、私の中では、エコールドパリの作家、というイメージで止まってしまっていて、余計に古い人に感じてるんだけど、吉原よりは大先輩だけど直接話す機会がある程度には近い世代なんだなと。
とまあ、そもそも芦屋市美のコレクション展なので当然なんだろうけど、地元びいきな展覧会でした。芦屋というと高級住宅街ってイメージだけど、その歴史がちょっと分かった気がする。ちなみに超高級なのは山の手の方であって、この美術館がある辺りは海寄りなのでまだ普通の住宅地な感じでした。普通とはいっても余裕はありそうな雰囲気だったけどね。近所には文学方面の記念館やらなにやらもあるらしい。

受付付近でミュージアムグッズ等を売っていて、そこに菅野聖子展のカタログが!この人の作品が好きなので飛びついてしまった。いつの間にやってたんだろうと思ったら15年前でした。さすがにその頃はまだ全然具体の具の字も知らなかったな…。
菅野聖子関連記事:
http://www.momak.go.jp/Japanese/collectionGalleryArchive/2010/history/kanno.html
http://www.artcourtgallery.com/images/artists/html_atist/kanno_seiko.html
http://www.jkk.jp/column18.htm
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