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2013'03.18 (Mon)

クールベ、アンソール、レーピン

関係あるんだかないんだかな3人の展覧会を立て続けに見た。
一応クールベから始まったとされる写実主義に感化された人という意味では繋がってるかな。なのでまとめて感想を書いてしまう。

まずは、クールベ展@大丸ミュージアム梅田。
会期が短いので行けるか怪しかったけど、頑張って行った。30分しか見れなかったけど、見れてよかった。
展示品リストがなかったのでうろ覚えだけど、前半は風景画がほとんどだった、多分。こっちがメインの人だったんだと今更認識。スケッチとか下図みたいなので人物画はあったけど。共作も多かった。亡命後はいろいろあったのね。故郷を思いながら異郷の地を描くなんて、ちょっと切ない。
展示の区切りのところで、デスマスク、手、パレット、煙管などが展示。こんな手をしてたんだ。
後半はクールベ周辺。世間はクールベをどう見ていたか。諷刺画、肖像、オマージュ、縁があった人の作品とか。定番のドーミエやジルもあった。円柱事件ってなんだろ。
クールベの絵を元にした複製画、主に銅版画だったかな?同時代に作られたものがたくさんあった。本物は持って来れんのかい!という突っ込みもあるけど、これはこれで面白い。情報の移動も、人の移動も、今ほど自由じゃなかった頃、当時はこういうもので情報が伝播していったんだよな。
しかしあれほどの人が、政府に追われて、亡命後は上手くいかなくて、程なく亡くなってしまうというのは悲しいね。

で、翌日は、アンソール展@岡山県美。
アンソールといえば、世紀末、象徴派、幻想的、みたいなイメージ。仮面とドクロ。
アカデミックなところからは外れてる人かと思ったら、最初はアカデミックな教育を受けてるのね。初期は写実主義で、クールベにも影響を受けてたとか。前日クールベを見たところだったのでタイムリー。印象派の動向にも注目していて、自分もその中に入りたかった?みたいな。作風は全然違うけど、思いは近いところがあったのかしら。
アンソールはベルギーの人で、パリからは離れていて、直接印象派の作品には触れていなかったようだけれど情報は入ってきていたみたいで、光と影の描き方に拘ったりしていたらしい。ということで初期は風景画や静物画が多かった。牡蠣とか野菜とかいろいろ。ルーベンスを研究したり、フランドルの古典の中にも写実を見つけて感化されてたとか。
肖像画で、画家を正装させることに意味があったみたいで、そういうものなのかーと思ったり。
写実主義なのでシニカルな面があるアンソールですが、妹の絵には愛がこもっていたり、そういうところも人間味があっていいね。
シノワズリもといジャポニズムに傾倒していたというのも面白い。っつか、なんでもかんでもシノワズリと呼んでたって。こら。
あと、意外だなーと思ったのはモンティセリとの共通点。雅宴画みたいなのも描いてたんだ。
その後、グロテスク方面に目覚めて、仮面とドクロの絵を描き始めるわけだ。
展示はアンソール以外の人の作品も交えてアンソールのいろんな面を見せてるんだけど、展示の後半に達しても、そこまでに経過した年月は意外と短い。あれ?と思いつつ解説を読むと、アンソールはグロテスク路線で一躍脚光を浴びた後は、そこから発展することはあまりなかったらしい。
音楽にも関心を注いでいて、楽譜まで展示されていた。
略歴を見てたら、サロンデサンで個展もやってたのねー。ミュシャと同年齢なのか。
一応アンソールの画業を追うような展示にはなってたけど、アントワープの美術館が改装するのでしばらく閉館ってことでアンソールに関わらず色んな作家の作品を大放出。フランドル絵画、リュミニスム、ルーベンス、ブリューゲルなどなど、アンソールとベルギー美術って感じ?アンソール率は案外低かった。
ヤン・トーロップだの、レオン・フレデリックだの、ヴュイヤールだの、世紀末好みには嬉しい作家も。

