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2013'05.06 (Mon)

フィンランドのくらしとデザイン展@兵庫県美

だいぶ前に行ってたんだけど、感想を後回しにしてたら遅くなった。もうとっくの昔に会期は終了してます。
フィンランドデザインのルーツを巡る展示、というコンセプトなのかな?19世紀の民族団結運動的なものから現代デザインまでを紹介する内容でした。
http://www.finland-design.com/
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1301/index.html
副題にムーミンとついてるせいか、北欧ブームだからか、随分と集客力が高い展覧会となっているようで、ゆっくり見たかったので混雑を避けて夕方に行くことに。
毎週金曜土曜は夜間開館日で20:00まで開いてて、平常の閉館時間が18:00なので、夕方4時とか5時くらいに行けばそこそこ空いてるのかなーと思いつつ、家でだらだらしてたら会場にたどり着いたのが18:00という…。まあいつものことですが。本当はコレクション展やら同時に見たいものもあったけど、結局その日はフィンランド展だけを見て、後日、コレクション展を見に行ったわけです。(コレクション展の感想はとっくの昔に書いてます。)

日も暮れかける時間帯に足早に駅から会場に向かっていると、前方に怪しげな物体が。夕闇に光る目。
2013-01-27 00.34.45
遠くから見えたときは一体何事かと思ったけど、近づいてみたらライトアップの効果で光って見えてただけでした。たぶんライトアップしてるのはヤツではなくてその下の看板なのではないかと。(これは帰るときに撮った。)
2013-01-26-175646.jpg
エントランスにはムーミンの家。じゃなくて、森の家。ムーミングッズとか小物がいろいろ可愛かった。写真撮影スポットだからつい撮っちゃった。
2013-01-27 00.36.54

たぶん1年ほど前、兵庫県美の年間スケジュールを見たときは、この展覧会は別に行かなくてもいいかなーと思ってた。デザイン系の展覧会は興味あるけど、特に北欧ファンでもないし、ムーミンも特に…、マリメッコとかも別に…。ところがある日、ネットで、ガレン=カレラのカレワラ叙事詩というものからミュシャのスラヴ叙事詩を連想したという発言を目にして、興味を持った。とはいえ、さして予習するわけでもなく、軽い気持ちで行ってみたわけです。
会場に入ると、最初は雪景色から。お目当てのガレン=カレラはまだ出てこない。ポスターにも使われてたペッカ・ハロネンの絵が目立ってたから、実はガレン=カレラよりこっち推しなのかと思ってしまったり。なかなかガレン=カレラ出てこないなーと思ってたら、出ました、カレワラおよびガレン=カレラのコーナーが!
ガレン=カレラさんは思ってた以上にマルチに活躍した人のようで、スキー板があったり、ドアの取っ手があったり、ポスター、挿画、油彩、版画、なんでもござれなお方でした。パリで勉強してた時期もあって、アカデミー・ジュリアンだのコラロッシだの、どこかで聞いた名前が…。ミュシャと同世代みたいで(1865-1931)、19世紀末にパリに居たとなったら、どこかですれ違ってたかも?
この辺りで、関連資料として、日本で翻訳されたカレワラとかの本が展示されていて、挿画が猪熊弦一郎だったり、蕗谷虹児だったりで、違う方面に反応していた。(一方はカレワラではない)
カレワラのあらすじも紹介されてたんだけど、意味が分からない…。いい意味で、突っ込みどころ満載っぽい。読んでみたいなー。
カレワラとスラヴ叙事詩との共通性ですが、まずは時代背景かな。フィンランドの歴史とスラヴ(というべきか、チェコというべきか)の歴史は似てるというほど似てはいないかも知れないけど、長い歴史の中で近隣の大国の支配下にあった期間が長いという点は似てるかな。19世紀はヨーロッパ各地で民族独立運動が盛んだった時代で、民族のアイデンティティ確立のために民族叙事詩が必要だと考えた、という。
ただ、ミュシャのスラヴ叙事詩は20世紀に入ってから制作されたこともあってか、発表当時、既に古臭いと受け止められてたように聞いてるし、チェコでそういった民族の歴史を叙事詩として歌い上げることに対して国として盛り上がってたかどうかはよくは知らない。十年一昔とも言いますし、19世紀末に盛り上がった熱も、20世紀に入ったら陳腐化しつつあったということなのかも。特に国外にいたミュシャと国内にいた人々の間では時差みたいなものがあったのかもなあ。
スラヴ叙事詩以前にはスメタナのモルダウみたいなものもあるわけだから「民族の団結を促す何か」が熱を持って受け止められていた事実はあるんでしょう。ミュシャも影響を受けたというアロイス・イラーセクの本がそれに当たるのかなあ?(「すべてに抗して」という、フス戦争にまつわるお話らしい。)
とりあえずWikipedia。チェコ語です。読めるかっつーの。1893年の作。
http://cs.wikipedia.org/wiki/Proti_v%C5%A1em
一応英語ページも探してみた。1958年には映画化もされているらしい。
http://www.searchdictionaries.com/?q=Against+All+%28film%29
http://www.imdb.com/title/tt0176057/
http://www.britannica.com/EBchecked/topic/304059/Alois-Jirasek
これは日本語で手に入るらしい、イラーセクの本。さっきのとは別の本なんだけど一応。
http://hup.gr.jp/modules/zox/index.php?main_page=product_book_info&products_id=777
http://syoyoki.exblog.jp/16629030/

