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2013'03.28 (Thu)

三代澤本寿展とBLUE

神戸ファッション美術館で開催中の「型絵染 三代澤本寿」展と、神戸ゆかりの美術館の「BLUE」展を見てきた。
三代澤本寿という人のことはまったく知らなかったんだけど、神戸ゆかりの美術館の展示に興味があったので、同じ建物だし、最近流行の型紙繋がりで民藝との関係もあるらしいので、見に行ってみることに。
http://youkoso.city.matsumoto.nagano.jp/citizensweblog/?p=14754
http://miyosawamotoju.jimdo.com/
http://artscape.jp/report/review/10078619_1735.html
まず民藝との繋がりですが、柳宗悦と芹沢銈介に大きな影響を受けているらしい。
柳に依頼されて手がけた雑誌(?)の表紙が綺麗だったなー。一度に1000とか2000とか摺ってたって(万単位だっけ?忘れた…)、凄いなーと思うけど、この世界では普通なんだろうか?
芹沢銈介は型絵染で有名な人。以前、紅型の展覧会を見たときにちらっと芹沢銈介も出てたけど、なんとなくしか知らないので、いずれちゃんとした形で見た方がいいかもなー。そういえば少し前にどっかで展覧会やってたような…。ちょっと脱線。
バーナード・リーチとも面識があるようで。リーチが描いた三代澤の肖像(スケッチ)があった。それくらい民藝とは近しいところにいた人らしい。
展示されていたものは、色紙サイズの絵から、のれん、屏風、壁掛けパネル、着物、本の表紙など、色んなものがあったけど、一番印象に残ったのは屏風かな。
芹沢の作風はカレンダーとかで多少知ってる程度だけど、あれとも全然違うんだよな。ときどきそれっぽい作品もあったけど、大ぶりの作品で特に顕著だったと思うのは、表面がでこぼこしてて、型の跡がそのまま凹凸になってるようなもの。グラデーションもあまり多用してなくて、わりとはっきりした色合いが多かったような。
型絵染は、布に型染めするのと同じようなことを紙に対してするものらしい。三代澤本寿がよく使っていたのは強製紙で、ごわごわして丈夫そう。これに型紙で糊を置いて、型を外して染料を置いて、水で洗って、という作業をするらしいんだけど、その結果がああなるというのがどうしても理解できなかった。
ステンシルとの違いもよくわからない。型染めってステンシルみたいに型紙の上から染料を置くこともあるんだっけ?この辺がまだよく理解できてない…。表現したい内容によって糊を使い分けてたという説明もあったので、糊を使っていたことは間違いないんだけど。
技法は型染めがメインだけど、ときどき違う技法も使っていて、でもその辺も布の染の技法と似たようなことをしてるのかな?絞りとか。板で挟んで…っていうのも面白かったな。筒染めだっけ?というのも面白かった。
出来上がった作品をただ鑑賞するのもいいけど、私の趣味的には製作過程が気になる…その辺がもっとわかるような展示だったらよかったのにな。最後に少しだけ型紙とか道具の展示もあったけど、染め方の説明はパネルが1枚あっただけ。講演会とか聞きに行けば詳しい説明もあったのだろうか。
型紙を使ってるからには同じものを複数作っていたんだろうか?型紙の再利用で異なる作品を作った例は出てたけど、屏風なんかはひとつひとつが大きいし、これを量産するって考え方は馴染まないような。実際、柳に依頼されて本の表紙を制作した際に、数を作ることで腕が磨かれたみたいな解説もあったし、型紙の表現力だけを重視していたわけではなく職人としての腕もしっかり持っていたということなんだけど…。ケースバイケースなのかなあ?
細かいことはさておき、純粋に作品を見た感想は、チラシで見たより立体感あるな、でした。自分の好みでは平面的なのがいいけど、実物のごつごつした感じも悪くない。しかしこういうマチエールを持つ作品は手触りを確かめたくなるなあ。展示品は当然触れないけど。
とはいえ、基本的には家の中に置く屏風とか、お店の暖簾とか壁用パネルとか、「使う」ものがメインなので、普段から手に取るようなものではないにしろ、「高尚な美術品」よりかは一歩下がって身近な存在なのかなーと思う。
技法は和風だけど案外モダンで洋風建築にも映えそう。森英恵が持ってるという屏風も出てた。今どき屏風を置けるようなお家って一般家庭ではあんまりない気がするけど、お店とか公共空間とかならありかな。
つい作品のマチエールとか製作過程ばっかりに意識が行ってしまったけどデザインも面白かったよ。個人的な好みで行くと柳宗悦に依頼された「工藝」の表紙が一番好きだったけど。いかにも「民藝」って感じのデザイン。
小型のパネル作品なんかはわりと民芸品っぽい雰囲気が出てるものも多かった。着物や帯の布もそこまで奇抜な感じはなかった。
存在感があるのはやっぱり屏風や大型パネルかな。その辺は用途に応じたデザインってことなのかも。屏風は裏側までデザインされているのが面白かった。表とはまた違った雰囲気で素敵。
全体を見れば、和風とか沖縄風とか(紅型からの流れ)民芸風とかそういう雰囲気のものもあったけど、最終的にこの人の特徴は?と考えると、エスニック、または無国籍風なのかなーと感じた。幾何学とも言えなくもないけど、もっと泥臭い感じ。
60歳頃から海外に頻繁に出かけていってその国の民藝的なものを色々と見て自分の作品に反映させたりってことをやっていたそうで、その影響が色濃く出た作品が並んでたけど、それ以前の作品とがらっと変わったわけでもなく、もともとの素養に合っていたのかなと感じた。この人は長野の出身らしいけど、そこに何かあるんだろうか?
三代澤が持ち帰ってきた海外の品々(工芸品?とか服とか布とか)も展示されていて面白かった。ここのベーシック展示との区別がついてない部分もあるけど、ファッション美術館が持ってる関連品も展示されてたと思う。この辺はさすがファッション美術館よねーな部分。
型絵染に限らず、お店のロゴデザインとか空間デザインもやってたらしい。(建築デザインというのか、門扉とかポーチとかのデザインをしたという事例がビデオで流れてた。)
ほんでもって、この人もフィンランドと縁があるのね。晩年、フィンランドに招かれて行ったことがあるらしい。年表にちらっと書いてあっただけなんだけど、どういう経緯なんだろう。(最近フィンランド繋がりの話題が多い。そこに目が行くようになった原因であるフィンランド展の感想がいまだに書けてないんだけど。)
最後に三代澤本寿の愛用品が展示されていた。道具類やスーツなど。その中に指輪があって、この人が絵に入れてたサインと同じようなイニシャルが入ったものが可愛かった。おっしゃれー。なかなかダンディな方だったようで。