常設展も見てきた。岡山の美術。日本近代洋画が並んでた。地元作家を中心にいろいろ。地方の美術館ならではの楽しみ。数年前に開催された太平洋画会の図録が面白そうだったけど、でかいし重いし思い留まった。
別企画として野崎家コレクションというものも展示されていた。お屋敷が観光施設にもなっているようで、有名なのかな?昔の貴族かなにかで議員もやってたりした偉い人の家らしい。塩を作ってる会社なのかな?美術品コレクターだったわけじゃなくて自然と集まったというのも凄い。その時代の画家に描いてもらった掛軸とか書とか屏風とか、茶道具、壺、置物やらいろいろ。書はよーわからんけど、富岡鉄斎とかあった。
ミュージアムショップが可愛かった。マッチセット欲しかったけど…
常設展もよかったし、会場内で図録を読んだりしてたら時間を消費しすぎて、次の予定が…ということで、さっさと次の目的地へ移動。時間があればもう少しいろいろ回ってみたかったな。オリエント美術館とか夢二の資料館とか、すぐ近くだったし。岡山城も見れなかった。周辺のお店とかも見てみたかった。新幹線で行くと金はかかるがアクセスはいいので、また良さげな展示があれば、今度はもっとゆっくりしよう。どうせなら倉敷とかまで足を伸ばすのもいいなと思うけど、そこまで行くと日帰りは辛い。

引き続き、レーピン展@姫路市美。
レーピンは名前を知ってる程度でよく知らないけど、19世紀末ならなんでも来いなので行ってみた。肖像画で有名なんだー。それくらい知識がない。
今回わかったことは、レーピンは1844年生まれで、肖像画で有名になって、結構若いうちに名を成している。移動派に属していて、写実主義。労働者を描いたり、社会派だったのね。理想化された世界ではなく現実を描く、みたいな。クールベの写実主義と重なる部分もあるかな?直接の影響関係はわからないけど、時代の空気としての共通性はあるのかなあと。
パリに留学(?)に行ってた時期もあって、印象派に影響を受けて、印象派っぽい絵を描いていたこともある。
家族の絵がかわいいかったな。こういうところはさっきのアンソールとも被る。
ロシアらしい絵ということで、コサックとかロシアの作家の肖像とかがあったかなあ。ムソルグスキーとかトルストイとか。
トルストイではなかったと思うけど、あるとき知人の作家を尋ねたら、その人がちょうど息を引き取ったところに遭遇して、とっさにスケッチしてしまったという話が凄かった。そういえば他にも亡くなる数日前の人の肖像とかあったっけなあ。ムソルグスキーも描いてからそれほど経たずに亡くなったそうだし。
サラ・ベルナールのライバルだったというイタリア人女優、エレオノーラ・ドゥーゼの肖像画がよかった。木炭か何かでさらっと描いたような作品なんだけど、すごくいい。こんなところでサラの名前を見るとは思わなかったなあ。さすが大女優。他にもかっこいい女性の肖像画が幾つかあった。レーピンも描き甲斐のあるモデルを求めていたようで、晩年?は存在感のあるいいモデルがいないと嘆いていたらしい。
へーと思ったエピソードは、レーピンの領地がロシアとフィンランドの境目にあって、晩年、国境が閉じられてフィンランド側になってしまったとか。ガレン=カレラの肖像画を描いたとかで、おお、こないだ見に行ったフィンランド展に繋がってるなー。あっちは陸続きだから、同時代だと案外世界は狭い。
ここで見たのか、アンソール展で見たのか忘れたけど、肖像画をリアルに描くか美化して描くかは、モデルの階級によったらしい。だからどうってことはないんだけど、印象に残ったのでメモしておく。
館内で図録を読んでいたら、「サトコ」という作品が目に留まった。モノクロで小さい図版が載ってただけなんだけど、民話風というのか、ファンタジーのような作風。ご本人も描いてみて違和感があったようで、なんともいえない作品なんだけど、たぶんその時期の流行みたいなもんだったんだろうなあ。山本芳翠の浦島図とか青木繁のわだつみのいろこの宮を思い出した。(画像は適当に探してください)
この展覧会はクールベやアンソールと違って、全部レーピン、レーピンだらけの展示でした。

コレクション展でクールベの海の絵を見た。モンティセリもあった。アンソール展を見た後だと、タイムリーで嬉しい。アンソールとか幻想美術系は姫路の得意分野だと思うんだけど、ここの常設展示は幻想美術系ではないのがちょっと不満。それに毎回大きくは入れ替わらないしなあ。前回来たときとほとんど同じだった気がする。
次の企画展示はベルギー系でちょっと面白そうなので、また来ようかどうか考え中。在来線で行ける範囲だけど、他と掛け持ちだとちょっときつい距離なのが悩みどころ。
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