カレワラは1835年に出版されていて、この展覧会で紹介されているカレワラに関するあれこれはだいたい1890年代のものらしい。ミュシャのあれこれより少し前の出来事になるのかな?
内容的にはかなり違うような。スラヴ叙事詩は神話的なところを併せ持ちつつも史実が多分に含まれた歴史絵巻であるのに対して、カレワラはもっと民話・伝承寄りなお話みたい。
フィンランド的なものとチェコ的なものの対比もしてみたい。チェコ絵画のイメージというものがいまひとつぴんときていないので比較のしようもないけど、ミュシャに限って言うとあまり風景を描かない人という印象がある。植物モチーフは多いのにね。フィンランドは自然が豊かな国だからか、風景画が多い印象。チェコも広く見れば自然は豊かだと思うけど、自然の風景というよりは建物のイメージかなあ。特にプラハとか都市部は塔の街だったりするし。お城も多いし。気候や国土も違うので、そういう違いが作風にもあらわれてるかも。

この辺で比較は終わりにして、展覧会の内容に戻る。
ちょっとずるして、写真入りでわかりやすいブログがあったので参照。展示風景はこんな感じ。
http://fukuya.seesaa.net/article/312502716.html (兵庫)
http://fukuya.seesaa.net/article/289509912.html (静岡)

建築関係も面白かったな。サーリネンという人が大々的に紹介されてた。建築図面なのになんであんなにかわいいんだろう。これはクリムト展のときに見たマッキントッシュにも言えることだけど。
第2部でもう少し時代が新しくなって、現代に連なる展示。アルヴァ・アアルトとかカイ・フランクとか。といってもよくは知らないんだけど。ムーミンとかマリメッコとか。食器とか家具とかテキスタイルとか。
家具で面白いなと思ったのは、展示対象としてのランプと、実際に照明器具として使われてるランプとが、同じものだったこと。よくこういうところで展示されてるランプを見るときは、実際に使われている状態(照明が灯ったところ)を見たいなーと思うことがあるので、これはいい。現役製品だからこそできることなのかも。
アアルトの合板を使ったレリーフが、ネギに見えた…。
マリメッコのコーナーはテキスタイルの展示あり、プロダクトの展示あり、という感じで華やか!
デザイン系の展覧会はたまに行くけど、フィンランド縛りだからってこともあるのか、ほぼ特定の企業に絞って、しかも現役ブランドの紹介ばかりになってるのは珍しいかも。と書いてから思ったんだけど、特定のブランドやデザイナーに焦点を当てた展示はあるか。でもそういうときでも過去の歴史を見せる、懐古的な展示が多いんじゃないだろうか。懐古もありつつ現役製品も並んじゃうようなのは珍しい?
ムーミンといえば昔、今は無きサントリーミュージアム天保山でムーミン展を見たことがある。まだ関西に来て間もない頃、「サントリーミュージアム天保山に行く」ことが目的で、展覧会が目当てではなかったのだけど、細かい絵だったことはなんとなく記憶に残っている。
今回もそんな感じの絵が並んでいた。挿絵の原画を見るのって楽しいよね。ムーミンの本(初版だったっけ?忘れた)が並んでた以外に、ムーミン以前の風刺画みたいなのが面白かった。ムーミンと全然関係なく、トーベ・ヤンソンの油彩画もあったり。
ここは完全にヤンソンさんコーナーになってたけど、他のコーナーとの比較でいくと、もう少し普遍的な切り口にならなかったのかなあと思う。カレワラからの流れで見るとそう違和感はないんだけど、中盤以降はデザイン系に分類されるものが並んでたから、そこにムーミンが出てくるとちょっと浮いてる感じがしたかなあ。描かれた物語の方が重要で、ブックデザインとか装丁に注目するような内容でもないし。フィンランドにとってのヤンソンさんの位置付けというのか、展示を見てるだけだとよくわからなかった。「くらし」の中に常にある存在、なんだろうか?
終盤は椅子の座り心地体感コーナー(?)とか、フィンランドの現在、未来、みたいなパネルが展示されていたりした。記念切手がかわいかった。
会場出口はミュージアムショップ。これが広すぎて笑った。時間も時間なので人が少なかったから余計にそう思ったんだろうけど、それにしても。
コーヒーのパッケージが可愛くて、つい物色してしまった。種類がたくさんあって、その中で気に入ったものをふたつ。なんとなくポスターっぽいようなデザイン。下に敷いてるトレーもお土産。おさかな柄。
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ガレン=カレラの木版画の絵葉書。会場で配布していたミニガイドと、図録も一緒に。
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ムーミンとかデザイン系の本もいいけど、カレワラとか美術系の本とかもあったらよかったのになあ。実はあったんだろうか。見た記憶がない…。(ライブラリーにはあった。)

装飾芸術に関心がある者としては、フィンランドのデザインにもある程度は興味があるわけだけれども、これはアーツアンドクラフツから始まる近代のデザイン運動と繋げて考えることはできるのだろうか。フィンランドにもその流れは入ってきていたみたいだけれども。テキスタイルは華やかで「装飾」って感じはするけども、ガラスとか家具とかはシンプルだよね。用の美に近いというか。その辺はモダンデザインってやつなのかしらねー。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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