てな感じで型絵染を堪能した後は、西村元三朗が見れる!ということで、神戸ゆかりの美術館にも寄ってみた。浮世絵コレクターで有名な中右瑛の作品も見られるということだったし。
展示は中右瑛がメインかな?数が多かった。タイトルどおり青い抽象画。「シェリト・リンド」というシリーズを長年描いているらしい。初期の作品は震災で失われてしまったものも多いらしい。しかしこの人、こっち方面での評価はいかほどのものなのだろう。このシリーズだけ見ててもよくわからない。違う雰囲気の作品もあるのかな。「青」といえばペルシアンブルーだよなー、と「浮世絵」繋がりの人だけに、つい思考がそっちに向かってしまう。(以前見た「西洋の青」展に影響されすぎ。)
この人が作った豆本も展示されていて、浮世絵関係と、竹久夢二関係。さらにその二つのトピックに対するこの人の著書も。コレクターで洋画家で、でも洋画家としての地位がよく見えない…となってくると、一体この人は何者なんだ、というところが気になる。すいません、作品見に来てそんなこと気にしてて。画壇の世界もよーわからんし、見えてないだけで実際は凄かったりするのかなー。
で、私にとってのメインは西村元三朗。去年だか、灘のBB美術館に見に行って以来のファン。それ以前にもどこかで目にはしていたのかな?不思議な建造物のような幾何学構造体のような、謎な絵を描く人。
構造物を描くようになる前の、ちょっとシュルレアリスムっぽいような廃墟のような絵も好きなんだけど、その時代はあまり長くないようで。今回も1枚出てた。神戸を描いた作品。この寂寥とした雰囲気がいいんだよなー。
構造物の絵は似たり寄ったりといえば似たり寄ったりなんだけど、ご本人には色々考えがあるようで、この作品ではこんなことを目指して、この辺は上手くできたとかなんとか、コメントがついてるのが面白い。
BB美術館で見たときに売っていた作品集を見たらそんな絵がずらずらと並んでいて、ここまで徹底してたら天晴れだわと思って以来、なんだか好きになってしまった。好きになる理由なんてホントに些細なものだ。いつかこの人の作品ばかりが壁一面にあるような展覧会を見たいなー。BBのときも展示室の半分だけだったし。囲まれたい!(1997年に神戸で回顧展があったらしい。いいなあ。)
今回は構造物の絵が5枚くらいあったかな?年代も色々で、それぞれ微妙に異なる。その中では比較的初期にあたる作品が好きだったな。淡い色合い。細かい造形。
その2人以外の作品も展示されてた。
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